第109話 謎の試験管
――――――――――21時43分・・・バルトル戦・・・
バルトルはひび割れが塞がり、その塞がった部分は血管のような黒い線がヒビの上から這うように伸びて禍々しい鎧と化していた―――――
「ゴアアアアアアアアアアア!!!」
先に動いたのはバルトルの強化がかかったデロンの方で、斧を捨て両腕を巧みに使い・・・スルトとユキシロを互いに殴り飛ばした―――――
「クーリア、そこから一度後退だ!
レイ、剛腕装甲で援護してくれ・・・・」
「ムクロ君、私も行くよ!」
俺とユリハは武器を構え、デロンに攻撃を叩き込むと・・・デロンは見えていなかったのか無視したのか・・・攻撃を避ける素振りを見せなかった。
「イテテテ・・・主殿・・・ソイツは結構パワーが上がってるのじゃ・・・・」
「しかも、アレは普通の蘇生や強化じゃない・・・・操ってるに近い―――――」
「プレイヤーを操るスキル!?そんなものまであるの・・・このグロリアには・・・」
「見たことも聞いたこともないのは仕方ないことだ・・・あの能力が開花する可能性はとてつもなく低い・・・俺も生で使っているプレイヤーを見たのは初めてだ。
油断するなよユリハ・・・何が起きても冷静に対処するんだ・・・いいな?」
と、言った瞬間・・・俺はデロンから強烈な一撃を喰らいギルドの建物の中まで殴り飛ばされた――――――
「ムクロッち!!!こんのぉ!!!」
「クーリア落ち着いて、きっとムクロ君なら大丈夫だよ。」
「あれしきでやられるような主殿じゃないからのぉ~アタイたちはアタイたちでやれることをやるだけじゃ!」
「へっ・・・今さっきまで壁に埋もれてたやつの発言じゃないが・・・そうだな。
やるときにやるのは私も好物だ!さぁ・・・仕切り直しと行こうか!!!」
4人はデロンに対して左右から攻撃できる位置に移動し、クーリアにバフをかけてもらうとデロンに向かって飛び出した。
「剛腕装甲・・・実物を見るのは初めてだが、これは興味深い・・・・」
「アナタはこれを見る前から知っているような口ぶりですが・・・・それもこれも興味はありません、このまま握り潰させていただきます―――――」
剛腕装甲に、より強い力が込められバルトルが握り潰されるその瞬間――――――
「
「なッ!?」
剛腕がクシャっと空を潰し、レイが止めを刺せていないことに気づくと・・・レイの影からバルトルが現れ、ショートソードで切りかかってきたがギリギリのところでレイは攻撃をかわしたのだが、メイド服の一部が裂かれていた―――――
「また珍妙な技を・・・・メイド服を傷つけた代償は高くつきますよ・・・・」
「おぉ・・・それは怖い怖い・・・だが・・・あちらさんも手一杯なんじゃないのか?」
レイはチラッとユリハ達を見ると、フッと笑い再びバルトルの方へ身構えた。
「あれが手を焼いてる・・・・ですか・・・あなたはユリハ達を舐めすぎです。
あの人たちは・・・いえ・・・私たちはこの程度では負けない・・・・」
「ほう、あのムクロとかいうヤツの姿が見えないようだが・・・・それでもか?」
レイはバルトルの質問に対してさらに笑みを浮かべ・・・・
「ご主人様は死んでも死なないお方・・・私のご主人様は不滅です。」
レイがバルトルに返答すると狙ったかのように俺はギルドの建物から飛び出し、ユリハ達に割り込み先程の一撃のお返しと言わんばかりにバロルを殴り飛ばした――――――
「これはお前が俺に入れた分のお返しだ―――――」
「ゴガアアア・・・・・・・」
「ムクロッち!!無事だったんだ!!!」
「うむ、さすが主殿!あっぱれなのじゃ!!!
あの一撃はアタイが入れたかったのだがのぉ・・・主殿が直々に返したのなら気分も晴れ晴れサッパリじゃ!!!」
「――――――ってか、あそこまで盛大に吹っ飛ばされて体力バーが黄色になってないって・・・ムクロはどれだけなんだよ・・・・・」
「私も何度も驚いちゃったけど・・・見ているうちに慣れちゃったよ。
スルトもそのうちに慣れるよ!」
殴り飛ばしたバロルの鎧の一部がひび割れており、中からドロッとした黒い液体のようなものがあふれ出し腕にまとわりつくように伸び・・・異形な腕へと変貌した。
「ウゴアアアアア・・・・・トメ・・・テ・・・クレ―――――――」
「なッ・・・今なんて言った!?」
「ムクロッち・・・このバロルっていうプレイヤー意識が戻って・・・る?」
「しゃ、喋ったのじゃぁぁ!!」
「止めてくれ・・・・止めてくれって言ったように聞こえたけど―――――」
俺たちはバロルが急に頭を押さえながら動きを止め、少しだが話をしたように聞こえ攻撃を止めていると・・・・
さらにバロルは何かを話し始めた―――――
「ググアアア・・・オ・レハ・・・コレ・・イジョウ・・タタカイタク・・・ナイ・・・グアアアア!!!!」
「つまらん・・・ここまでか・・・あの素体は使えると思ったのだが・・・やはり意識があるモノでは洗脳には限度があるな・・・
それならば、最後の最後くらい暴れて消えるがいい―――――三式」
「ご主人様!!バルトルが何かしでかす気ですお気を付けくださいませ!!!」
レイの声が届く前にバルトルは腕をバロルに構えると、バロルは大きく唸り始め・・・意識が飛び、再びピクリとも動かなくなった―――――――
そして・・・・・バロルは大きく吠え始めた――――――
「ウゴアアアアアアアアアアアーー!!!」
「耳が痛い~~~~~すごい叫び声・・・がはッ―――――」
「クーリアッ!!!アイツ・・・・最後の最後で・・・無理やり意識を飛ばしやがったのか・・・・みんな、陣形を整えつつ対応してくれ・・・俺はクーリアを救助してくる!!」
「うん、わかった!気を付けてね!」
「主殿、アタイたちも一緒に行きたいのも山々じゃが・・・あのバロルを抑えるのがやっとかもしれん・・・何せ速さが格段に上がっておるのでのぉ・・・」
「あぁ・・・クーリアを殴り飛ばした瞬間が早すぎて殆ど見えなかったからな・・・・なぁに私たちのことは心配するな、それよりもクーリアの事が気になる・・・早く助けに行ってやるといい。」
俺はこの場をユリハ達に任せ、飛ばされたクーリアを助けに向かうと、体力バーが赤色で危険な状態であったが・・・何とか一命を取りとめていた・・・・
「手間をかけさせる・・・さぁ、こちらも始めるとする―――――」
「あなたの外道っぷりはわかりました・・・なので私も少しだけほんの少しだけ力を入れて戦いましょう――――――」
バルトルが話している途中であったが、レイは剛腕装甲でバルトルを叩き潰すようにバチンと剛腕装甲を叩きつけた。
「ぐ、ぐは・・・・・くッ・・・これで全力でないとは・・・底知れぬ破壊の化身よな・・・・天使ィ!!!」
「やはり、私が天使であることも知っていましたか・・・・どこでその情報を手に入れたかは知りませんが・・・あなたには消えてもらいます。
潰れなさい――――――」
両手で何とか剛腕装甲に耐えているバルトルに最後の一撃を叩き込むと、力尽きたか確認するために剛腕装甲を広げると・・・・・
「いない・・・・
「そう、この状態ではな――――――がはッ・・・・少しお前たちを甘く見ていた・・・・まさかアイツのこのアイテムを使う羽目になるとは――――――」
バルトルはローブの中から試験管に入った謎の液体を取り出し、自らその液体を服用するとすぐさま変化が起こった――――――――――
―――――――――21時58分・・・バルトルvsレイ・・・
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