第124話 ユリハ怒りのPVP
―――――――――飲食店街・・・大広間のベンチ
ユリハの顔は笑っているように見えたが、これは俺がよく知るユリハの怒った時に見せる笑顔で、エリやクーリアと街に買い出しついでに飲食店街に行った時もコレくらい怒っていた事を思い出す・・・・・
「ユ、ユリハ・・・俺が悪かった・・・でも、アレだ・・・ファムと俺達とは別に行動してたのにどうしてここにいるんだ?」
「ギクッ!?・・・・そ、それは・・・そのぉ~~たまたまよ!!!
ムクロ君の事なんて目を閉じて立ってわかっちゃうんだからね!!!」
「ムクロ、この・・・ユリハって人は何なの?
すごい、怪しいんだけど・・・・ムクロの追っかけストーカー?
排除する?」
ファムがランス握ろうとすると、俺はファムの手を押さえ・・・ユリハは俺にとって特別な人と言う事を伝えると・・・何やら悲しい顔をしてそっと武器をしまった。
「でもでも、私のムクロ肉まんを食べるなんて酷いよ!!」
「あ、アレは・・・・つい、出来心で・・・・見過ごせなくて・・・・違う何かをおごるから許して欲しいな・・・なんて―――――」
ユリハが謝罪しながら違うモノで詫びると言うと、ファムは二つ返事で許していた――――
「えっと・・・それで・・・・ユリハ・・・どうしても戦うのか?」
「もちろん♪―――――コッチは今まで色々なシーンを見せられて業腹なんだから~フフフ・・・」
「あ、また何かスイッチが入った―――――ガンバレ~ムクロ!!
ユリハには悪いケド、ムクロの方が強いんだから!!!」
「―――――――ねぇねぇ、エリ・・・・早く帰ろうよ、ここにいたら私たちまでバレちゃうよ。」
「そうね、ユリハには悪いけど・・・・ここでドロンしましょうか。」
ユリハが忘れていようとした様々な記憶がフラッシュバックし・・・またもやユリハがお怒りモードになっていた・・・・
それを見るや、エリとクーリアは助け舟どころかばれる可能性もあり自分達の身の危険を感じると・・・すぐさまPVPの始まりそうなこの場所から離脱を開始し、ホームへと帰って行った。
「さぁさぁ・・・ムクロ君覚悟は良いかな??
私はいつでもいいんだよ?」
「し、仕方ない・・・今回は理由が少し強引だが・・・俺も売られたPVPは買う主義だ・・・
PVP承認っと―――――」
俺は覚悟を決め、承認ボタンを押すとユリハの前へ出て・・・ナイフを構え・・・PVP開始の合図を待っていた―――――
――――――PVPモードスタンバイ・・・・3,2,1、―――ファイトッ!!!!
「先手必勝!!!!
―――――
「ハッ・・・ハッッ!!!ふんッ・・・ハァッ!!!」
ユリハの連撃をナイフ1本で凌ぎ切ると、ユリハはさらにスキルを使用していた―――――
「ハァッ!!!!
――――――レイスティンガー!!!!」
「くッ・・・・・ぐぐぐ――――――」
ユリハの連撃はいつもより激しく、容赦のないモノで・・・今まで戦っていたユリハとは別と言った方が良いモノであった・・・・
「ゼイアッ!!!!
――――――ブレイブダンス!!!!」
「ぐ、くッ・・・・痛ッ・・・早いッ―――――
クイックシフト!!!」
俺のスキルを数発受けると、ユリハは咄嗟に加速スキルを使用し、身を引くが・・・数発入っただけの筈が・・・急所に入ったのか、体力バーが黄色に差し掛かっていた―――――
「やっぱり、凄い・・・・すごく強い・・・・
でも、私ももっと強く、もっとムクロ君の先へ!!!
――――――ブレイブスティンガーーー!!!!!」
「ぐはッ!!!早いッ!!!
それにこの威力――――――ぐぁ・・・・・!!!
だが―――――まだまだァ!!!!
――――――――――ソードリーチアップ!!!」
ユリハの剣を腕で掴むと・・・ユリハにナイフを向けると・・・・ナイフが形状を変え、ソードクラスの長さになると・・・ユリハの肩を突き刺した―――――
「ぐッ・・・・このままいけば・・・・勝てるッ!!!
届いて――――私の剣!!!!」
「ッ!?・・・・・まだ粘るのか・・・相当怒ってるんだな・・・・だけどなユリハ、私情をPVPに持ち込んでたら勝てないぜ?」
俺はバッと剣を離すと同時に全力のクイックシフトを使うと・・・・フィールドから俺の姿が消え、ユリハが辺りを探すが・・・見つからず――――――
「なッ!?上からッ!?
――――――くッ・・・ガードが・・・・間に合わないッ・・・・・・」
「もらったッアァァァァアアァ!!!
―――――クイックスラッシュ!!!」
俺の一撃はユリハのガードよりも早く懐に入り・・・・ユリハの体力が消え・・・PVPは終了した。
「はぁはぁ・・・・ユリハ・・・・ナイスファイトだった。
久々にすごい戦いができて俺も満足だ・・・・ハァハァ―――――」
「お疲れ様・・・・やっぱりムクロ君にはあと一歩が届かなかった・・・・
すごく、凄く凄く悔しい・・・・・でも、後悔はないよ・・・全力で戦ったからね♪」
「2人とも・・・凄い戦いだったよ!!
次は誰が私と戦ってくれるの!?」
ファムはボロボロな姿の俺達を見ながらまだ戦おうとしており・・・流石に俺とユリハは戦えないと、きっぱりと言い返すとファムは仕方ないと言って肉まんをパクパクと食べ始めた。
「で、だ・・・これでユリハは怒っていない・・・・のか?」
「う~ん・・・仕方ないからこの辺で許しておいてあげちゃうよ。」
そう言ってユリハは倒れている俺に飛び付くと・・・2人で街の自動回復システムで体力が回復し切るまで空を眺めていると・・・・
―――――――街イベント発生!!!街イベント発生!!!
街に湧き出すスライムの討伐イベント開始!!!
参加条件ナシ、討伐数に応じてポイントと報酬支給・・・
皆さんガンガン討伐してください!!!
尚、このスライムは服を溶かす攻撃や服を食べる性質があるので女性プレイヤーやNPCは気を付けてくださいね~~~
「「「「「「何だとッ!?」」」」」」
「「「「「「何ですって!?!?」」」」」」
男性女性プレイヤーの温度差のあるリアクションが辺りから聞こえ――――――
ユリハは手の感触に嫌な感じがしたと思い・・・手を見て見ると、手にはスライムの粘液でべっとりとなっていた――――――
「くッ・・・・女の敵ッ!
―――――――スライム覚悟!!!
「どうしたユリハ・・・・って、危ないぞ!?」
「ムクロ・・・あむあむあむ・・・しただよ下!!!」
俺はユリハが突き刺した頭上を見ると・・・そこにはスライムが現れユリハの攻撃によって消滅していた・・・・・
―――――――キャッーーーーーー服が溶かされちゃう~~~
――――――うぉーーーーーー!!!!!!
――――――見るなァ!!!変態共ぉ!!
―――――――なんだこいつら・・・女ばかり狙ってやがるのか・・・・なんて最高なイベントなんだ!!!
―――――――だが、動画撮影もスクショもできない所を見ると・・・・この他言無用系のイベントだな・・・参加できてよかったぁ~~神様ありがとうございます!!
「何だ・・・この違う意味での盛り上がりは―――――」
「む、ムクロ君・・・・余りじろじろ見ないでね・・・その少し当たっただけなんだけど・・・・
衣装が溶けちゃって―――――」
「ユリハのスカートが部分的に溶けちゃってる~キャ~ハレンチ~~私は鎧なので大丈夫!!!
って、ギャーーーーーースライムが鎧の中にッ!!!!
この、サンダーショック!!!!」
―――――――PIPAPIPIPPPPPPP・・・・・・
「はぁはぁ・・・・ムクロ、鎧の中を絶対に見ないでね・・・・絶対だよ絶対!!!」
「と、とりあえず・・・・襲われているプレイヤーを助けながらスライムを駆除しつつホームへ帰るぞ!!!」
「うん、長居は無用・・・それに私もすごく恥ずかしい・・・あうぅうぅぅぅ。」
ユリハはスカートの中身が見えそうな部分に対して服をぐいっと伸ばし、隠しながら歩いているが・・・早くしないとユリハが男性プレイヤーの餌食になってしまうと考え、俺はユリハを抱え・・・・加速しながら移動を開始した――――――
――――――――――緊急街イベント:スライムを討伐せよ!!
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