第116話 世界と世界の繋がり


由里達が怪しげな密談をしていると昼休みが終わり由里達は怪しい握手を交わすと自分の教室へ帰って行き・・・俺は耀子とコトハに引っ張れながら教室へ戻され―――――


―――――――放課後・・・・・


「さぁ~終わった終わった~今日も1日学んだね~」

「悠一、帰りましょ。」

「そうだな、帰るか。

今日屋上で何か企んでる様子だったが・・・俺が言えた事じゃないけど危ない事はするなよ?」

俺がそう言うと、耀子が笑いを堪える事ができずに吹き出し・・・・コトハは真面目に返事をしてからクスクスと笑い始めた。


「わかったわかったから・・・・ホラ、早くしないと由里達が待ってると思うよ?」

「そうね、少しでも遅れるとなんて言われるかわからないから早く行こう!!」

「って・・・コトハ!!手を掴んで走るな!!!」

俺はコトハに手を掴まれながら移動し、校門前で待っている姉さんや由里と合流して帰っていると・・・・


「悠一君、本当に今日からその・・・私たち別々になるの?」

「あぁ少しの間だけな・・・心配するな。

何かあったらメッセージでも飛ばしてくれたらいいぜ。

それに、そつちには耀子や姉さんがいるから寂しくないだろ?」

「悠一って本当に鈍感だよね・・・・こういうのわからないのかなぁ~」

「うむ・・・だが、たまには2人の距離をとり・・・互いのいない生活を味わうのもいいかもしれないな。」

「そう、この私たちがいるので・・・それに例のプランも・・・・フフフ―――――」

コトハは悪い笑みを浮かべながら・・・コトハの表情を見た耀子も悪い笑みを浮かべていた。

その笑みに一体どんな意味が込められているのかも知らずに俺は自分の家に帰って行った・・・・


「ただいまっと・・・・姉さんは今日シフトがあるからって突然消えるし・・・・・

仕方ない・・・グロリアでファムと合流して話を伝えておくか―――――」

俺は独り言をぶつぶついいながら、グロリアにログインすると・・・ファムと出合った場所に向かい、ファムを呼ぶと・・・空からファムが俺を目掛けて降ってきていた―――――


「ムクロ!!!!ごめんなさい、受け止めてくれたらうれしいなッ!!!!」

「って!?・・・・何でだ!?・・・・おおっと――――――」

俺は上手にファムのクッションとなって地面に押しつぶされていた―――――


「だ、大丈夫?・・・・その・・・ごめんなさい―――――」

「いや、それより・・・・俺の上からどいてくれたら嬉しいな・・・うぐぐ・・・重い・・・・」

ファムはの言葉にイラっとしたのか・・・さらに体重を背中にかけた。


「何が重いって???ナニガ???」

「いたたた、痛い!!わ、悪かった・・・悪かったからどいてくれ!!!」

俺の必死な詫びを受け入れ、ファムは俺の上から離れると・・・俺は腰辺りをさすりながら立ちあがると・・・・・


「その・・・ファム・・・頭の鎧はどうしたんだ?」

「私の素顔はまだ見せた事無かったでしょ?

だから・・・直接顔を合わせて話がしたかったから・・・取ったの。

ホラ、コレの事でしょ?」

ファムは肩に付いたヘルムのデザインが施された部分を取ると、形が変形して以前被っていたヘルムの形になった。


「それはそういう仕組みでヘルムになってたんだな・・・面白い仕組みだな。」

「でしょ~これは天世界の職人が作ったモノで・・・鎧も部分的に取り外しや交換がしやすいように設計されているの。」

ファムは鎧を脱ぎ、丸腰の状態で俺をまじまじと見つめていた。


「な、なんだよ・・・俺の顔に何かついてるのか?」

「いや、そう言うワケじゃない・・・こうやってよく見ると、ムクロ・・・お前はすごく良い目をしている・・・実に気に入った!!」

ファムは笑いながら俺の顔に手を当てながら肌の感触でも確かめるように触れていた。


「こうして見て、触っても・・・天使わたしもお前たちも同じカタチをしているのに皮肉なものだな・・・・・

私は意味のない争いは好まない・・・しかし、この度の天世界のやり方は実に私好みではないのだ・・・兄様を使ってまで私をこの戦いに巻き込んだ理由・・・そしてムクロを狙わせた理由・・・未だハッキリした答えが出ていないが・・・私は今回の争いに関して天世界側には不信感しかない・・・それに、天世界はルーンで見た時、以上にが起きている。」

「異変?それって・・・・どう言う意味なんだ?」

俺はファムに分かる範囲で今、起こっている異変に付いて話を聞くと――――――


「異変というのも・・・天世界は他のと繋がる事無く、独立した世界であったのだけれど・・・・ある日を境に、ムクロのいるこの世界と繋がり・・・天世界は独立していた頃よりも過激化し、攻撃的になって行った――――――

その頃から天からのお告げも聞こえなくなってしまった・・・・

お告げって言うのは・・・創造主様のことなんだけど、そのお告げを待つ事を忘れ・・・その声の代行をするモノが現れた・・・そのモノが現れてからは平和な天世界は力と他のモノを寄せ付けようとしない世界へと変わって行ってしまった。

これが、私の知りうる異変。」

「そう言う事か・・・天世界とこのグロリアが繋がった理由は仮説だが思い当たる節がある。

それは、この世界が他の世界と統合した事によって存在を観測できていなかった天世界を無理矢理このグロリアと統合した事によって繋がり・・・・そして、元々観測できていなかった事でフィールドの配置や天世界の存在もあるべき座標も全てが歪になっていたんだ。」

ファムは不思議そうに考えながら、俺を見てまたクスクスと笑いだした。


「ムクロって、面白い人だね。

私の兄様も同じように色々な事を真剣に考えては突拍子もない事をばかり話して・・・・

そして、私を残して消えちゃった・・・・・

うぐ・・・・どうしてこうなっちゃったんだろ・・・・」

「ファム・・・・大変だったな。

でも、ここはグロリアだ・・・天世界とはまた違った自由な世界だ。

だから笑って楽しむといいぜ。

この世界にはまだまだ未知の楽しさがある・・・それに1人で感じるよりも皆で楽しむ方がいいだろ?」

ファムは俺を見ながら涙を拭き取ると、眩しい笑顔を浮かべ・・・うん、と答え―――――


「その、ありがと・・・・少し元気になった。

で、例のホームへ行くの?」

「その事なんだが、色々事情があってだな。

ひとまずホームには行けなくなってしまったんだ・・・それと、これからは俺もファムと行動する事になったからよろしくな。」

ファムは驚いた顔をしながら俺が正気なのか確かめ始め・・・・


「本当にムクロって面白い人だね。

私が天使だって知ってて一緒に行動するなんて・・・・

だって、ホームに入れなかった理由も大体想像できるし、私が裏切ってムクロを攻撃しちゃうかもしれないんだよ?」

「はははは、ファムの方こそ面白い奴だと思うけどな。

だって、俺の事を信用してなかったらここで待ち合わせる事も無かっただろうし。

それに、今・・・目の前にいるファムは丸腰で俺を裏切って攻撃する事なんてできないだろ?

―――――――のわッ!!ッ・・・・・てて・・・」

俺が挑発に近い話し方をしたのが悪かったのか・・・ファムに馬乗りにされふふんとファムは笑みを浮かべていた。


「どう?これでも私は丸腰でも弱いって言えるのかしら?

これでも天使の中では5本の指に入る強者の地位にいるんだけど?」

「わ、悪かったから・・・どいてくれないか・・・・顔が近い―――――」

俺がファムにそう言うと、ファムは顔を赤くしながら急いで俺から離れてちょこんと座っていた―――――――


――――――――合流地点・・・・

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