第142話 コロシアムの名店

―――――――――コロシアム:ケア室・・・・


会場のボルテージが最高潮に達し、ユリハやムクロに対しての歓声が響き渡っている中・・・その光景をモニター越しにケア室から数名が見ていた―――――


「いやぁ~激しい戦いであったが、ファムの見立て通りムクロが勝ちおったわ!

ワシはアヤカが圧勝するかと思ったのだが・・・やはり何が起こるかわからんな。

のぅ・・・?」

「フン、私を買被り過ぎよ。

それに・・・私達の中じゃムクロが強すぎるのよ・・・私達の中で誰がどう予想したって、不利な状況にムクロが置かれていても私達の中でムクロを選ばないモノはいないくらい強いのよ?

だからあの状況でも私とムクロにどれだけ体力差があろうが・・・私じゃムクロには到底及ばなかったのよ。

でも、やれる事をやって無様に負けたのだから笑えないわよね――――――」

「そんなことないよ!!!!

私、アヤカの戦い方・・・嫌いじゃないよ。

それに、ムクロにだって後少しで届いてた・・・緻密に計算したアヤカだからこそムクロをあそこまで追い詰める事ができたんだよ!!

だから、今日くらいは自分を褒めてもいいと思う。

アヤカが自分自身で褒められないのなら、私が代わりに褒めてあげるから遠慮しないでね!」

ファムが笑いながらアヤカに語りかけると・・・アヤカは頷き、ファムに感謝の言葉を返し・・・晴れやかな顔をしていた―――――


ゾーンの指定時刻まで20分程あり、俺達はフィールドから離れ・・・レイ達のいる観客席まで戻ると・・・・


「お帰りなさいませご主人様、それにユリハ・・・そして、ファイナルバトル進出おめでとうございます。

これから後に行われるファイナルバトルも全力でご主人様を応援致しますので頑張ってください。

勝利の暁には、私との特別添い寝券の進呈を・・・・」

「レイレイ、その薄気味悪いチケットは何なのじゃ!

それに、まだ勝ったとは決まっておらんのじゃ!!!

何せ、相手がこのユリハなのじゃからな。

―――――――だが、さすがアタイを打倒うちたおした主殿じゃ!!!

アヤカの戦いもファムの戦いも実に見事じゃった。

本当にアタイの周りにはプレイヤーが揃いも揃って最高なのじゃ。」

「2人ともありがとな。

だが、ユキシロの言う通りだ・・・最後の戦いはこの白百合の剣士様ことユリハさんだからな~俺も本気を出して戦わないとな!」

「もう~からかわないでよ!!!

でも、私も本気で行かせてもらうよ!!!

何度もムクロ君と戦ったけど・・・今回はいい戦いができると思うから本当に楽しみだよ。」

「はい、ただいま~――――――はぁ・・・またユリハとムクロはイチャイチャしてるの?

本当に、これがファイナルバトルを飾る2人となると・・・ただの見せつけよね・・・」

「まぁまぁ、アヤカ・・・そう言わずに――――――

戦場に立てば、2人は敵対者・・・今回だけは見逃そうよ・・・ね?」

ファムがアヤカにそう言うと、アヤカは2人に対していつもイチャイチャしていると付けたし・・・・椅子に座って弾の調合を始めた―――――


「でも、まさか本当に最後まで残れるとは思わなかったよ。」

「そうだな、それは俺もだけどな。

アヤカにファム・・・強者ばかりだった。」

「ですが、ご主人様もユリハも目指すは優勝なのでは?

そうだとすれば、これからが本当の戦いなのでは?」

「うむ、レイレイの言う通りじゃ・・・ユリハに主殿・・・優勝者、すなわち・・・強者は1人、主殿かユリハのどちらかなのじゃ・・・だからアタイ達の分まで戦って来て欲しいのじゃ!!」

ユキシロがガッツポーズをとると、俺はユキシロの頭をワシャワシャと撫でると、空気をぶち壊すかのようにユキシロのお腹が鳴り響いた。


「まったく・・・締まりのないお腹で私が恥ずかしいです。

そう言えば、ご主人様達は初戦から戦いっぱなしではいざという時に戦えなくては大変ですので、このコロシアムにある食事処にでも食べに行きませんか?」

「おぉ!!!食事とな!!!アタイは聞いての通りぺこりん状態なのじゃ!!!!な~主殿ご飯ご飯を食べに行こうぞ~」

「ふふふ、さっきまでの緊張感もユキシロのお中の音でどっかに行っちゃったね。」

「そうだな・・・時間はまだあるな、仕方ない―――――アヤカ、ファム・・・俺達はコロシアム内の飲食店に腹ごしらえに行くつもりだが・・・一緒に来るか?」

「なになにムクロの奢り!?そりゃ~もう戦い詰めでお腹が減ってたから・・・お呼ばれされちゃおうかな。

――――――アヤカも来るでしょ?」

「私は・・・その――――――

はぁ~~わかったわ、行くから・・・その、皆して私を見ないでよ。」

俺達はアヤカに視線を集中させると・・・アヤカは行かないと、この視線を解除できないと理解すると・・・ため息を混じらせながら了承し、俺達はコロシアム内にある食事処へと向かっていった――――――


「おぉ~ここがコロシアムの飲食店!!!

いい匂いがプンプンするのじゃ!!!

さっそく入ってたっぷり食べるのじゃ!!!」

「ユキシロ、ご主人様のお財布の事も考えなさい。

ましてやユキシロは金欠でご主人様に立て替えてもらった恩義が――――――」

「そのことは気にしなくていい、じゃんじゃん食べて問題ない。

だが、ここって・・・・ほぼ酒場だよな―――――――」

「酒場でもどこでもいいよ!!!

ムクロ、さっきのその言葉にウソはないんだよね!!!

だったらだったら、私もた~~っくさん食べちゃうからね!!」

「あ、2人とも!!

――――いいの?ムクロ君・・・あの2人の食費は普通の人の10倍は・・・・」

「ユリハ、シーーーーー・・・・ムクロがいいって言ってるの、好きにさせてやればいいのよ。

きっと、に稼いだ大金が山のようにあるんでしょ。

それなら、私もお言葉に甘えて張り切って食べさせてもらうとしようかしらね。

ホラ、2人とも待ちなさい――――――」

アヤカの悩みが吹っ切れたのかユリハにジョークをかましながら先に席についたファムとユキシロのの元へ行くと・・・俺達は元気付けるはずのアヤカの様子に少し安堵しながら席に向かうと、アヤカがポンポンと自分の真横が空いていると俺にアピールすると・・・ニコっと笑顔まで飛ばし、断れない状態になっていた。


「あッ!!!アヤカ、ズルイのじゃ!主殿を独占するとは抜け目ないのじゃ~~~」

「ユキシロ、それは私のセリフです・・・ですが、今回はご主人様やアヤカ達の健闘も兼ねているのでは見逃しましょう―――――」

「あはは・・・レイちゃん、目が笑ってないよ?

え、えっと・・・ホラ!!!め、メニューがいっぱいあってどれにするか迷っちゃうな・・・・なんて―――――――」

「ナイス、ユリハ・・・これで少しは・・・って!?

アヤカ、どうして俺に寄りかかるんだ?」

「そりゃ~今回はムクロの隣だし?

たまにはいいでしょ、たまにはね―――――

ホラ、そんな事より見て見て・・・あそこに焼きもち焼いてるユリハがいるよ。

いつもだとクーリアの立ち位置だから少し新鮮ね。」

アヤカは手の出せないユリハを良い事に、調子に乗って悪戯がエスカレートしていった。


「む、ムクロ君・・・何を食べるか・・・決まったかなァ???」

「そ、そうだな・・・・それじゃ、ドラゴンのミックスグリルでも食べるかな。

――――――アヤカや皆は決まったのか?」

「私もぉ~ムクロと同じモノにしようかしら。」

「――――――ひそひそ・・・レイレイ、ファム・・・アヤカのたまに見せるあの悪魔的行為はなんなのじゃ?」

「―――――小悪魔モードとお呼びする方が正しいのかもしれないですね。

アヤカの抑圧された感情がユリハに対して暴走しているのかと・・・・」

「アヤカってムクロの事・・どう思っているんだろうね?

ただのライバルなだけかな?

―――――――それとも・・・・あ、私フレイムガルーダの丸焼き~♪」

ファムは肝心な所でメニュー表に意識を変え、店員に伝えるとアヤカの悪戯がさらにエスカレートしていった―――――――――――


――――――22時30分・・・コロシアム:酒場

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