第79話 レイとモブ狩り?
―――――――――15時23分・・・・プライベートホーム
誰もいない事を知っててログインするこの感覚は今まで普通だった感覚・・・・
ソロで狩りをしていた感覚・・・・誰とも群ず、1人でただ孤独に強さを求めていたあの頃の感覚であった・・・・
そんな昔の頃を懐かしむ前にホームに向かうと、レイが挨拶をして出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、ご主人様・・・・本日はユリハや取り巻きたちは一緒じゃないんですね。」
「今日ユリハ達は現実でOFF会をしてるんだ。
たまには女の子同士で話すのも良いんじゃないかと思ってな。」
「そうですか・・・・では私はご主人様の為にお飲み物をお淹れ致しますのでしばしお待ちを。」
レイは台所に向かい、俺はソファーに座りまずは問題点の解消から行う事にした。
クラスメイトが言っていた・・・・ハシャのようなドクロ姿をしたキャラの噂で・・・まずは本人に聞くのが早いと思いハシャにチャット送ると、ハシャから通話が来ると俺はゴクリと唾をのみ通話に出ると――――――
「ワレに何か用か?急ぎの内容で通話をしてみたのだが――――――ヌンッ!!!!」
――――――――ギャァァァァ!!!
――――――コイツ、俺達を相手に通話をしてるのかッ!?
――――ふざけやがって!!!!!
「ハシャ・・・・お前・・・今何をしているんだ?
ギャアアアとか聞こえたんだが・・・・」
「気のせいだ・・・・ワレとて暇ではないのでな―――――――フンッ!!!」
――――――――ギャアアアア!!!!
――――――この、化け物めッ!!!!!
「えっと・・・・そこで戦っているプレイヤーはお前から戦いを申し込んだのか?」
「ワレがこのような小さきモノを刈りとる趣味を持つと思うか?
ワレは強者にのみ興味がある。
悪も善も何もない・・・・真の強さに魅かれるのだ。
コヤツらはワレをレア何とかと呼び剣を振るってくるが故に降りかかる火の粉を払っているにすぎない―――――ハァッ!!!!
温いわッ!!!攻撃をするのであればもっと力と気合と自分の全てを賭けて打ち込んでみよッ!!!それすらできない者にワレに傷など与える事など夢のまた夢と思え!!!」
―――――――ギャアアアアア!!!!
「・・・・・そうか・・・・お前は被害者側だったんだな・・・凄い見た目だもんな・・・・
メンテナンスで追加されたレアモブと勘違いされてるんだろうな―――――
あぁ・・・その、何だ・・・そのプレイヤーも悪気があった訳じゃないと思うが・・・程々にな。」
「悪気も何もワレに剣を向けたのだ・・・・最後の最後の消える一瞬まで力を・・・知恵を・・・全てを出し切るまで戦わせ、自分の無力さを体感・痛感させてやろうぞ―――――フンッ!」
―――――――――ぎゃああああああ!!!!
――――――マジでバケモンだ・・・・助けてくれ!!!!
――――――俺も、しーらね・・・・・帰還石!!!
ハシャの通話先では盛大な戦闘が行われており、ハシャの見た目から考えて普通に生活しているプレイヤーから見るとそれはそれは見事な彷徨うレアモブに見えて仕方ないだろう・・・・だが、冷静なプレイヤーなら風格や名前の色、ハシャから伝わる圧で大体の力量が分かるはずなのだが、こうやって無知とまでは言わないが無暗にレアモブを狩ろうとする連中は割と多く狙われないようにするために全身にローブを纏う事を勧め、俺は通話を切った。
「はぁ・・・・あの見た目のハシャが狙われる可能性をまず考えてから導入しろよ・・・・」
俺は無罪のハシャに同情しながら、アイテムBOXにある昔使っていた古いローブをメールに入れてハシャに送るとハシャからドクロのスタンプで、ありがとう・・・・と返って来た。
―――――アイツ・・・本当にNPCか?プレイヤーが入っているかのような対応だぞ・・・・馴染んだなぁ・・・・
「ご主人様、お茶をどうぞ・・・・もしよろしければ私もご一緒してもよろしいでしょうか?
何やら楽しそうな通話が聞こえてたもので。」
「そうだな、一緒に飲もう。
いや、ハシャが問題を起こしていると思って連絡したんだが・・・・真実はその逆で、プレイヤーに狙われていたらしくて・・・自己防衛で戦っていたそうなんだ。」
「そんな事もあるんですね・・・・人はすぐに見た目で判断すると言いますが・・・・
でも、あのハシャは仕方ないと言えば仕方ないですね・・・あの見た目はさすがに――――」
レイもハシャの事を想像しながら、ボソっと狙われると言いながらお茶をコクコクと飲んでいた。
「そう言えばいつもレイはホームにいる時は何してるんだ?」
「そ・・・それは・・・・色々です・・・・掃除とか・・・色々です。」
レイは俺と目を合わせずに掃除と言い張っているがこの対応は何かおかしい・・・いや不自然であった・・・・いつもはジーーーっとこちらを見つめながら話すレイに対し、目の前にいるレイはすごく何かを隠しているような・・・バレてはいけない事を隠した子供のような反応であった――――――
「レイ・・・一体何を隠して――――――」
「な、何も隠していません・・・・本当です・・・たぶん本当――――
その、何でも許してくれますか?
――――――ご主人様はレイのしたことは何でも許してくれますか?」
「あぁ・・・限度によるけど・・・一体何をしたんだ―――――」
俺がレイに尋ねると、レイは俺の隣に座り耳元に語りかけてきた。
「その、ご主人様の座ったソファーを嗅いだり・・・ご主人様が触れたモノに私も触れてみたりとしていました・・・・うぅ・・・恥ずかしいです・・・・地底奥深くまで潜ってスリープモードになりたい・・・・・」
「レイ・・・俺の匂いってそんなに良い匂いなのか?
でも、そうだな・・・ソファーやイスなんか嗅ぐよりホラ、こうしたら良いんじゃないのか?」
「ご、ご主人様!!!だ、ダメです・・・・ギュってされたら私、私・・・・でも、いい匂い~」
俺はレイをギュッと抱っこしてあげるとレイは幸せそうな声で喜んでいるようであった。
「さてと、俺はこれからどこかのダンジョンに探索でも行こうかと考えてるんだが・・・・レイも来るか?」
「いいのでしょうか・・・・私はメイドでご主人様のお世話を・・・・」
「レイはメイドであって俺達の大切な仲間だ、ルミ子だって呼ぶとすぐに来てくれるし。」
「変態マスター、人を魔法の精霊と勘違いされてるようですが・・・・そこまで残念な人なのですか?でも・・・・マスターの命令は絶対・・・それだけはどんな事柄よりも尊重されることは確かですが・・・・」
「姉さん・・・それでは私もご主人様のお伴をさせていただきます。
渡しそびれてたのですが・・・・私のフレンドコード受け取ってくださいますか?」
俺は二つ返事でレイのフレンドコードを受け取り、登録を済ませると・・・・準備を整え2人で草原フィールドに現われている薔薇の迷宮に足を踏み入れた―――――
「ご主人様・・・綺麗なダンジョンですね。
私、こんなにも綺麗な薔薇がいっぱい生えているのを見た事がありません。」
「レイに対して何もできてなかったから事前に喜んでもらえそうなダンジョンを調べて来たんだが・・・ここまで喜んでもらえてよかった。」
レイは咲き乱れる薔薇を見るとニコっと笑いながらくるくると回って喜んでいた。
そして、俺達はこの薔薇の迷宮の奥にあるアイテムをGETする為に奥へ進み始めた。
「この辺のモブは虫や植物系が多く出てくるだけでそこまで驚異じゃないからぼちぼち進んでいこう。」
「了解しました、ご主人様。
それにしても・・・・ココはダンジョンなのですか?
ベンチに座って男女でイチャイチャしている者達やそこではピクニック気分でお弁当を食べていますが・・・・・」
―――――アレ・・・おかしいな・・・情報ではデートスポットではなかったはずなんだが・・・・
「すみません、ここって薔薇の迷宮だよな?」
―――――あぁ・・・そうだよ?
と言っても、数日前までの話だけどね・・・ここは今ではダンジョンやそう言った場所じゃなくて、いわば観光名所・・・すなわち恋人同士で来るデートスポットになっているんだなぁ~これが。
――――――そうそう、ダーリンとイチャイチャしてるんだから~ほら、あっちに行ってよ~
―――――モブなら全滅してこの迷宮にはモブが現れないんだ、だからこうやって皆のんびりデートしているってわけだ。
だからお前たちもデートしに来たんだろ?
お熱いねぇ~そんな可愛いメイドさんとデートだなんて。
「なんと言う事でしょうかご主人様・・・・私達カップルに見られてます!」
「そうだな・・・でも、モブがいないんじゃココにいる理由はないわけだが・・・・
はぁ、分かった・・・・分かったからそんな泣きそうな顔をするのはやめてくれ―――――」
俺が少しだけここでのんびりする事を許すと、レイは薔薇の近くで座り・・・膝にポンポンと手で叩くと―――――
「ご主人様、どうぞ私のお膝をお使いください。」
「で、でも・・・その・・・俺は別に――――――
わかった・・・そこに寝ればいいんだな?」
俺はレイの泣きそうな顔に翻弄されながら、レイの膝に頭を乗せて寝転がった・・・
すると風が吹き薔薇の
「ご主人様~よしよし・・・・ここは本当にモブがいないようですね。」
「そうだな・・・・俺はモブを狩りに来たんだが・・・レイが喜んでくれてるならこれはこれでいいか――――」
レイは俺の頭をなで、たまに吹く風でなびく髪を手で押さえながら2人の時間がゆっくりと進んでいた――――――
―――――――――――15時40分・・・薔薇の迷宮
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