第70話 勝利の打ち上げ:現実③

―――――――――12時10分・・・・・自宅の広間


耀子や姉さんのアバターの魅力を聞かされる事、数十分・・・やっと俺は解放され由里たちのいる所に逃げてきた――――


「あはは・・・悠一君散々だったね・・・お茶でも飲む?」

「あぁ・・・頼む。」

「悠一はもう少し考えてから話さないと・・・」

コトハがパクパクと料理を食べながら、話す時は考えてから口に出す事を注意するようにと言うと、由里がこれからどうするか横から顔を覗かせて尋ねてきた。


「そうだな・・・・打ち上げ以外特にする事が無いんだが・・・・

グロリアもメンテナンスがまだまだ終わりそうにないし・・・・どうするか――――」

「何の話してるの~私も混ぜてよ~」

「何やら今後の事を話しているようだったが・・・どうかしたのか?」

「いえ、その・・・19時からサーバー解放でそれまでずっと食べてるわけにもいかないので・・・・何かできないかなと思って。」

「私は皆とならどこでも何でも楽しいのでお好きに連れまわしてください。」

各自この後の事を考える事数分・・・・・口を開いたのは耀子であった。


「それじゃ、ゲームセンターなんてどうかな?」

「私は本屋に行きたいな・・・・」

「私はそうだなぁ・・・・悠一君とならどこでも・・・」

「俺も何処でも・・・・特に行きたい所があるわけじゃないし。」

「つまり、本屋かゲームセンターと言う事ですね。

私はどちらでも構いませんよ!

ささ・・・悠一・・・どちらに?」

コトハはゲームセンターに行った事がないのか・・・・ゲームセンターのワードに目がきらきら輝かせていた・・・・


「わかった・・・なら、まずはゲームセンター行ってから次に本屋だな――――

それで問題ないだろ?」

「あぁ・・・問題ない。」

「OK!腕が鳴るぞぉ~!!」

「耀子ちゃん・・・程々にね。」

「皆でお出かけ・・・・ワクワクします!

グロリア以外で皆と行動した事が無いのでどれも新鮮で楽しみです。」

やることが決まると、食べた後の皿や料理を片付け・・・まずは耀子の希望したゲームセンターに向かった。


「ここがゲームセンター・・・レトロなゲームがたくさん・・・・こっちにはクレーンゲームもある・・・・」

「コトハ、そんなに急がなくてもゲームは逃げたりしないぞ~」

「わかる!わかるよ~その気持ち!!あ~コトハ~涼孤先輩どこ行っちゃうのって・・・・・そっちは――――――」

「ふふ・・・皆でカラオケ以外でこういう所来るの初めてだね。

コトハちゃんもあんなにはしゃいじゃって・・・・」

「よっぽど皆と一緒にこうやって出歩きたかったんだろうな。

いつもはグロリアでクエストとかだったからなぁ・・・たまにはこういうのも悪くない。

さ、由里・・・俺たちも追いかけないと――――」

俺は姿が見えなくなった姉さんたちを追いかける為に由里の手を握りプリクラの方面に向かったのだが・・・・・


「あれ・・・いない・・・確かこっちにコトハ達が走って行ったはずなんだが・・・・」

「そうだね・・・どうせなら、私達も遊んじゃおッ!」

由里がニコっと笑うと俺の手を引っ張りプリクラ機の中に入って行った――――


「由里・・・まずは皆を探さないと―――――」

「ダメ?―――――」

「わかった、わかったから・・・・そんなに落ち込んだ顔をしないでくれ・・・・」

由里の作戦だったのかわからないが俺はしぶしぶお金を入れると、由里が何やら色々とカチャカチャ画面にペンを滑らせ何かをしていたが、プリクラ機の案内が始まると由里が俺に密着するように腕に抱きつくと・・・・プリクラ機がパシャリと写真を取り始めた―――――


「もっと悠一君スマイルスマイル!!」

「あはは・・・・・」

由里が楽しそうにポーズを取りながら写真を数回撮り終え、外に出ると耀子達がすごい目つきでプリクラ機の前で待っていた。


「悠一・・・・どう言う事か説明して貰えるかな?

3文字以内で―――――――」

「―――――ごめん・・・・・」

「悠一は目を離すとすぐにこうだ・・・・・」

「私もコレやってみたい・・・・」

由里がプリントされたプリクラを俺に半分渡すと、コトハと撮ってあげればと言い・・・コトハと2人でプリクラ機に再び入りお金を入れるとコトハが画面を見てピコピコ操作をして俺の前に立ち・・・俺の手をコトハを包むように急いでセットすると写真撮影が始まり―――――


――――――――ピピピピ・・・・


プリクラの写真がプリントされる音が聞こえ、コトハと外に出ると・・・耀子達がプリントされた写真を見て顔が凍りついていた――――――


「ねぇ・・・悠一コレ・・・どう言う事?」

「以下略3文字!!!」

「――――――ごめん・・・・」

「あはは・・・さすがにこれは私もスル―できないかな・・・・」

「悠一と一緒に写真を撮れて今日はいい日です~~」

コトハの笑顔を見ると姉さんたちはハァとため息をつき、今回の事はコトハに免じて見逃してくれると言い姉さんと耀子の監視の元でゲームセンター内を見て回っていううちに時間が立ち17時になっていたのだが、約束した手前・・・ナシと言う事も出来ず、商店街にある大きな本屋に向かった。


「本屋には来た事がありますが・・・こんなに広い本屋は始めてきました・・・・」

「私は良く来るが、悠一や皆と来るのは初めてだな。

それでは少し自由行動にするか・・・・私も見たい書物があるので失礼。」

「涼孤先輩ってすごい対応が大人だよね・・・・」

「そうだね・・・・大人のお姉さんだよね~カッコイイよね。」

「悠一はいいお姉さんをお持ちで羨ましい。」

「コトハにも兄ちゃんいるだろ・・・・・妹思いな・・・」

「兄さんは・・・兄さんです・・・・私は姉さんの話をしているのです!」

コトハがプンプンしながら女性誌コーナーに行き、コトハを追いかけに由里と耀子も行ってしまい・・・・俺は1人でグロリアやゲーム雑誌のコーナーに移動し、本の内容をパラパラ流し見するとどれも時代遅れなネタや中級者レベルのモブ攻略や隠しダンジョンのネタなど飽きない程度に文章が書かれており、本書限定特典が付いていたりとMMOオンラインゲームの攻略本によくある商法であった。

大概の本書限定特典は見た目だけ作りが良かったりで、中身の無いモノが多かったりもする・・・・・


―――――よくもまぁ・・・こんなにも色々な会社が揃いも揃って、限定限定・・・・と煽って・・・・まぁ・・・買う方も買う方だよな・・・・・・


俺がグロリアの本を色々見ていると後ろから声が聞こえてきた―――――


「あの~すいません・・・ちょっとそこの本見たいのですがぁ・・・・・」

「すいません・・・・どうぞ。」

俺はちょうど新刊のコーナーの邪魔をしておりすぐさま場所を開けるとそこには同じ年くらいの女の子がグロリアの攻略雑誌を見ながら攻略の記事を見る度になるほどやへぇ~っと相槌を入れながら真剣に攻略雑誌を読む姿勢が気になり思わず声をかけてしまった。


「あの・・・グロリアのプレイヤーなの?」

「え、あ・・・わ、私ですか!?・・・・え・・う・・あ・・・ハイ・・・でもまだプレイヤーではないんです・・・・動画サイトの広告を見て、やってみようかなって――――

色々見ていたのですが、公式サイトでは初心者はこの本がお勧めと書いてあったので・・・・コレを買ってみようかなと―――――」

その女の子が見せてくれた雑誌は先程俺がペラペラと見ていた雑誌で、あまり初心者に良い記事が書いておらず・・・俺はグロリアの先輩としてその本の内容は初心者にマッチした記事が全くと言っていい程に無いと熱弁すると―――――


「ふふ・・・君は結構グロリアをしている感じだね・・・・

あ!それじゃあ・・・図々しい話なんだけど、君にグロリアで教えて貰う事とかできるのかな?」

「俺と一緒にプレイか・・・・でも、これも何かの縁だ・・・わかった、プレイに慣れるまで手伝うよ。」

俺がそう言うとその女の子は自分の自己紹介を始めた―――――


「私の名前は、麻沼彩花あさぬまさいか・・・彩花さいかって読んで・・・あとコレ・・・私の連絡先のコードも渡しておくね。」

「俺の名前は名嶋悠一なじまゆういち・・・・よろしくな彩花・・・俺の方も好きに呼んでくれて構わない、お返しにコレが俺の連絡先のコードだ。」

俺と彩花は互いにブロッサムのコードを登録すると、彩花は時間だと言い本を元の場所に置き、アバターができたら一緒にプレイしようと言って本屋を出ていった――――


―――――――なんだかさわやかな子だったな・・・・・

それはそうと俺は外を見ると夕日が傾いており俺は姉さんたちを探しに歩き始めた。


「ふむふむ・・・・最近のトレンドはこういうモノが流行っているのか・・・・」

「姉さんたち・・・全員が女性誌コーナーにいるとは思わなかった。」

「私だって服の事とか本を見たりするんだから・・・」

「この水着可愛い~」

「水着・・・この夏は皆とプールや海に・・・・行けると良いですね。」

コトハの発言に耀子がそれだ!といいながら夏の話を始め出した。


「耀子・・・まだ春で夏まではまだ数カ月先だ。」

「いいじゃん~夏は楽しいよ~―――――それに、由里の生水着見れちゃうかもだよ?イヒヒ」

「海か~夏に海もアリかもしれないな。」

「耀子ちゃん・・・今何か悪い顔したでしょ~」

「ですね・・・・すごい下品な笑い方もしてました。」

耀子のコソコソ話す姿勢と笑い声に由里は自分の胸や体を隠すように構え、コトハも由里の後ろに隠れていた―――――


「と・・・・夏の事は夏に決めるとして・・・・今日は解散だ。

日が傾いて来てるし、それに今日はログインしておきたいだろ?

各自、やる事を済ませてブロッサムのグループで待機・・・でいいな?」

「了解ィ~悠一のグロリアの話をする時は本当に真面目なんだよなぁ~(それくらい私を見てくれてもいいのに・・・・・)」

「私も家に帰り次第、用事を済ませて待機してます。」

「わかったよ、今日は一日楽しかったよ。

また何かあったらこうやって皆でまた騒ぎたいね。」

「そうだな、本当の今日は充実した日であった。

よし、私もやる事は済んだし・・・帰ろうか。」

姉さんが雑誌を元に合った場所に戻すと、各自本屋から自分たちの家に分かれて帰って行った――――――


「ただいま~さて、シャワーシャワーっと・・・・」

「はい、ただいま~悠ちゃん夕食は・・・って今日はアレだけ食べたら要らないわね。」

姉さんは夕食の事を聞こうとしたが、打ち上げの時に食べた量を考えると自分でも今日はいらないと感じ言うのを途中で止め、自分の部屋に入って行った。


――――――――入浴後・・・・・


「さて、時間は・・・・18時半辺りか・・・・ブロッサムで待機するか。」

俺は頭をワシャワシャとタオルで拭きながら時計を見るとまだ時間に余裕がありブロッサムに入ると――――――


「こんばんわ・・・・悠一、今日の本屋ぶりだね。

彩花さいかだけど今、大丈夫かな?」

俺にボイスチャットを飛ばしてきた張本人は彩花で何か焦っているのか口調が早口であった。


「どうしたんだ?まだ、サーバーは開いてないからログインはできないと思うんだが・・・・」

「どうしてわかったの!?何度ログインボタンを押しても繋がらなくて・・・・

そうだったんだ・・・何にも知らなくてごめんね。」

「いや、メンテナンス自体が元々は今日じゃないから驚いて当然だな。

でも19時辺りからサーバーが開くらしいからもうすぐだな。」

彩花がありがとうと言い、サーバーが開くと同時にアバター作成に力を入れるそうで俺は由里たちのいるグループに入ると耀子がまだかまだかと騒いでいた――――――――


――――――――18時35分・・・・ブロッサム内のチャット部屋

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