第167話 自分たちの部屋

―――――――――――プライベートホーム


模様替えを始めてから数分後・・・まず最初に作業を終わらせ部屋から出てきたのはクーリアとアヤカであった。


「ふぅ~やっと完成したよ~~私ながら中々のできかな!」

―――――アヤカも出てきたって事は・・・完成したって事かな?」

「私の部屋は完成したわ・・・クーリアの部屋は本当にアイテム部屋のようね。

私の部屋は武器の改造とかある程度の修復ができるように工具類も揃えておいたから使いたい時は言ってね。」

2人の部屋の話を聞き・・・次に部屋が完成したミストが部屋から出てきた。


「お、なんだか楽しそうな話をしているな。

――――私の方もさっき完成したんだが・・・・見てみるか?」

ミストは自分の部屋の中を見せると・・・中にはアンティークの家具で固められていた。


「へぇ~なんだか味のある部屋ね。

どれもアンティークの家具で・・・ん?コレは?」

「それは、ダメだ!?

―――――ほ、ホラ・・・外でユリハ達を待つとしよう・・・な?」

「ミスト~あの本は何だったの?」

クーリアは先ほど、アヤカが拾い上げた本の事を尋ねると・・・ミストは何でもないと言い切りそれ以上ミストが答える素振りはなかった。

そして、次にレイ達が一斉に現れた―――――


「やっとできた~~皆もできた?」

「はい、私も配置と共に全てが完璧です。」

「アタイもいい感じにできたのじゃ~~ほれアタイの部屋を見るがいいのじゃ~」

「へぇ、それならまずはユキシロの部屋から見学しようかしら?」

ユキシロが自分の部屋を見せると、その中は和風旅館のような飾りつけで真ん中には囲炉裏いろりがあり、温かみのある懐かしい感じの部屋であった。


「へぇ~ユキシロの部屋って和風テイストなんだね!

―――――それじゃ~次は私の部屋を見せるよ。」

ユキシロの部屋をみんなは絶賛し、次はユリハの部屋に向かうと・・・皆の想像通りの可愛い家具で構成された部屋であった。


「どうかな?私の部屋は・・・・・」

「そうだな・・・ユリハらしい部屋だな。」

「うん、ユリハらしい部屋ね。」

「綺麗な部屋なのじゃ~」

皆は口を揃えて部屋の感想を「ユリハらしい」と言い、喜んでいいのかわからないまま次はレイの部屋に移動した。


「こちらが私の部屋になります。」

「うわぁ~~すごい・・・・本当にメイドさんの住んでいるような部屋だね。」

「うむ、それに・・・ムクロからの本もここに綺麗に並べてあるな。」

レイの部屋はクラッシックな家具と、ムクロからもらった本を置くラックがあり・・・お茶をいつでも飲めるようなセットも棚に置いてあり、色々なフレーバーが棚に所狭しと並べてあり・・・いい香りが広がっていた。

そして、次はエリエントの部屋に移動してみると・・・・


「私の部屋はこんな感じよ。」

「うわぁ~~~私のアイテムコレクション部屋よりもすごいよコレ・・・

って言ってもいいんじゃない?」

「そうだな、この量は図書館と言っても問題ないレベルだな。」

「うむぅ~本当にすごい量なのじゃ・・・・」

「これってモブの詳細な図鑑ね・・・すごいわよ・・・これ全部エリの作成物なの?」

アヤカの質問にエリはコクリと頷くき・・・ユリハ達は再び両端にある本を見て、これら全てエリが1人で作ったとなるとエリの凄さを再確認すると・・・


「よ~し今度は私の部屋だね~~楽しみにしててよ!」

ファムが次は自分の番と張り切ってユリハ達を部屋に案内すると・・・・


「ねぇ・・・ファム・・・ここって食堂?」

「ううん・・・ここは私の部屋だよ?

―――――アレ?皆、どうかした?」

「いや、どうかしたも何も・・・目につくものが食べ物ばかりなんだが・・・・」

「それに冷蔵庫のようなものもあるわね・・・ファム、アナタのいた天世界はどうなってたの?」

「壁にはソーセージにリンゴとかあって・・・棚にはハムとか・・・

――――――――食べ物ばっかりじゃん!!

これじゃ・・・部屋は部屋でも・・・食糧庫じゃん!!!」

クーリアや皆が目についたのは、家具よりも大量の食糧で・・・ファム1人では食べきれない量であったが・・・・


「私のいた天世界はそうだなぁ・・・家具は合ったけどここまで大量の食べ物は置かないかな?」

「なら、どうして・・・大量の食べ物がここにあるんだ?」

ミストがファムに尋ねると・・・ファムが説明し始めた。


「それは・・・グロリアココの食べ物が天世界よりもすごくすごく美味しくて・・・えへへ・・・私、ムクロにも食いしん坊って言われちゃったんだけど・・・食べ物がおいしいのがいけないのよ!!

――――私は悪くないの!!!それに、天世界だとこんなことできなかったから・・・・ダメ?かな?」

皆は顔を見合わせ・・・


「ううん、そんなことないよ、ね?皆?・・・それにね、ファムが言った通りグロリアの食べ物っておいしいもんね!

でね、たまには私たちも・・・ここにお呼ばれされてもいいかな?」

「も、もちろんだよ!!!それに・・・みんなと一緒に食べるのって一番美味しい食べ方なんだよ!!ムクロもそう言ってた!!」

「ハッハッハ、そうだな・・・ファムの言う通りだ。」

「私は軽く食べられるものがいいから・・・果物をお願いするわ。」

「アタイはファムと同じもので大丈夫なのじゃ~~

このデザートドラゴンの干し肉とかすごく美味しいそうなのじゃ~じゅるり。」

「でも、この部屋を見たらムクロッちは驚くだろうなぁ~

―――――で、また乙女心を壊すように「食いしん坊」って言うと思うよ~」

クーリアの発言に皆はうんうんと頷きながら・・・残っていたクーリアとアヤカの部屋を見せ終わると、レイはお茶を淹れてみんなで寛いでいた。


「で、ムクロの部屋はどうする?

最終的にムクロの家具を買ってないんだが・・・・」

「うん、私もそのことを考えてたの・・・・」

「大丈夫大丈夫、ムクロッちもこのゲームはやり込んでるんだし・・・家具の一つや二つや全部自分で揃えられるって。」

「そうなのじゃ~でも、もし主殿が家具を揃えられないのであればアタイの部屋でから大丈夫なのじゃ―――――――アツツツ!!?」

「あら、ごめんなさい・・・・紅茶が飛んじゃいました・・・大丈夫?ユキシロ?」

レイは聞き捨てならないクーリアの発言に紅茶をかけて黙らせたのだが・・・・


「ユキシロ・・・それはあなたが勝手に決めていい事ではないと思うの。

でも、安心して・・・私がちゃんとムクロの面倒をみま―――――」

「おいおい、何を言っているんだ・・・・ムクロは私の・・・そうだ・・・弟だからな!弟ならば面倒を見るのは姉の役目だ!」

「ちょい待ち!!!ムクロッちもお姉ちゃん離れをする時期だと思うし~ここからは私が引き継ぐよ・・・?」

「アヤカ・・・どうしよう・・・なんだかすごい事に・・・」

「ん~そうねぇ・・・ニヒ・・それなら・・・もし仮に、一緒の部屋になるのなら誰がいいのか本人に聞いてみたらいいんじゃないの?

――――(まぁ・・・私は選ばれないと思うケド・・・・)ズズ~~~」

アヤカは悪い笑みを浮かべながら悪戯にそう言うと・・・クーリアたちは自分の部屋に戻り写真を撮っているのか部屋の中からシャッターの音が聞こえてきた。


「そ、それじゃ・・・皆・・・準備はできた・・かな?」

「アレ?ユリハ・・・ユリハは参加しないの?

それだと私たちの誰かがムクロッちを取っちゃうかもしれないよ?それでもいいの?」

「そうだぞ!これはある意味ムクロ争奪戦・・・ユリハがいないと張り合いがないぞ!!」

「何だかアタイたち・・・すごいマヌケなのではないのかのぉ?」

「そ、そうね・・・少し冷静になりましょ・・・でも、まずはユリハに参加しないワケを聞きたいのだけれど?」

エリがユリハに参加しないワケを聞くと・・・ユリハは少し笑いながら答え始めた。


「ん~そうだね・・・参加しないって言うより・・・ムクロ君はきっとみんなに気を使ってと思うから。」

ユリハが紅茶を飲みながら冷静に言うと・・・・クーリアや皆がため息をつき・・・・


「あぁ~あ・・・また、何にもしてもないのに勝負に負けた気がする~~」

「ウム・・・何だろうか・・・この、ユリハから伝わる余裕は・・・」

「のじゃ~主殿の真意を見抜けなかったアタイたちが本当に愚かだったのじゃ・・・・うぅ~~」

「でも、私たちの努力の結晶である部屋の写真を見せるのは私はいいと思うよ!!」

「そうね、これを見るときっと、ムクロも早く帰りたくなるかもしれないわね。」

「それじゃ、皆の部屋の画像をムクロ君に送信ッ!!!」

そして、ユリハは全員の部屋の写真とコメントを書き・・・ムクロへと送信し・・・クーリアはユリハとムクロの進み具合を笑いながら聞いていた―――――


―――――――――――――プライベートホーム

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