第122話 スティールバード戦

――――――――――グレイマウンテン・・・川辺


ファムがバシャバシャと水を浴びながら長い髪や、腕や足と・・・隅々まで洗っていると・・・・

意識がハッキリしたのか・・・俺を探すような仕草を見せ、釣りをしている俺と目が合うと、自分の恰好を見ると・・・・俺に勢いよく水をぶっかけた。


「みーーーるーーーーな!!!!!」

「ちょっと、タンマ!・・・・のわッ!?・・・・・ぶはッ!!」

俺はファムにかけられた大量の水に体をもっていかれ・・・川に落ちてしまった―――――


「ムクロ君ッ!!?今助けるから待ってて!!!!」

「って・・・ユリハ!?今はダメだって!効果が解けちゃうよ!!!

それに、ほら・・・ムクロっちなら大丈夫・・・だ、から・・・・・」

「アレは大丈夫な状態ではなさそう―――――

でも、コレもムクロがの裸以外を見た罰なのでしょう・・・・

それも仕方のない事、罰はちゃんと身をもって受けないとね・・・ムクロ。」

すぐさま助けに行こうとするユリハをクーリアが全力で止めながら・・・・エリは怖い顔をしてこの先にどのような罰が行われるのか見届ける態勢に入っていると・・・・


「ごはッ・・・ゴハッゴハッ・・・・・いきなり何するんだよ・・・・

ってか、足は大丈夫なのか?」

「こっち見ないでよ!・・・・でも、足は・・・良くなったよ・・・ありがと・・・

でも、それとこれとは話が別だよッ!?

どうして、私の水浴びしている所にムクロが釣りをしていたのッ!?」

「逆だ、逆!!!俺が先に釣りをしていた所にファムが突然勢いよく飛び込んできたんだろ!?

それに・・・折角の魚達もさっきの音でどっかに行っちまった・・・・うぅ―――――」

両膝を付いて悔しがる俺に、ファムは俺の様子を見て・・・自分が寝ぼけていたと言う事に気付き――――こちらに謝罪をしながら近づいてくると・・・・足を滑らせ、こける寸前に俺がファムの腕を掴み引き寄せ・・・抱くと、ファムはびっくりしたのか声が


「ムクロ・・・・助けてくれたのは嬉しいのだけれど・・・その、あまりじろじろ見ないでね。」

「あ、あぁ・・・・・その、この辺は滑るから走ったら危ないから・・・気をつけろよ――――」

「何、ナニ・・・・あの2人ィ~~~急に恋人の様な反応しちゃって~~~

あの光景を見たユリハさん・・・感想をどうぞ!!」

「ムクロ君・・・帰ったら泣かす―――――」

「ユリハ・・・・そんな死んだ目で言う程――――――想定以上にユリハの精神にダメージが入ったのかしら?

でも、さすがの私も久々にムクロに説教をしたくなってきた・・・・・」

ユリハは全裸のファムを助ける光景を死んだ目で見ながら、そのままムクロから目を離さずに見続けていた――――――


「ファム・・・・なんだか少し誰かに見られているような気配がするんだが・・・・ファムは感じないか?俺の感知スキルには反応ないんだけどな―――――」

「まだ、こっち見ちゃダメだからね・・・・

ムクロが気が付かない程なら私にも感知はできないと思うけど・・・・それか相当ランクの高い何かで姿を消しているか・・・・それとも幽霊がムクロの事を好きになっちゃってたり?」

「ファムは察しが良いのか・・・・割り出すまで速いタイプだね・・・・敵に回すと厄介そうだね。」

「そうね、これからはもう少し慎重に行動しないといけないわね。

で、ユリハはいつまでそんな顔をしているの?」

「だって、だって~~私だってまだムクロ君には、はだ・・ハダカ何て見せた事なんてないのに!!!それなのに・・・・それなのに・・・・うぅ~~~」

エリとクーリアはまたしても面倒な顔をしながら時間も惜しいと感じ・・・・エリがユリハの耳元でこういう時の為のを囁いた――――――


「こしょこしょこしょ~~~~~」

「ッ!?し、仕方ないなぁ・・・・えへへ・・・ムクロ君がそう言う事言ってくれてたなんて~

私、もう泣かないよ!!!」

「エリ・・・・一体何をユリハに吹き込んだの?」

クーリアはエリにユリハに対して何を話したのかが気になり・・・・ひたすらに聞き続けてもエリは口を割ろうとせず、ムクロ本人に尋ねてみたら?の返答しかなかった・・・・・

そして、俺は濡れた服をたき火で乾かし・・・・すっかりケガの具合も良くなったファムと山奥の目的地に向かい始めた。


―――――――GYAAAAAAAAA!!!

――――――GYAAAAAA!!!

―――――――GYAAAAAA!!!!


「ファム、いたぞ・・・・今回の標的のスティールバードだ――――」

「あの空を飛んでる堅そうな鳥だね・・・アレも私の世界では見た事のない鳥だね。

つまり・・・・あの鳥は美味しいの?」

ファムは真剣な顔で俺にスティールバードが食べられるのか尋ねると・・・俺はオススメはしないと言うと、ファムはランスを構え・・・ちゃちゃっと終わらせて街の美味しいものでも食べにこうと言って張り切っていた。


「その話はこのクエストが終わってからだな・・・・と、言うわけで作戦はこうだ―――――

まず、俺がスティールバードの注意を引く・・・その後方からファムが追い打ちをかけて一気に終わらせる作戦なんだが、何かあるか?」

「特にないよ、この作戦もシンプルでやる事が明確で分かりやすいから考える事が少なくて助かるよ。

やることに専念できるから。」

ファムが持つランスに力が入り、いつでもどうぞと言わんばかりに追撃する態勢に入ると・・・・俺はスティールバードの前を通り過ぎながら――――3本投げ用のナイフでスティールバードを1体地面に落とすと・・・他の4体が俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。


――――――――GYAAAAAAA!!!

―――――――――――GYAGYAGYAAAAAAA!!!

―――――――GYAAAAA!!!

―――――――GYAAAAAAAA!!!


「こっちだこっち!!!ハァッ!!ハッ!!!」

「3、2、1、今だッ!!!はぁ!!!!

―――――――パワーランス!!!!」

ファムはスティールバードが背を向けている事を確認すると、背後から瞬時に近づき・・・・渾身のスキルを発動し・・・スティールバードを1体串刺しにして消滅させた。


「ナイス、ファム!!!俺も負けてられないなッと!!!ハァ!!

―――――――スピードスラッシュ!!!」

「ムクロも中々やるね!!私もワクワクしてきちゃったよ!!

――――――レイジングランス!!!!」

俺達のスキルの使用により、残るは地上に落ちたスティールバードを含めると2体となった・・・・・・・


「ムクロっちたち本当に息ぴったりだよね・・・・私も今度ムクロっちと2人でクエストに行って連携でも練習しようかな~」

「む、それは聞き捨てならない・・・それは私が先約だ・・・」

「なッ!?2人までムクロ君の取り合いを・・・・でも私も独占したい気持ちも・・・あぁ・・・どうしたら・・・・で、でも・・・2人とも・・・こういう時はムクロ君の意思を確かめてから話をするべきじゃないかな?」

ユリハが冷静に2人に語りかけると・・・・エリとクーリアの2人はユリハにこう言った・・・・


「「ポジションのいい人は口を挟まないで!!!」」

ユリハは何も言い返す事ができず・・・・エリとクーリアの先約の取り合い口論が始まり、ユリハは苦笑いしながらムクロ達2人の戦闘の行く末に待つ真のイベントに胸がザワザワしていた―――――――


―――――――――――グレイマウンテン・・・奥地:スティールバード戦

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