第165話 アヤカの爆弾発言
――――――――――――――洞窟城
ヴァニスが着替え部屋から出てくると・・・先ほどまでとは違って、冒険用なのか動き易そうな服装に着替えていた。
「お、お待たせ・・・さっき見たものはすべて忘れなさい!!
これはヴァニスの命令よ!!!絶対よ!!!」
「ああ・・・わかった・・・ホラ、これがさっきいた所に落ちてたんだ。
ジェフが言うにはヴァニスの大切なものだとか言ってたから持って来たんだ。」
俺はヴァニスに宝石を渡すと・・・ヴァニスはぎゅっと宝石を抱きしめ・・・アイテムストレージにしまうと俺の手を握ってダイニングルームに移動すると・・・さすが、金をつぎ込んだことだけあってダイニングルームもすごい広さであった。
「ここが私の洞窟城のダイニングルームよ・・・こっちで一緒に食べましょ。
―――――料理長、夕食を出してくれる?」
俺はヴァニスに連れられ・・・俗に言うVIPルームがダイニングルームの隣にあり、その個室の中にヴァニスと入り、席に着くとメイドが料理を運んできた。
「さぁ・・・食べましょ?
――――――これらは私の雇っている専属のNPC料理人・・・ちょっと聞いてる?
メイドの後姿を眺めて・・・ムクロってああいう服が好みなの?」
「いや、俺の仲間にメイドいてさ・・・ちょっとその仲間を思い出してな・・・」
俺は仲間のレイの話をすると・・・ヴァニスはふ~んと適当にしながら料理をパクパクと食べていた。
「お、美味い・・・ヴァニスの専属料理人の腕前ははかなりのものだな。」
「そりゃ~お金をかければなんだって最高級にすることだって可能だからね!!
―――――でも、お金を持っていても・・・変な人は多く集まるだけで・・・元友達は私のお金目的で近づいてくる人だらけで・・・私はできるだけ人と接しないようにこの洞窟にお城と作ったの・・・笑えるでしょ?」
サラダのトマトをツンツンと突きながら落ち込むヴァニスをどうにかして励まそうと俺はヴァニスの口を指でグニ~としながら話し始めた。
「ホラ、いつもの高笑いはどこに行った?
それに、このグロリアの世界も現実の世界と同様・・・お金に困ってる奴や金持ちを利用しようとする奴は山のようにいるのも確かだ・・・だけどそれだけで自分から逃げるのは間違ってる。
だから、これから先は・・・俺と一緒に楽しく冒険しようぜ!!!」
「アウ・・・・フフ・・・ナハナハイウハニャイ!!!ムフロ!!
(中々、言うじゃない!!!ムクロ!!)
――――コホン、この私を元気付けようとしてくれたことには感謝するけど、その言い回しは私に対してのプロポーズと受け取っていいのかしら?
どう思う?家来――――――」
「いやぁ~
それに、ムクロは強者であり・・・気配りができて、フリーと見て問題はないだろうと思われ・・・おっと・・このグロリアの世界には結婚システムも海外では盛んとされておりますが・・・いやはや失礼、私としたことが早い話を申し訳ない・・・ムクロ様!!!ハッハッハ!!!」
俺はこの流れはマズイと思い急に乙女のように髪をクルクルと指で巻くヴァニスに何て言えばいいのやと必死に悩んでいると、俺の耳元でジェフがコソコソと何かを告げ口してきた。
「――――――ヴァニス様はお酒にはめっぽう弱いので・・・あぁ言い忘れておりました・・・ベッドはそちらに・・・・」
「って・・おいッ!?・・・俺にナニをしろって言うんだ!?ジェフ!!!
―――――なぁ・・・ヴァニス?さっきの言った一緒にって言うのはだな・・・・別に結婚しようっていう意味じゃなくてだな・・・俺の良い方が悪かったごめん!!」
「ムクロは私の事が・・・キライ?
―――――まだ、ムクロをオモチャにしようとしたこと・・・怒ってる?」
俺は目をウルウルとさせるヴァニスを前に・・・どうすればいいかを考えている最中・・・俺のグラスに扉の隙間からジェフが覗いていることを知ると・・・何かあると思い・・・俺は扉を強く引き、ジェフに問いただすと・・・・・
「アイタタタタ・・・ハッ!?私としたことが・・・・
つい夢中になりすぎて・・・・ち、違うのです・・・ヴァニス様・・・こ、これには深いワケがーーーーーアぁぁあああ――――――――――――」
「さて、邪魔者は消えたけど・・・シラケちゃったわね。
まぁ料理も食べ終わったことだし・・・早速冒険に出ちゃう?」
「いいのかジャフをあのまま吊るしておいて・・・・」
ヴァニスは「いいのいいの」と言いながら俺と一緒に城の前の洞窟までやって来ると・・・ヴァニスの洞窟城のように着飾られたジャカルゥに冒険用のアイテムバッグを乗せてヴァニスが乗って待機すると、俺も笛を吹いてブランを呼び出し・・・俺たちはジャカルゥを走らせ・・・冒険に旅立った。
そして、一方ホームでは・・・ユリハ達が協力してホームの掃除を徹底的にしていた・・・・
「えっと・・・この本はどうしよっか?」
「それは私がご主人様からいただいたものですので、丁重に扱ってください。
――――――――――私の数少ない宝物ですので。」
「ユリハ~~洗濯機をかけるが他に洗うモノはないのか?」
「うん、今のところ大丈夫だよ~~回しちゃって~~
私も、モップ掛けしないと・・・エリちゃん悪いけど水を出してくれるかな?」
「うん、わかった・・・スピリチュアウォーター」
エリが水を出したのはいいが・・・思ったよりも出てきたため、床がびちゃびちゃになっていた・・・・
「うおぉ~~家の中が大洪水なのじゃ~~~早く玄関を開けるのじゃ~~」
「それにしても・・・ホームを急に大掃除するって言いだしたのはいいけど・・・ユリハの大掃除って・・・規模がすごいね!!
床を水でびちゃびちゃにしちゃう辺りが特に!!」
「あはは・・・それは私も想定外だったかな・・・でも、やるからにはみんなでピッカピカにしちゃおうね!!!」
「ユリハ・・・ムクロっちに褒められたいからって気合入りまくりだね~~
でも、あたしもムクロッちに褒められたいから手伝っちゃうけど~~」
「クーリアは褒められるよりもお土産目当てでしょ?」
「ただいま・・・って!?えぇッ!?ちょっと何やってんの皆!
床が水でびしゃびしゃ――――――って!?わ、私の火薬が!!!・・・あわわわ・・・私の・・秘蔵の火薬コレクションが・・・うぅぅううぅう・・・グスン。」
「すみません、アヤカ・・・両ひざをついて泣き叫ぶのを止めろとは言いませんが・・・・掃除中ですのでお手伝いに参加してくださるとありがたいのですが。」
レイはアヤカに掃除用のバンダナを手渡すと・・・涙を拭き・・・こうなったらヤケと言い放ち殺意交じりの掃除の狂戦士になった。
「レイレイはあのアヤカ相手でも容赦ないのじゃ・・・・」
「でも、これで掃除がすごくは早くできるね!!」
「ウム、だが・・・ムクロのヤツ・・・私たちのグルチャにも未だに連絡を寄越さないが・・・・ユリハの方には個チャが来ていないか?」
「ううん・・・来てない・・・でも、音沙汰がないって事は・・・安全にやれてるって証拠じゃないのかな?」
「ムフフ~~ユリハ~安全にやれてるって・・・それはどういう意味なのかにゃぁ??違う女の子とイチャイチャしてたりってことぉ?」
「―――――ちょっと・・・クーリア、あまりユリハを煽ると・・・」
クーリアはユリハの中で眠っていた何かを呼び起こし・・・ユリハの目つきが変わり・・・掃除に力が入っていた・・・・
「ムクロ君・・・他の子とイチャイチャしていてチャットを送ってこなかったりとしたら・・・私何をしちゃうかわかんないよ?」
「うぅ・・・ユリハが久しく怖く見えたのはアタイだけなのかのぉ??」
「いや、私も少し悪寒が・・・そして、不要だと思うが・・・ムクロがちゃんと冒険をしていることを願ったくらいだ・・・ムクロ、こっちはある意味限界かもしれないぞ―――――」
「ねぇねぇ、ユリハ・・・そんなムクロの一人や二人の浮気なんて、ここにいるクーリアとかコトハがムクロとイチャイチャしてるコトと何が違うのさ?
どうせみんな―――――ムクロ狙いなんでしょ?」
「アヤカ・・・その答えはストレート過ぎなのでは?」
アヤカの一言にホーム内に変な間ができ、静まり返っていた―――――
「アハハ・・・アヤカ・・・少し疲れたんじゃないか?
―――――ホラ、レイの紅茶でも飲んで休むといい。」
「わ、私はべ・・別にムクロの事なんて狙ってなんか・・・・」
「ハイハイ、この話はナシナシ・・・聞かなかったことにして掃除に戻ろう!!!ね?ユリハ?」
「え、あ・・・うん・・・そうだね、ムクロ君が帰ってくる前にちゃんと綺麗にしておかなくっちゃね・・・あはは・・・」
「アヤカの発言でなんだかユリハ達がモヤモヤッとしているように見えるのは私だけでしょうか・・・・」
「どうだろうねぇ~皆、どうこう言っても・・・中身は乙女で男はムクロだけだから・・・取り合いになるのもわからなくはないんだけどね・・・・」
「あ、アタイは・・・主殿の事が大好きなのじゃ~~~
―――――あ~早く帰ってこないかのぉ~~~待ち遠しいのじゃ~」
ユキシロは赤く燃えるような夕日を見つめながら・・・どこかでムクロも同じ夕日を見ているのかと思いながら、帰りを待ちわびていた―――――――
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