第164話 ヴァニスの初フレンド

――――――――――洞窟城


辺りにはそれは多種多様のモブが並び・・・ヴァニスの命令を待っている様で・・・・一定の距離を保って待機していた。


「最後にここでイエスと言えば考えなくてもないけど・・・まだ、私のモノになる気はないの?」

「何度も何度も言っているが・・・俺はオモチャにもならないし、ここでコイツらにやられるつもりもない。」

俺の返答を聞くと、ヴァニスはモブに命令を下した。


「その言う事を聞かない下人を・・・お好きにやりなさい――――――」


―――――――GYAAAAAAAAA!!!

―――――GOAAAAAAAAAAA!!!


「ついに戦闘開始かッ!!!だがこの程度の量じゃ・・・俺は足りないけどなッ!!!ハァッ!!!」

俺は向かってくるモブを次々と切り捨て、消滅させていくと・・・

だんだんとモブの量が減り・・・門番がヴァニスにコソコソと話した。


「ヴァニス様・・・予定が――――――」

「いいの、いいの・・・あのモブたちの好きにさせちゃえばいいのよ。

――――――だって、ホラ・・・・あんなに楽しそうに声を上げて・・・って・・アレ?モブはどこに行ったの?」

「―――――おいおい、これで終わりか?

歯応えがないどころかレベルが低いな・・・モブは数を出せばいいってものでもないと思うんだが?」

俺の発言にヴァニスはキィ~とイライラしながら・・・門番に特別にアレを出しなさいと言いつけ・・・門番はびくびくしながら了承し、再び扉が開いたのだが・・・・・


「なんだ?今度のはやけに大きいな・・・

―――――――こいつは・・・ハイエルダードラゴンか!!!」

「そうよ!あら、あなた・・・よくこの子の正式名称を知っていたわね・・・褒めて遣わす!!だけど・・・このにムクロは勝てるのかしら?この辺で本当に私のオモチャになった方がいいんじゃない?」

ハイエルダードラゴンは大きいドラゴンの種であったが・・・ヘルファイヤードラゴンや属性持ちのドラゴンとは違い・・・このハイエルダードラゴンは無属性なため・・・・・


「――――――――これでトドメだ!!!!ハァッ!!!!」

「なッ!?・・・・まさか・・・あのドラゴンちゃんまでやられるなんて・・・

―――――この城を建てて以来の出来事よ・・・どうしようかしら・・・」

「ヴァニス様・・・それよりも、あのムクロとかいうモノがいないですぞ!!」

俺は姿を見せないヴァニスに直接話すため・・・ドラゴンと戦った際にできた穴を通り、ヴァニスのいる2階まで行くと・・・


「こ・・・ここまで、よ・・良くたどり着けたわね・・・・褒めてあげるわ!!」

「ヴァニス様・・・・もう私たちの打つ手はないかと・・・」

「俺は別に外に出られたら何も言うつもりはないんだけどな・・・それとも、まだ何かやろうっていうのか?」

そう言うと・・・ヴァニスは高く笑いだし・・・


「ふふん・・・いいわ!その強さ、紛れもなきモノと私は見た!!

だから、アナタは今日から私のモノよ!!!

―――――そして、この城への出入りの自由と・・・この私の・・・初めてのお友達に・・・なってください!!」

「その・・・なんだ・・・ヴァニスのモノにはなりたくないけど、友達にならなってやってもいいけど?」

「おぉ・・・心優しきムクロ様・・・ありがとうございます!!!

――――――ヴァニス様はこのグロリアを始めてからと言うもの大金を次ぎ込み・・・こうやって洞窟城にはモンスターをお金で買い・・・ここで友達や家来だと言いつつ生活しておりましたが・・・何と今日は、本当にめでたい日なんだ!!!」

横にいた家来が鎧姿で顔がわからないが・・・感激のあまり泣いているのか涙がのようなものが鎧から流れ出し、ヴァニス以上に興奮していた・・・そして、ヴァニスは・・・恥ずかしかったのか・・・事実を話されて激怒したのかわからないが・・・その家来を2階から突き落としてから俺とフレンドコードを交換した。


「これで・・・私たちはお友達・・・って事でいいのよね?」

「まぁ・・・そうだが・・・俺はお前のモノにはならないからな?」

「それでも大丈夫ですぞ――――――ぐあッ!?」

ヴァニスは2階にあった椅子を番兵の上に落とすと・・・俺の手を取り――――――


「それじゃ、ムクロが私のモノにならないのなら・・・私がムクロのモノになればいいのね!!!

それだと・・・つまり、ムクロは私のモノになったって事よね!!!

―――――きゃーーーーーー!!!」

「ヴァニス様・・・勝手な妄想はいけませんぞムクロ様が困るゥ・・・ぬはッ!!!」

「ヴァニス・・・誰かのモノいなるとかならないとかそんなに大切か?

俺は・・・ただ自由に、やりたいことをしてるだけで・・・拘束されるのは好きじゃないんだ・・・わかるか?」

ヴァニスが2つ目の椅子を家来に落とし、俺はヴァニスに自分流に話すと・・・ヴァニスは少し考え・・・


「そ、それじゃ・・・私もムクロと一緒に・・・外に・・・共に自由な冒険がしたい!!!」

「あぁ・・・冒険仲間が増えるのは結構だが・・・俺の名前がレッドネームだけどいいのか?」

「ほほう・・・レッドネームですと?

フム、これは見事にムクロ様は数名をボコリましたな?」

気付けば家来は2階に上がってきており・・・俺の名前をまじまじと見て・・・ヴァニスにわかるように伝えると・・・・


「へぇ~ムクロって割とワイルドなところもあるのね。

アナタみたいなタイプだと・・・穏便に行きそうだと思うんだけど、見た目だけじゃわからないものね。」

「ですが、ヴァニス様・・・ここへ来たムクロ様は兵を殺傷することなく来たわけですから・・・無闇に人を傷つける者ではないと私は断言します。

もし、仮に・・・ヴァニス様を傷つけるようなことがあれば・・・このヴァニス様直近家来である私が地の果てまでも追い詰め・・・その首を公衆の面前で撥ねると誓いましょう。」

「仲間思いの家来がいて・・・ヴァニスは幸せ者だな。

家来の・・・えぇっと・・ジェフさん?

――――俺の名前には様はいらないんだけどな・・・・」

俺がそう言うと・・・ヴァニスは恥ずかしいのか顔を小さく頷くと・・・・


「いやぁ~ここまで清々しい青年と出会えるとは・・・いつぶりだろうか。

ウム、ですがムクロこれは私のケジメというモノでお許しを。

それと、私の名はジェフとお呼びください・・・我がヴァニス様のご友人。

ヴァニス様がよろしければ、すぐにでも旅の準備をいたしますが・・・如何なさいましょう?」

「そうね、早く出ても仕方ないから・・・ゆっくり準備なさい。

その間・・・私はムクロと夕食でもいただこうかしら。

――――――料理長にこれからすぐに料理の支度をするように伝えなさい!!

それと、私は少々席を外すわね・・・また後程・・・」

ヴァニスは俺とジェフを置き去りにして・・・俺はヴァニスにどこに行くのか尋ねようとすると・・・・


「ムクロ様、ヴァニス様は後程と言いました・・・すなわちコレは衣装替えのお時間と言う事でしょうなぁ!!!

ハッハッハ、失礼・・・私もヴァニス様の家来をしてからこういうしをするのは初めてなもので。

ですが、ご安心を・・・ヴァニス様はムクロ様に夢中でございます故・・・

それと気になっていたのですが・・・ムクロ様のあの戦いぶりは・・・本気ではありませんでしたね?

私がここで見てきた勇敢にも挑んだ者たちは・・・本気の本気を出し切り、それでも策や力が及ばず・・・敗退するものしか現れなかった・・・それをムクロ様はいとも簡単にすべてのモンスターを倒し切った・・・ムクロ様は一体・・・何者でしょうか?」

「俺はそうだな・・・・今はソロプレイヤーだ。

それ以上でも以下でもない・・・ただジャカルゥに乗って気ままに名前の色が元に戻るまで自由気ままな旅をしていたプレイヤーだ。」

俺の返答にジェフが大きく笑い・・・不意を突いて、俺に手刀を入れようとしてきたが・・・俺は手を払いのけ、ジェフの足元にある宝石を手に取った。


「実に見事ですムクロ様・・・・私をも軽く超えられる実力おをお持ちとあらば、ヴァニスを任せられます・・・それと、その宝石はヴァニス様の大切にしている品ですな・・・きっと今頃は大慌てで探していると思いますので、届けてやってくれないだろうか?」

「あぁ、わかった・・・でも、ヴァニスがどの部屋にいるか知らないんだが?」

ジェフは俺にヴァニスが向かったであろう部屋の案内をすると・・・旅の準備をするためにどこかへ行ってしまった。


「ヴァニス~~~ちょっと話があるんだが・・・・いいか?」

「――――――って!?返事してないのに勝手に入ってこないでよ!!」

俺はヴァニスに声をかけながら部屋に入ると・・・下着姿で衣装を選んでいるヴァニスと直面し・・・ヴァニスに部屋から追い出され、扉越しに俺は先ほど拾った宝石の話をすると・・・ヴァニスは「探していた」と言いながら、下着姿のまま飛び出し・・・ハッと気づくと慌ててヴァニスは部屋に戻り、衣装を選び着替えて出てきた――――――――――


――――――――――――――洞窟城

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