第78話 ガールズイベント

――――――――――22時45分・・・・プライベートホーム


俺たちはプライベートホームに帰ってくると、すぐさまソファーに座り寛いでいた・・・・・


「あぁ~やっとホームだぁ~~だらぁ~」

「あはは・・・・でも今日は色々あって疲れたね・・・・」

「そうだな、これからはさらに楽しくなるな。」

「あまりこう言った事を話すのはマナー違反なのだが・・・・私達は現実でも繋がりがあるのだが・・・・アヤカは高校生なのか?」

「えっと・・・私は大学生で・・・・皆・・・高校生なの?」

「アヤカは大学生なのですか・・・・そうですか・・・この中での最年長ランキングが塗り替えられましたね。」

俺たちはアヤカの大学生発言に驚きながらも話を続けた・・・・・


「俺達は全員高校生でミストが3年でユリハが2年・・・俺とクーリアにエリが1年だ。」

「まさか大学生とは思わなかったな・・・・・」

「そうだね・・・私も高校生かと思ってたよ・・・・ムクロ君・・・気付かなかったの?」

「ムクロはゲームが好きな人には見境がないのでしょう・・・これもムクロのスキルなのでしょうか・・・・」

「えっと・・・私は大学1年で・・・皆は高校生なんだね、私・・・大学じゃ友達がいないから・・・その・・・現実でも仲良くしてくれたら・・・嬉しい・・・かな。」

アヤカがもじもじしながらそう言うと・・・ユリハ達はブロッサムのコードをアヤカと交換し始めた。


「アヤカ、私達は仲間で現実でも友達だよ!

時間が合えば皆でカラオケでも行こ!」

「そうだよ~女子会でも今度開こうよ!」

「男子禁制の会か・・・それもまた面白そうだな。」

「興味はあるけど、少し気が引けて・・・・ムクロは仲間外れにされて嫌じゃない?」

「エリ、俺の事は気にせずアヤカや皆と楽しんでこいよ。

たまには女の子同士で話し合う場も必要だと思うし・・・・

俺の前じゃ言えない事も話しやすいだろ?

―――――アヤカ・・・すまないがこういう流れになったけどいいか?」

「ムクロや皆がいいなら・・・私は願ったりかなったりだよ。

でもいずれはムクロも一緒に・・・ね――――

それじゃあ私はそろそろログアウトするね。

何かあったら・・・ブロッサムで連絡するから・・・それじゃ、おやすみ。」

アヤカがログアウトするとユリハ達は早速女子会の計画を練り始め、俺は邪魔にならないように一言街をぶらぶらしてくると言い部屋を抜け出しソロで草原フィールドに向かった。


―――――――――22時50分・・・草原フィールド


―――――――GYAAAAA!!!!


「はぁッ!!!!」


―――――GYAAAA・・・・・

ソロでゴブリン狩りをし始めてかれこれ14体目を討伐するとゴブリンのいない場所でたき火をしながら休憩をしていると――――――


「やはり・・・・ここにいたのね。」

声の正体は女子会の予定をしていた1人・・・・エリであった―――――


「えッ!?何でこんな所に・・・それは俺もか・・・えっと・・・この事はヒミツで頼む・・・・」

「そんなこと当然よ・・・だって私もこうやってフィールドに来てるのだから。

あと、ユリハたちはブロッサムで予定を考えるとか・・・・で、ログアウトしたから伝えに来たらここに辿り着いたの。

ちょっと横に詰めてよ・・・・」

エリはたき火に十分当たれる反対側に座らず、俺の真横に座り星を眺めながら話し始めた。


「この星空はいつ見ても変わらない・・・・あの時もムクロとこうやって星を見ながらモブを狩って狩って・・・・ムクロは今・・・どうして頑張ってるの?

アヤカのため?ユリハのため?皆のため?それとも―――――」

「そうだな・・・・俺はグロリアでこうやって戦っている時が一番落ち着くんだ・・・・

誰かの為とかじゃない・・・俺が俺である事を証明できるのはこれだけだからな―――――」

俺が星に手を伸ばし、ギュッと掴むポーズをとるとエリはクスクス笑い出し・・・・・


「ムクロは昔から変わらない・・・・何もかもが昔のまま・・・・

でも、今のムクロは昔とは少し違うはずだよ?

だって私以外にも仲間がいるのだから・・・・

だから、1人で先に行きすぎないで。」

「あぁ・・・そうだな。

俺にはユリハやミストに皆が・・・・エリがいる。

だから、もう少しだけ俺が俺であるためにモブを狩って来ても良いか?」

「止めても行くのなら・・・行ってくると良いわ。

その代わり・・・ムクロの悪い部分があれば私が指摘して上げる。

の様にね―――――」

エリから許しをもらうと俺はゴブリンの群に飛び込み、新調したソードで斬り裂いた。


――――――――GYAGYAGAAAAAA!!!!!


「―――――ハァッ!!!」

「―――――やっぱりムクロの動きは私の想像を上回る練度に達している・・・・・

指摘すると大口をたたいたけど・・・無駄な部分が見当たらない動き・・・

本当に強くなった・・・・いえ、強くなり過ぎてしまった・・・だから・・・それ以上強くならないで・・・私達が本当に追いつけなくなっちゃうから―――――」

エリは杖をギュッと握りしめながら戦いを見ていたが・・・・我慢できずに戦闘に参加してきた。


「―――――ファイヤーボール!!!

ムクロ、もっと警戒して攻撃しないとダメ・・・・」

「了解・・・やっぱりエリは厳しいな――――」

エリの協力もあってゴブリンの群をすぐに討伐し終わりホームに戻ると、気付けば時間も遅く明日は登校日と言う事もあって俺達はゲームをログアウトする事にした。


「それじゃエリ、また明日な。

今回のこの事はヒミツで・・・・」

「大丈夫、ムクロが不利になる事を言うつもりはないから安心して。

それじゃ、また明日・・・・おやすみ。」

「助かるよ・・・おやすみ。」

ゲームからログアウトするとブロッサムを外し、眠りについた――――――



――――――――7時13分・・・・・


目が覚めるといつものように顔を洗い姉さんと朝食を済ませ、2人で学校に向かうと途中の道で由里達と合流すると、昨日話し合っていた女子会の話を始めだした。


「でね、昨日の続きなんだけどさ~カラオケは確定だとして・・・・洋服でも見て回るとかどうかな?」

「それはいいな!私も新しく洋服を買おうと思っていた所だ。」

「それじゃあ彩花さんに聞いておくね。

楽しみだなぁ・・・・あ・・・ごめんね、悠一君・・・私達だけで浮かれちゃって。」

「大丈夫だ、皆が楽しければそれでいい。」

「・・・・・・・・・・・・」

コトハが無言で歩いていると、ユリハの方からブロッサムにメールが届く音がした。


―――――――ピロリロリン~


「彩花さんから連絡が来たんだけど・・・・今日とか大丈夫?だって・・・・

私は大丈夫だけど・・・・耀子ちゃん達は今日の予定は何かあったりするのかな?」

「私は特に予定はないから大丈夫だ。」

「私も大丈夫だよ~コトハはどう?」

「私は・・・・大丈夫・・・空いてます。」

「なら、今日は女子会の日だな。」

俺がそう言うと由里が彩花に返事を送り、今日の午後から女子会が急遽決まったのであった。

そして由里達の話し合いを聞きながら歩いていると学校に着き、各自教室へ向かった。


―――――――――昼休み・・・・屋上


授業が終わり昼休みになると耀子とコトハと一緒に屋上へ向かうと姉さんと由里が先に待っていた。


「お待たせ~1年の教室は屋上まで遠いからやっぱり時間かかっちゃうね~」

「そうか、1年は1階だったな。

3年は3階で屋上まで近いから便利なモノだ。」

「それじゃ・・・揃った所で・・・いただきます!」

由里の挨拶で全員が手を合わせ昼食が始まると、耀子がすぐさま今日の女子会の話をし始めた――――――


「今日はすっごく楽しみだね!いやぁ~ワクワクするなぁ~」

「耀子は少し落ち着け・・・・楽しみなのはわかるが―――――」

「でも楽しみなのはすごく分かるよ、コトハちゃんも楽しみだよね?」

「あ・・・はい、そうですね・・・・楽しみです。」

「コトハはまだ気にしてるのか?俺の事は良いから皆と楽しんできたらいい、俺は俺のやるべき事をやっておくから。」

「そ~だよ、悠一もこう言ってくれてるんだし楽しまないとね!」

「私達は私達で楽しまないとな!」

「だから、ね?・・・コトハちゃんもいっぱい楽しもうよ。」

「はい、そうですね・・・・悠一がそこまで言うのなら・・・楽しんで来る。」

やっとコトハに笑顔が戻ると、いつもの賑やかな昼食が始まった――――――


「はい、御馳走様!!!」

「ではそろそろ時間だな・・・・私は教室移動だから先に失礼する。

それじゃ、放課後で。」

「私も体育だから着替えないといけないから教室に戻るね、何かあったら連絡するから~」

由里と姉さんは午後からの授業の準備で先に教室に戻ると、する事が無くなった俺達も教室に戻る事にした。


――――――なぁ聞いたか?グロリアに謎のドクロのNPCが戦いを挑んで来るって言うのがあるらしいぜ!

――――――俺も聞いた聞いた!体力が半分以下になったらどこかへ消えていくって奴だろ?

―――――そうそう、しかもLvが60を超えているとか・・・・


「ねぇねぇ・・・この話って・・・まさか、ハシャじゃ・・・・」

「私もそう思います・・・・聞こえた情報から考えた結果ハシャ以外にいない。」

「だよなぁ・・・・今日の俺のやるべき事がこれで1つ増えたな・・・・

耀子たちは気にしなくて良いから・・・・ハシャには俺から伝えておくよ。」

ハシャの話やメンテナンスが終わってからのグロリアの話で賑わっていたが、チャイムがなり午後の授業が開始され―――――

本日全ての授業が終えると俺達は校門前に向かい由里達と合流すると、そこには彩花の姿もあった。


「昨日ぶり、悠一・・・・それと皆はじめまして。」

「初めまして!彩花さん、これからよろしくお願いします!」

「よろしくね彩花!」

由里達は彩花と自己紹介を済ませると―――――――


「それじゃ、悠一君行ってくるね。」

「悠一、家の留守番は頼んだぞ。」

「寂しくなったらいつでもブロッサムに連絡飛ばしていいんだからね~

なんちゃって!」

「悠一・・・少しだけ遊んでくるから・・・その、直ぐ戻るから・・・・」

「それじゃ悠一、またグロリアで・・・・」

「あぁ、皆・・・危ない事はするなよ。」

彩花達はそう言うと商店街の方へ歩いて行き、俺は自分の家に帰って行った。


―――――――――――15時21分・・・・自室


―――――やっぱり1人で帰ると早く家に着くな・・・・

――――さて、誰もグロリアに入っていない今のうちに少しモブでも狩っておくか・・・・

――――あと、クラスで噂になっていたドクロのNPCも調べておかないとな。

俺は今日のやる事を色々考えながら服を着替え、グロリアにログインした―――――――


―――――――――15時23分・・・・プライベートホーム

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る