第213話 新たな特訓開始

――――――――――――プライベートホーム


スケジュールを組む人数はあくまで少数だと踏んでいた俺だったが・・・まさか全員が特訓すると言うとは思いもしなかった。

そして、場所を移して・・・雨が降っても困らない天空遺跡のダンジョンで特訓をすることとなった。


「まず、レイだが・・・・特訓する必要性はあるのか??」

「そうですね・・・私はご主人様に手取り足取りされたいだけでしたので・・・おっと、つい本音が・・・いえ、戦闘面では私は剛腕装甲を覗けば中程度の強さ・・・・ご主人様の様に機敏でもないゆえに格闘の方法を教えてもらいたく思います。」

と、色々と欲が駄々洩れのような気がしたが・・・レイの素直な気持ちを汲むべく、まずは互いに武器を持たずに格闘のみで組み手をすることとなった。


「それではご主人様・・・押して参ります!!!ハァッ!!!」

「ははは、良いパンチだ・・・だが、力の込め過ぎだゾ!!!

ほら、どうした・・・もっと軽やかにしなやかにこうやってパンチを打たないと意味がないぞ??」

レイのパンチをスルリと避けてカウンターと言うよりもガードの甘いレイに寸止めでパンチ撃つと・・・レイは膝をついて笑顔であった。


「うっわ・・・ムクロッちって武器ナシでもヤバイね・・・

あんなのと戦ってたと思うとぞっとするね。」

「う、うん・・・キレキレのパンチだね。

本当にムクロ君はすごいやり込んでるよね。」

「おい、2人とも・・・喋ってないで素振りを続けて―――――

で、レイはもう少し風を切るようにパンチをだな・・・って、聞いてるか??」

「はい・・・ご主人様・・・本当に見事な打撃でした。

私のハートは寸止めの余波で完全に落ちました・・・・ちゃんと責任を取ってくださいませ。」

「ハイハイ、わかったわかった・・・・レイはこっちで剛腕装甲の練習でもしててね~~~っと・・・それじゃ、今度は私だよ!!!」

と、レイを引きずって移動させ・・・次の特訓生はクーリアで、ニヤっとした瞬間にクーリアは急に攻撃を仕掛けてきた。


「ライトニングソーン!!!からのデイヤッ!!!!!!

って・・・何でこれが回避できんの!?」

「そうだな・・・クーリアは微妙に詰めが甘いんだ。

逃げ場を潰した攻撃方法を心がけると良いんじゃないか?

例えばごにょごにょ――――――」

と、クーリアとのやり取りを気になるのか・・・ユリハたちがチラチラと俺の方を見ていた。

そして、クーリアと再度組み手をすることとなった。


「そんじゃ・・・ムクロッち・・・今までの私だと思ってたらケガしちゃうかもね!?

それじゃ、やっちゃうよ!!!

―――――――ポイズンブレス!!!ホーミングサンダーボール!!!からの・・・グラビティプレス!!!」

「中々面白い組み合わせだな!!!だが、もう少しタイミングと近接攻撃を加えた方がいいだろう・・・ハイ、タッチ――――――」

クーリアのスペルをぶつけ合って相殺し・・・クーリアに説明しながら背中をトンとタッチすると・・・またまたクーリアが吠え始め、新しい連撃の練習をすると言って迷惑にならないようにどこかへ行ってしまい・・・次の特訓生を呼ぶと次に来たのは自信のないと言っていたヴァネッサであった。


「その・・・前みたいな攻撃は何とかできるようになったけど・・・ファムみたいな飛んでる相手とかと戦ったことがないし不安なんだけど??

それに私は特別なスキルがあるわけでもないし・・・やっぱり城に戻った方が・・・」

「ヴァネッサ・・・そんなつまらない事を言う前に、ホラ・・・かかってこい!!!

―――――――――最初はみんなこんなものだからな。」

と、ヴァネッサに言うと・・・ヴァネッサは新しく作ったのか市場では見たことのない武器を装備して攻撃を仕掛けてきた。


「エイッ!!!エイエイエイエッ!!!テイヤッ!!!」

「そうそう・・・良い調子だぞ・・・ほら、ソコ・・・重点を置き過ぎだぞ?

それにそこも、ハイハイ・・・テンポよく攻撃だ、ハイハイ!!

そうそう、ウマイウマイ!!」

組み手をしながら手を叩きテンポを調整して攻撃のタイミングを教えると・・・ヴァネッサの攻撃が格段に鋭くなり、だんだんと俺も回避がしずらくなって来ると・・・ナイフを取り出して反撃に出た。


「ちょっとぉ!?反撃してくるなんて聞いてなッ!?ちょっ!?ちょちょちょッ!?タンマ!!!早い早い!!!ストップ!!!!ぐぅぅぅぅあぁ!?きゃぁッ!?」

「おっと・・・面白くなってきたからついやり過ぎた・・・ごめん、ヴァネッサ。」

ヴァネッサにより技術を磨いて欲しいと思い、速度を徐々に上げてヴァネッサがどこまで対応できるか試しているうちにヴァネッサの首元でナイフが止まり、我に返ってヴァネッサに謝ると・・・息を切らしたヴァネッサは驚きながらニコッと笑いレイと組み合うと言って喜びながら走り出して行ってしまった。


そして、何かの気配を感じたと振り返ると・・・そこにはジーっと見つめるユリハの姿があった。


「最後はユリハの特訓だな・・・あはは・・・ヴァネッサに少し熱くなりすぎたな・・・あとでもう少し誤っておくか。」

「そうだね、きっとその方がいいよ。

でね・・・私も武器を作ってから少し考えて新しく武器を変えてみたんだけど・・・よいしょ―――――

コレ、何だけど・・・・・」

と、ユリハは見事な両手剣に近い大きさの剣を構えて見せた。


「また、すごい剣を作ったな・・・武器名はえぇっと「フェルスタイラント」

の素材を使った剣か??」

「やっぱり武器の名前でバレちゃったね・・・少し前なんだけど・・・作ったばかりのあの武器を試しに1人でクエストに行ったんだけど―――――

目標を倒した後に追加オーダーが発生してタイラントクラブとの戦いになったんだけど・・・・自信作だった武器で渾身の一撃を撃ち込んだのはいいんだけどあの青黒い装甲に傷1つ付けられなくて試行錯誤して倒してドロップしたアイテムで武器を作ったのがコレなんだよ!」

と、武器を渡してゆっくり見せ・・・この武器をうまく使う事がユリハの特訓と言い、俺は安物のショートソードを装備し・・・ユリハと軽く組み手を開始した。


「ハッ!!!ハァッ!!!そこッ!!!!」

「さすがユリハだ・・・剣の動きは多少雑だが何とかまともに機能しているが・・・まだまだ剣に遊ばれているぞ!!!ゼイアァァッ!!!!」

ショートソードに力を込め、ユリハの剣を切り上げて・・・胴体に剣を当てて組み手が終了した。


「はぁはぁ・・・やっぱりムクロ君は強いなぁ・・・・で、私はどうしたらこの剣を使いこなせるようになるのかな??」

「ユリハもレイと同じように力を込め過ぎなんだと思う。

武器に力を込めれば強力な一撃になるが・・・その点避け易くもなるんだ。

何故かって聞くと思うから言うが、力が一定の方向に向くとわかればその点をずらして行動すればいいだろ?だから力を極力出しているケド、方向を変えられるようにすればちゃんと攻撃がヒットして、もっとうまうその剣を扱えると思うんだが・・・・伝わった・・・か?」

少し熱くレクチャーし過ぎたと思い・・・ユリハの方を向くと、ユリハは目をキラキラさせて俺の手を握ってから剣を持って壁の方に向かい自主練を始めた。


俺の手が空いたのを覗きに来たミストは剣を抜いて鋭い一撃を仕掛けてきた。


「フム、やはり・・・ムクロは凄まじいな。

どうすればそこまで反応できるのだ??」

「ん~そうだな・・・プレイ歴が長いのと、ソロだとやること全部を1人でやるから色々なものが見えるって言うのか・・・・感じると言うか・・・言葉にするのが難しいな。」

と、笑いながらミストと話し・・・これから両手剣や多種多様な剣を使うミストとの特訓が始まろうとしていた―――――――


―――――――――――――――天空遺跡:大空洞

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