第123話 スティールバード戦:決着

―――――――――――グレイマウンテン・・・奥地:スティールバード戦


先程の戦闘により、残るスティールバードの数は2体となったのだが・・・・・地に落ちたスティールバードが大きく助けを求めるように鳴き声を上げると、山や空に潜んでいたモブがやってきた――――――


「コイツは・・・・また、モブの新たな能力、行動か――――――

まさか、他のモブを呼び寄せるなんてな・・・ファム、まだ戦えそうか?」

「当たり前だよ!!この数でも私たちならやれるよ・・・・きっとね!!」

ファムは空を飛び交うモブに臆することなく、ランスを構え・・・向かってくるモブを次々と貫きながら戦闘を開始していた―――――


「ははは、それでこそファムだな!!!

俺も頑張らないとな!!!」

「そうそう、早くこのクエストを終わらせて街の美味しいもの食べに行かないと!!!

―――――――デュアルスパイク!!!」


―――――――GYAAAAAAA!!!!

――――――――GYAAAAAA!!

―――――――――GYAGYAGYAAAAA!!!


「すごい数のモブ・・・・エリ、先約とかどうとか言ってる場合じゃないよ!?

この場面は色々とマズイよ・・・・・」

「ム・・・それもそうね、でもこの程度の数ならムクロとファムでもきっと大丈夫。

だって・・・・ムクロったらこういう場面でも笑って楽しんでいるから―――――」

「あ、本当だ・・・・ムクロ君、楽しそう―――――」

ユリハは楽しそうに笑いながらファムと背中を預け合い戦うムクロを見ると、何だかこの凄い状況下でも何とかなると感じると――――――


「ファム!!もっと速度を上げて行くぜ!!!ハァッ!!!!」

「ちょ、ちょっと・・・待って!!!くッ・・・・まだ早くなれるの!?」

ファムは速度を限界まで上げ、やっと追い付くかという状態であったが・・・モブの量が増えた事で俺は速度を上げると、ファムは追い付く事ができなくなっていた。


「くッ・・・早すぎだよ・・・ハァッ!!!

なッ―――――ヤバイ・・・・」


――――――GYAAAAAAA!!!


「――――――っと・・・・・大丈夫かファム?

悪い悪い・・・楽しくなって速度を上げ過ぎた・・・えっと・・・怪我はないか?」

ファムが不意をつかれ、モブに攻撃される瞬間・・・俺のカバーでファムは攻撃を喰らう事はなかったが、少し怒ったような顔でモブに怒りを撒き散らしに向かっていた。


「も~バカバカバカバカバカバカ!!!!

絶対絶対・・・ムクロを・・・超えて見せるんだから!!!!」


――――――GYAAA!?!?

ファムの表の顔は怒っているように見えるが・・・内心では自分よりも強い人が現れ張り合いができた喜びもあり、それが素直に現れていないだけで・・・その感情の爆発を戦闘で発揮し、ジャンプで空を飛んでいるモブに近づき・・・重い一撃を加えると言う斬新な戦い方を見せていた。


「やるな!!さすが天使!!空の相手にはやっぱり強いな。

連れて来て正解だった。」

「そ、そんなことないよ・・・・えへへ・・・・」

そして、ファムは褒められれば喜ぶ所は素直であった―――――


「何あのファムのジャンプ力・・・・天使のジャンプは万里を超えるの?」

「本当に未知の性能を秘めているわね、見てて飽きない―――――」

「万里はともかく・・・凄いジャンプしてたね。

しかも狙いも正確で、急所も的確に狙っていた・・・・こうやって戦闘を見てると天使の戦い方には無駄が無いよ。」

ユリハの発言にエリやクーリアも頷くと、残りのモブがすくなって来た所で・・・2人は肝心のスティールバードを見つけて攻撃を開始した。


「いたッ!!!あそこにいるぞ!!!ファム!!地にいるスティールバードは俺に任せて・・・・上空にいるヤツを任せたい!!!」

「りょ、了解だよ!!し、仕方ないなぁ~~えへへ・・・・」

「あと、何だか・・・・ファムのムクロへの対応が変わってなくない??

何だかその・・・・デレデレしていると言うか―――――」

「クーリアもそう見えるの・・・・私だけかなと思ってたけど。

、ムクロはやってしまったのね。」

「ム・ク・ロ・君!!!!!!」

ユリハは顔を暗くしながら黒いオーラを出してムクロを見つめている間にファムが上空にいるスティールバードにジャンプで近づき・・・スキルを叩き込み消滅させると同時に・・・クエスト完了の表示が出ると、他のモブはそそくさと空や山へと帰って行った―――――


「ファム、お疲れ・・・・やっぱりあのスティールバードを先に倒せば他のモブは帰って行ったな。」

「お、お疲れ・・・ムクロ!!

えへへ、私頑張ったんだから・・・その、街の御馳走をいっぱい食べさせてね♪」

ファムモブの事より、すぐさま鎧を脱ぐと・・・ポーズを取りながらアピールをして御馳走を要求すると、俺は頭をかきながら仕方ないと言い・・・ハイタッチをして街に戻る支度を始めた。


「御馳走だ~御馳走だ~フンフンフンフン♪」

「すごい、ご機嫌だな・・・やっぱりファムは食いしん坊だな~」

「く、食いしん坊じゃありません~ただ、天世界と違うモノがこんなに美味しいとは思わなかったので・・・いっぱい・・・いえ、少し食べて見たいと思っただけです!!

あと、隣にムクロがいるから・・・とても美味しいの―――――」

ファムの最後の一言がボソボソ聞こえ、何を言っているかわからなかったが俺は気にせずにファムと街へと帰還し、クエストの完了報告を済ませると・・・飲食店街へと足を運んだ。


「ととッ・・・私たちもやっと街に戻ってきたのは良いけど・・・・・

アレは少し末期に近い感じではないですかね?」

「クーリア話し方がすごい事になってる・・・・

でも、ファムの行動から見ると・・・ラブ臭がするわね。」

「エリ、クーリア・・・・そんなに杖を握りしめなくてもいいと思うんだけど・・・・」

そう言う、ユリハも剣の鞘から手が離れず・・・ガタガタと震えて、苦笑いを浮かべていた。


「あッ!!!ムクロッ!!アレ!!アレ見てッ!!!すっごく大きな白くてほわほわしたモノがあるよ!!!」

「あぁ・・・アレは肉まんと言ってだな・・・食べた事無いなら食べて見るか?」

俺が安易にファムに聞くと、案の定・・・即答で答え、ファムに手を掴まれながら店の前に引っ張られると・・・・


「イッラッシャイ!!

ご注文は何にイタシマショウカ?」

「えっと、この・・・肉まんのちゅ―――――」

「この、超特大ジューシー肉まんの大盛りで!!!」

肉まんの中サイズを頼む前にファムに先を越され・・・店の中から巨大な肉まんが持ってこられ、ファムは受け取ると凄い目を輝かせていた。

こんな状態のファムから肉まんを返却すると言えば必ず泣くか、危険な行為をする可能性を考えると・・・黙らせるためにこれくらいは必要と思い、会計を済ませると・・・ファムに手をまた引っ張られ、ベンチに座って俺はファムの食べっぷりを見ていた。


「はふはふ・・・・ムクロ、コレすごく美味しい!!!」

「そうか、ははは・・・それは良かった―――――」

ファムは何も食べていない俺を気遣い、食べかけの肉まんを少し食べるかと聞き・・・俺は断ろうとしたがファムのこの笑顔の破壊力が凄まじく、断る事ができずに食べている部分を少しかじって見ると案外美味しかった――――――


「ファム、この肉まん美味しいな・・・・

また、皆に御馳走してやるか―――――」

「でしょ?ゴクリ―――――

ムクロがかじった部分・・・・・コレを食べると・・・ゴクリ―――――」

「アレは・・・俗に言う間接キス!?

エリ、アレはレアアイテムだよ!!!

すぐにでも回収しないと!?」

「でも、すでに間に合わない・・・・色々な意味で―――――」

クーリアが、え?と言う前に・・・ファムが食べる目の前にユリハが立ち・・・パクッとユリハがムクロの食べた部分をごっそり食べていた―――――


「ハイ、御馳走様・・・ムクロ君♪」

「ぎゃああああああああああ!!!!

私のムクロ肉まんが~~~~!?!?

おにょれ~~アナタは一体誰なの!?」

「ゆ、ユリハ!?・・・・ってか、ファム・・・俺は肉まんじゃないぞ!!!

ん?・・・ユリハ・・・その剣で何しようって言うんだ?」

ユリハは久々にカチンと頭にキタのか・・・剣を抜き、ムクロに対してPVPを飛ばしていた――――――


―――――――――飲食店街・・・大広間のベンチ

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