第93話 宴の始まり
――――――――――21時30分・・・・プライベートホーム
レイと2人でリビングに戻ると、ユキシロがユリハ達に今回の件について話していた。
「一応取引は完了したんじゃけど・・・レイレイが少し熱くなりすぎてのぉ~
今、主殿が看病中――――――」
「皆様、ご迷惑をおかけしました・・・ご主人様専属メイドのレイはこれより現場復帰でございます。」
「―――――と、言う事だユキシロ・・・それに皆、心配かけさせたな。」
「本当だよ・・・・でも、無事にレイが回復して良かったよ。」
「うむ、これで今夜の大宴会は予定通り開けそうだな。」
「それじゃ、私達は着替えよっか・・・・ムクロ君はココで待っててね。」
ユリハがニコニコしながらレイや皆を連れて着替え部屋に向かうと、俺だけソファーに座って待つこととなった―――――
――――――――10分後・・・・・
「お待たせしましたご主人様・・・・・・私も着替えさせられたのですが・・・どうでしょうか・・・
似合っていますでしょうか?」
「あぁ・・・似合ってる・・・」
「ムクロっち~レイだけじゃないよ!私達も着替えたんだからちゃんと見てよ!」
「ムクロよ、こういうドレスは私のイメージと違うような気がするのだが・・・どうだろう?」
「そんなことないよ、皆ドレス姿すごく似合ってる!」
「アヤカもすごく似合ってるよ?エリちゃんも似合ってる!
お人形さんみたいで可愛い!」
「それは褒め言葉かどうかはさておき・・・この凹凸の差は何でしょうか・・・
すごく、負けた感じがするのだけど――――――」
「エリは何をいッておるのじゃ!主殿は皆の事を大事に思っているぞ!
主殿の好みの体系は知らぬが・・・皆を大切に思っている事は確かじゃ!うんうん!」
ユキシロがまとめるようにそう言うと、俺はコクコクと頷くと、皆はそう言う事ならと恥ずかしそうにしていたが言った張本人であるユキシロは平然として皆の顔をキョロキョロと見ていた。
「それじゃ、ムクロ君はどうする?一応服は用意したけど・・・・」
「俺はいいや、そう言うカタイ服はあまり好きじゃないんだ。
ラフに俺らしく行かせてもらうよ。」
「フフ、ムクロらしい・・・・」
「だね~ムクロがスーツとか少し想像つかないよね~」
「言えてる・・・あ、そう言う意味じゃなくて・・・ごめんなさい。」
「主殿はそのままが一番カッコイイのじゃ!
それに、着たいものを着るのが一番なのじゃ!」
「ユキシロに先に言われたけど、私もムクロが好きな格好で行けばいいと思う。」
「それではご主人様、会場となる宴会場に向かいましょうか。」
全員の準備ができると、俺達はレイに先導され宴会場へと向かうと―――――
――――――いやぁ~今日は楽しみね~
―――――そうだな、参加者全員を招く程の金があるとはスゲェよな。
―――――だな~それに入場料もかからないとか言ってるし。
―――――俺は喰うし飲むぜ~~タダよりうまいものはねぇからな!!
―――――団長~団長~ライザー団長・・・まったくどこに行っちゃったんだろ?
―――――そちらさんの団長も行方不明?こっちのギルドマスターのゴルバスもどっかに消えちゃってねぇ・・・互いに苦労するわね・・・・
団長補佐なのか、2人は互いに団長探しをして人ごみの中を彷徨っていた―――――
「ご主人様、それでは私達は宴会場に入って皆さんを招きましょう。」
「そうだな・・・・早くしないともっと迷い人が出るかもしれないしな。」
俺達は宴会場の運営者であるルゴーに話をすると、会場内に案内された。
「ムクロさん達はVIP席で用意してるから、そこの階段を上がった2階席で・・・一般来場者は1階のテーブルとカウンターでのフリータイプになってるけど・・・これで大丈夫だったかな?
外の人数を見ると余裕はあるから大丈夫だとは思うけど。」
「あぁそれでいい、金ならついさっきできたからな。
よし、客人はすでにお待ちかねだ・・・楽しい大宴会にしようぜ!」
ルゴーがかしこまりと言うと、大宴会の会場がライトアップされ・・・入場者を案内するNPCが現れ、入場が開始された。
―――――――――入場完了後・・・・
入場が完了すると、店の中ではまだかまだかとざわつき始めるとルゴーが俺の前にやってきて言い難い顔をしながら俺にしぶしぶ話し始めた。
「その・・・ムクロさん・・・・レイさんからお伝えされてると思うのですが、主催者として一言挨拶してもらえると嬉しいんだけども―――――」
「ご主人様、お伝え忘れていました・・・・挨拶です、ご主人様には挨拶を行う義務があります。拒否権はありません―――――」
レイが俺の手を引っ張りながらライトで照らされた場所まで誘導され、皆が俺を注目していた―――――
――――――お、主催者のムクロじゃねぇか!!!
―――――お招きありがとよぉ!!!
――――――シーーーーー前に来たって事は何かを言う為でしょ!
―――――がははは、ムクロが挨拶か~~こりゃいい酒の肴になるってもんだ!なぁ、ゴルバス?
――――――あぁ~そうだなぁ!この話で1時間は行けるんじゃないか?
そら、とっとと話して飲もうぜ!主催者さん!!!
ライザーとゴルバスは俺を見つけると大笑いをしながら見ていたのだが、こちらから言わせてもらうと・・・2人はこの宴会が始まる前から飲んでた様で・・・妙にふわふわした状態であった。
「そこのライザーとゴルバスが急かすので簡潔に挨拶をしたいと思う。
このグロリアを救う為に戦った馬鹿であり勇敢な俺達、冒険者に・・・・乾杯!!!」
―――――――――乾杯ッ!!!!!
俺の挨拶で皆は盛大に叫ぶと、テーブルに並べられた料理や酒を食べ始めた。
すると、ゴルバスとライザーが俺の前に向かって来た―――――
――――――ちょっと・・・アンタのとこの団長ムクロに何かしようとしてるんじゃないの?
――――――もぐもぐ・・・うぇ?・・・・だ・・団長ッ!?
そう言うアナタのとこのゴルバスもいるじゃない!!
何か危ない匂いがするわね・・・・いつでも押さえられるように互いに注意しておかないとね・・・
2人はもぐもぐと料理とお酒を食べながら団長達を見守る中・・・・ライザーとゴルバスは俺の目の前までやってきた。
「よぉ、ムクロ・・・久しぶりだな。
あの時は良くも俺達を出し抜いて1人でカッコ付けやがったな!」
「そうだぜ、お前の言う作戦でアイテムに武具を買いそろえた俺達は大損だ。」
「あぁ、あの作戦の事か・・・そりゃ悪かった。
で、幾ら返せばいいんだ?」
俺がそう言うと、ライザーは俺の服を掴み寄せ・・・ゴルバスが止めに入ろうとするがライザーに止められ・・・・・
「お前、本気でそう思ってんのか?
真意はそこじゃねぇ・・・お前は馬鹿だ、戦うセンスや知識はあるが・・・・お前には仲間を信じる気持ちがたらねぇって言ってんだ!」
「おい、ライザー宴会中だ・・・その辺で・・・・」
「そうだな、あの時の俺はそうだった・・・・
だが、今の俺は少なくともあの時の俺とは違う!
――――――だから今度、何かあれば全力で頼らせてもらうぜ!」
「くッ・・・がっはははは!!そうだ、それでいい・・・お前はどっちに転んでも馬鹿だけどな・・・
全力で頼らせてもらうか・・・・そうだな、だが・・・それだとフェアじゃねぇだろ?
だから俺もお前たちを頼らせてもらうぜ!それでいいな?」
俺は仕方ねぇなと答えつつライザーと握手をすると、ゴルバスが話先程の話を戻してきた。
「それで・・・ムクロ・・・お幾ら返してくれるんだ?ん?」
「それはお前たちが使った分を支払おうかと・・・・」
「な~に言ってんだ!あれはコイツが勝手にやった事・・・だろ?
あの作戦はムクロの身代わりで俺達が救われた結果になったんだ請求する方が馬鹿ってもんだろ?ホラ、ゴルバスあっちで団同士で飲み合おうぜ!」
請求の話をナシナシと言い、涙目のゴルバスを引っ張りながら2人の団員の元へ帰って行った――――――
「ご主人様、それでは私達もユリハ達のいるVIP席に行きましょう。」
「あぁそうだな・・・・VIP席はどうなってるんだろうな――――――」
俺はレイと一緒に2階のVIP席へ向かうとそこには・・・・
「遅かったじゃない~~ヒック・・・・ぷは~~もぉ一杯!!!」
「アヤカ・・・少し飲みすぎじゃないのか?
クーリアも少しは助けて・・・・」
「あたしはね!今までどれだけムクロっちにきっかけを作ったと思ってるのよ!
それを見事に全フラグへし折っちゃって・・・・もぅ!!!やけ酒だぁ!!!」
「ミスト・・・クーリアも割といい具合に出来上がって面白い話が聞けますよ。」
「あはは・・・ムクロ君お帰り・・・・少し飲んでたらこんなことに・・・・」
「主殿~~おかえりなのじゃ~アタイはお酒には強いけんど・・・この料理に夢中なのじゃ!!!もしゃもしゃもしゃ――――――――」
酔いが回っているのはクーリア、初めてグロリアで飲むであろうアヤカであった。
その他のメンバーは自分のペースでちびちびと飲んだりしていたのだが、酔っているこの2人はペースが速くコップやジョッキがたくさん並べられていた―――――――
「ご主人様、私達も座って飲みましょう!
私もお酒と言うモノを飲むのは初めてで・・・その・・・お付き合いお願いします。」
「そうか、なら最初は甘い果実酒がお勧めだ。」
「あ、私も果実酒飲む!」
「あだじもぉノムゥ~~~」
「クーリアは少し休んだ方がいいのでは・・・・」
「―――――――スーーースーーー」
「おい、アヤカが寝てしまったぞ!
だが、起こすと・・・アヤカに悪いが、このままにさせてもらうぞ・・・悪く思うな―――――」
俺はメニュー画面を操作し、3人分の果実酒を注文すると・・・果実酒を女性ウェイターが運んできてくれた。
「御注文の果実酒お持ちしましたぁ~よろしければお注ぎ致しましょうか?」
「あぁ、ありがとう・・・でも大丈夫だ・・・・あはは―――――」
女性ウェイターが目をやると、レイとユリハがウェイターを睨みつけているようにも見え・・・ウェイターは冷や汗をかき、そそくさと戻って行った――――――
「レイ、ユリハ・・・そんなに怖い顔して睨んだらダメだろ・・・・怯えてたぞ?」
「――――だって・・・私だってムクロ君に注いであげたかったんだもん。」
「ユリハ、その気持ちは私にもよくわかる・・・・ご主人様にたんとお酒を注いであげましょう。
たっぷりと・・・・・」
レイの顔が少しニヤリとしたように見えたが・・・それよりもレイとユリハは交互に果実酒を綺麗なグラスに並々入れて俺に手渡し、レイやユリハ達もグラスを持ち3人で乾杯をした―――――――――
――――――――――22時28分・・・宴会会場VIP席
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