第117話 ファムの食欲
――――――――合流地点・・・・
ファムは顔を赤く染めながら両手で目を隠し息を整え、落ち着きを取り戻すと・・・・ファムが話し始めた―――――
「そ、その・・・さっきのは私の実力を見せる為にやっただけで・・・事故みたいなものなんだから!!!」
「わかってる・・・でも、近くで見ると・・・ファムってすごい美人だよな。
それに、綺麗な赤い瞳だった。」
ファムはまたもや顔を真っ赤にしながら顔を振り、熱を逃がそうと必死にブンブンと振り続けていた。
「よし、それじゃ・・・そろそろ向かうとするか。」
「え、これからどこに行くの?
ホームには行けないのだから・・・一体・・・」
俺はファムの近くに寄り、パーティーの申請をファムに送るとファムは慌てながら考え・・・そっと了承ボタンを押し、ボソッと・・・よろしくと小さな声で言うと俺もよろしくと返事を返した。
「はぁはぁ・・・・色々と危険な場面が多々あったけれど・・・・って!?ユリハ!?
ダメだよ!剣をしまって!バレちゃう!尾行してるのバレちゃうから!!!
ちょッ!エリもユリハを止めるの手伝って!!!!」
「このレモネード・・・美味しい――――――」
「――――――――ムクロ君の浮気者・・・あうぅぅぅぅ。」
3人は商店街にあるネットカフェからログインし、天使との密談を尾行していた。
だが、エリはカフェのレモネードに夢中でユリハは少し危ない状態・・・この場ではクーリアがまともに見える程であった――――――
「ユリハッ!しっかり!!!ちゃんと尾行しないと!!!
コレ以上何かあったら行けないでしょ!ね?」
「これ以上の出来事!?それはダメ!!!」
「ユリハ・・・隠密の魔法をかけてるから声は聞こえないと思うけど・・・私達には聞こえてるからボリュームを落として・・・耳痛い――――」
エリは耳を塞ぎながらユリハにそう言うと、ユリハはごめんと謝り・・・落ち着きを取り戻した所でそっと、2人の行動を窺い始めた―――――
「で、ムクロ・・・パーティーを組んだのはいいのだけれど・・・
何をどうしようと言うの?」
「その事なんだけどさ、これからファムと俺と2人でクエストに行こうかと思う。
その、ファムはこのグロリアの事をあまり知らない様子だったし・・・・この世界の良さを見て感じて欲しいと思ったんだ。
さっきも言っただろ?楽しむってさ。」
俺はファムに手でひょうひょいと付いてこいと言わんばかりに合図をすると・・・ファムは俺の横に並んで歩き始めた―――――
「ありゃりゃ・・・あれはデートとか言うやつじゃないのかな・・・・
はッ!?ユリハッ!?って・・・エリ!!!ユリハを止めるよ!!!」
「仕方ない・・・・グラビティゼロ・・・・ちゅるちゅる・・・・」
「この~この~~2人とも邪魔しないで~~~こんなのダメ~~耐えられないよ~」
エリのスペルでユリハの体が宙に浮き、その際もユリハは剣をブンブンと振り回し暴れながら2人の後姿を眺めていた―――――
「―――――ユリハをこのまま帰すときっと良くない事が起こる・・・・そんな気がする・・・」
「私もそう感じる・・・・だからユリハに注意しながら距離を取って尾行ね。」
「ムクロ君~~~こんな事になるのなら反対なんてするんじゃなかったよ~」
ユリハはため息をつき、2人が見えなくなると地上に降ろされ・・・三角座りをして落ち込んでいた。
「あ、その・・・私たちだって見ているのは少し辛いよ・・・ね、エリ?(ここは私に合わせて・・・・)」
「(はぁ・・・)そ、そうね・・・・私もこう・・・胸が苦しく痛む思いで仕方ないの。
ホラ、このカフェで人気のタコヤキでも食べて元気を出すのよ。」
「うん・・・・」
ユリハはエリから現実でタコヤキを食べると少し元気が出たのか、いつもの元気なユリハに戻って――――――
「2人も同じ気持ちだよね・・・それなのに私ときたら・・・ごめんなさい。
でも、2人が一緒なら私・・・この先、何があっても大丈夫だよ!」
「ユリハが元気になって良かったよ・・・・それじゃ、ムクロっちをマーキングしてるから尾行の続きだね!!」
「これは、俗に言う・・・フラグが立ったと言うのかしら?」
エリはユリハの発言でこの先に何かが起きる予感がしてならなかったが、どの様なイベントが起きるのか分からない事と楽しさがあり言うのを止めて3人は2人の後を追いかけ始めた。
「ここが始まりの都の街だ・・・・どうだ?
天世界ほどじゃないが、いい所だろ?」
「そうだな、ここは
ファムは天世界といま目の前に映る、グロリアと照らし合わせながら見ていると・・・俺はファムを連れて腹ごしらえに飲食店街に向かって歩き始めた。
「ムクロ、ここはいい匂いがいろんな場所からするのだけれど、ここは?」
「ここは始まりの都ではお馴染みの飲食店街だ。
さぁ、ファム・・・何か食べたいものはあるか?」
俺はファムに食べたいモノを聞くと・・・ファムは肉料理が好きらしく、俺達は肉料理を中心とした料理を出す店に移動すると―――――
「着いたぞ、ファム・・・ココが俺のお勧めの肉料理が上手い店だ。」
「ごめん、私・・・お金持ってない・・・・」
ファムは謝りながらポケットの中からコインのようなモノを取り出すと・・・
それは天世界の硬貨で、このグロリアの世界で使われている硬貨とは全くの別のモノであった。
「気にするな、クエスト前の腹ごしらえは誘ったプレイヤーがするもんだからな。
それに、ファムはこっちに来て日が浅いし・・・俺が面倒を見ないとな。」
「そ、それじゃ・・・ムクロのお言葉に少しだけ甘えさせてもらおうかしら・・・・・」
そして、お金の話をし終わった事で・・・俺達は店の中に入り席に着くと、メニュー表を2人で見始め――――――
「へぇ~すご~い!天世界の店と違って料理の種類がたくさんあるんだね!」
「ファムのいた天世界には一体どんな料理があるんだ?」
すると、ファムの口からとんでもない発言が飛び出してきた・・・
「えぇっとね・・・スカイドラゴンの丸焼きとか・・・ワイバーンの丸焼きとか・・・・あとは~」
「丸焼きしかないのか・・・・・って・・・質量的に食べきれるのか?」
ファムは胸にバンッと手を当て・・・もちろん、と答えると・・・・メニュー表の料理を片っ端から頼み始めた。
「はむはむはむはむ・・・・・・ムクロ、ここの肉料理美味しいね!!」
「そうだな・・・・ところで、一体何人前食べる気だ?」
ファムの周りには既に食べ終えた料理皿が数枚が並べられ・・・店員が料理を運びながら食べ終えた皿を回収する流れになっていた。
――――――へい、お待ち~ドラゴンステーキ3人前~
―――――続いて、キマイラの叩き4人前~
――――こちらは、キラーラビットのパイ包み3人前~~
「はむはむはむはむ・・・・・・・ゴクン、ありがと~その辺に置いといてください。」
「本当にファムは食いしん坊だな・・・・」
「ち、違うよ!!食いしん坊じゃないよ!!
私はいつもたくさん食べるだけなんだから!!!」
ファムは食いしん坊と指摘されると必死に否定しながら次々とやってくる肉料理をたらふく食べ・・・・・
「ぷはぁ~食べた食べた~少しファスナー緩めないと苦しい・・・・」
「よし、食べ終えた事だし・・・・クエストにでも行くか。」
俺は普通では考えられないほど長い伝票を持ち会計を済ませると・・・クエスト掲示板へと足を運んだ――――――――
――――――――――クエスト掲示板前・・・・
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