第215話 魔将グリモレッド

―――――――――――――――天空遺跡:大空洞


プンプンとリアクションしているユリハを見て・・・ファムとユキシロは苦笑いしながら俺から離れると・・・ジャイアントを倒した2人が戻って来ていた。


「いやぁ・・・それにしてもレイの剛腕装甲の打撃の切れ味は見事の一言に尽きるな!!!」

「それはこちらのセリフでございます。

ミストのあの動き・・・ご主人様に近く感じ思いました―――――」

「2人ともお疲れ、ミストもレイもこれで完璧だな。

で、どうしてユキシロとファムはしてただけでどうしてあんな大物に見つかったんだ???」

「ギクッ!?えっと・・・それは・・・アタイ、急用を思い出したのじゃ!!!

は、放すのじゃ~~~レイレイ~~剛腕装甲でつまみ上げるのは反則じゃ~~」

「えっと・・・私たちも強くなりたかったからこの大きなモンスターを倒せるか挑んだんだけど・・・思っていたよりも強くて今回のような事態になっちゃって・・・・・ごめんなさい。」

「大丈夫だよ、ファムはちゃんと謝ったんだから・・・ね?みんな?」

ユリハは皆にそう尋ねると・・・全員がコクリと頷いたのだが・・・


「それだったらアタイを早くおろして欲しいのじゃ~~

あたまに血が上ってしまうのじゃ~~」

「レイ、ユキシロを下ろしてやってくれ・・・ユキシロとファムもこれから特訓だからな。」

「うん!!私、張り切って頑張っちゃうよ!!」

「それじゃムクロ君、私はもう少し剣の練習してくるからまた何かあったらチャットか大声で叫んでね!じゃ・・・・」

「それじゃ、私たちもあっちで組み手でもするか。」

「そうですね、ミストとならさらに上へ目指せそうですから願ったり叶ったりでございます。

そう言うわけですので、ご主人様・・・しばしの別れですが辛抱してくださいませ。」

騒ぎが静まるとユリハ達は自分たちのやるべき特訓を行いに移動し・・・ユキシロとファムの特訓が始まろうとしていた。


「で、2人は・・・自分たちのどこを特訓したいんだ???

って、言っても・・・NPCに教えるなんてレイと違ってなんだか不思議な感じはするんだが・・・」

「私たちも一応ステータスを自分で振ることができるから大丈夫だよ!!

それに、私も格闘とか武器が使えなくなった場合を教えて欲しいと思ってたの。」

「アタイはその逆で・・・武器を使ったオモシロイ攻撃方法とコンボじゃの

最近は打撃やケリだけで倒してる感じが強くて武器を使ってないのじゃ・・・・

このグロリアでは腕や足だけじゃなくて武器を使うのが主流じゃし・・・色々手取り足取り教えて欲しいのじゃ!!!」

と、言いつつ・・・また2人に両手を引っ張られ、互いに退くことをしない状況を察し・・・俺は2人同時に特訓することにした。


「それじゃ、ファムは武器を置いて・・・ユキシロは武器を装備して組み手を始めてくれ。」

「えぇ!?ユキシロと組み手!?て、手加減してよ??」

「そ、そっちこそ・・・バカ力でアタイのモフモフの尻尾を吹き飛ばさないように丁寧にするのじゃぞ!!!!」

互いに慣れない状態で間合いを確かめ・・・先に動き出したのはユキシロで、身を低くしながら両手のダガーでファムに攻撃を入れるが、攻撃までの速度が遅く・・・ファムに掴まれて防がれてしまっていた。


「ユキシロ、使がイマイチだよ!!!はぁッ!!!

―――――――私の自己流・・・パーンチ!!!」

「ふぁ、ファム!?

格好を決めてるだけでパンチの威力が全然なのじゃ!!!

はもっと相手を粉々にする気合と特に腰と体全体に力を込めて放出する感じでするのじゃ!!!」

そして・・・互いに間合いを取って一呼吸し、ファムとユキシロは互いに直すべき場所を教え合いながら組み手を繰り返し・・・俺は気が済むまでやらせようと訓練をしているこの場所から先にいるを感じる場所に向かうと―――――


「こんなところにモブの変質の魔将グリモレッドが出てくるとはな・・・イレギュラーにも程があるだろ。」

黒い装甲に黒い羽根を生やし、コウモリが人型になったと言えばいいのか・・・そのモブはグロリアの中でも数の少ない剣と魔法を使い空を飛ぶ裏のボスで、出会う確率は限りなくゼロに近い希少中の希少であったのだが――――――

今起きているイレギュラーの起こした不具合か不明だったが・・・俺はこのチャンスを逃さないように剣を抜き、グリモレッドに一撃を叩き込んだ。


―――――――――・・・・・・・・・・

「どうしたどうした??コレがお前の力なのか??体力がじゃんじゃん減っているぞッ!!!ゼイアッ!!!!」

グリモレッドは攻撃をせず・・・ただジッと攻撃を受けながら立ち尽くし、体力バーが赤色に差し掛かった瞬間に異変が起きた。


――――――――――グ・・・ググググ・・・・・グアァァアアァアァァァ!!

「なんだ!?鎧が弾けて・・・巨大化してるのか!?

これもイレギュラーってヤツか・・・まいったな、さっさとトドメ刺しておくんだった。」

俺は巨大化するグリモレッドの行動を観察するために目を放さずに見ていたのだが・・・急に目の前から姿を消し、真後ろからグリモレッドに掴みあげられ・・・放り投げられた。


「ぐあぁッ!?ぐ・・・変質のって書いてあったけど、変質どころじゃないだろ・・・・おっとッ!?だんだん早くなってきてるな――――――」

――――――――グググガァァアアアアアア!!!

攻撃を防ぎ、返したと思えば後ろ・・・右と、考える暇もない程に早く鋭く攻撃を叩き込んで来たのだが・・・攻撃のパターンが見え、カウンターを捻じ込んだ。


――――――――グガァァ!?

「お前も俺と同じで・・・トドメを刺すのに時間をかけすぎたな・・・・今度はこっちの番だ!!!

――――――――――――――クイックシフト!!!」

加速スキルを使い・・・グリモレッドの巨大な体に何十発も斬撃を与え、体力バーが数ミリになったところでトドメの一撃を加えて消滅させた瞬間―――――――


――――――――――グラァァァアアァァァ・・・・・

―――――――グググググググ・・・・・

「何だってんだよ・・・・魔将が何でこんな・・・後、2体もいるんだよ!?」

イレギュラーだと確信したのはいいが、この魔将2体と先ほどの戦いから連戦はさすがにダメージを追いすぎて苦戦していた。


「ぐ・・・クイックシフト――――――――――」

――――――――グアァァアアァ!!!!

―――――――――グララララァァァアアァァ!!!!」

2体同時に戦うとなれば加速スキルが切れた時点でこちらに勝機がほぼなくなると言った状況で・・・加速スキルを使いながら2体の魔将の体力を何とか削り切り、倒すことができたように見えたのだが・・・・・


――――――――――グラァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!

「くそ、こいつら・・・消滅したと思ったら巨大化してリスポーンしやがったのか!!!くそ・・・マジでヤバイかもしれねぇな。

だが、それでこそ特訓だな・・・・」

休んで下ろしていた腰を立たせ・・・再び2体の巨大化した魔将と対峙し、激しい戦いが始まった。


―――――――――――――――グガァァァアアアァァ!!!!

―――――――――――――グラァァアララァァァァ!!!

「くそッ・・・最初に戦ってた時のダメージが割と残って・・・・このままじゃ・・・力負けする―――――――」

1体の魔将の攻撃を防いでいる最中に、2体目の魔将の攻撃でガードが崩され・・・攻撃を浴びると言う、魔性のコンビプレーがじわじわと俺の体力を削り・・・赤色バーまで削られ、最後の一撃を喰らう瞬間ッ――――――


―――――――――――グラアアァァァアアァ!!!!

――――――――――グラァァァァ!?

「ふんッ!!!ムクロ、オマエに真に最後の一撃を叩き込むのはこのワレだ!!!

さすがにこれ以上は見ておれぬ・・・この一手だけ手を貸してやろう・・・・よ」

か・・・はは・・・助かった。

でも、珍しいな・・・お前がこんなコトするキャラじゃないだろ??」

俺は応急用のポーションを使い、体力を少しだけ回復させながらハシャに尋ねると・・・・ハシャは魔将の剣を弾き飛ばして闇の中へと消え、魔将との戦いが再び始まろうとしていた―――――――――――


―――――――――――――――天空遺跡:大空洞

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