第68話 勝利の打ち上げ:現実①

――――――――23時22分・・・・・自室


グループチャットに目を通し始めて数分・・・・俺とユリハがメンテナンスが始まった後もこの会話に参加して来ない事に対して耀子と姉さんが色々と心配をしていたのだが・・・・

途中から俺やユリハの行動に対して愚痴になっていた。


「でさぁ~何も言わずに自分で背負おうとしてさ・・・・」

「わ・・・わかったから・・・・その・・・今日はこの辺で寝ない―――――」

「まだ私の腹の虫がおさまってないんだから!とことん付き合ってもらうよ!!!」

こうやって見ていると耀子は姉さんとチャットパーティーで盛り上がり?ストレスの発散をしているようであった――――

この状況を察し由里にメールを送ろうとした時、由里から先にメールが届いた。


―――メールの本文はと言うと・・・・


「今日はお疲れ様、色々な事がいっぱい起きて・・・公式や掲示板じゃ例のコアが言ってた事が現実になるみたいでお祭り騒ぎだよ!

でも、メンテナンス完了時間が未定だからいつになるかわからないけどね・・・その・・・お祝いって言ったらへんかもしれないけど・・・・明日みんなで打ち上げでもしない?

返事待ってます。――――――由里より・・・」


―――――あはは・・・一番喜んでるのは由里なのかもしれないな・・・・コアの言ってた事が本当に・・・・大規模なバランス調整と言ったところか―――――しまった、由里に早くメール送らないとまた怒られる・・・・


俺は急いで簡単に書いたメール送ると、ブロッサム自体に由里が電話をかけてきた。


「はい、もしもし・・・由里?どうしたんだ?」

「その・・・悠一君の声が聞きたくなって・・・・かけちゃった。

明日・・・大丈夫そうで良かったよ。

耀子ちゃんと涼孤さんにも・・・それに多分寝ちゃってるコトハちゃんにも連絡しておいたからそのうち―――ホラ、グループ通話来た来た・・・・それじゃあっちで話そっか。」

由里の手際の良さに俺は苦笑いし、皆のいるグループ通話に参加すると―――――


「え・・・えっと・・・その、こんばんわ・・・・」

「こんばんわ・・・じゃないよ!どれだけ私たちが心配したと思ってるのよ!!!」

「私はそこまで心配はしていないぞ・・・ちょこっとだけ・・・心配したが――――」

「皆ただいま・・・その・・・心配かけてごめんなさい。

でもこれで無事・・・グロリアの世界を救ったんだよね――――」

「あぁ・・・俺たち皆で勝ったんだ・・・メンテナンスが終わった後はあっちでも大宴会だな。」

耀子や姉さんは何故データがなくなった俺がゲームを遊ぶ気なのか不思議そうに尋ねてきた――――


「待って待って・・・・悠一も涼孤さんもコトハも由里もアバター・・・ロストしてるんだよ?

あ!わかった!またキャラ作成して遊ぶんだね!そう言う事でしょ!!!」

「・・・・・・・・・・」

「あはは・・・・耀子ちゃん・・・公式とか掲示板見てないんだね・・・

私から言うのは気が引けるから・・・悠一君の口から言ってあげて。」

「あ・・・あぁ・・・あのな耀子・・・・さっき由里が言ってた通り、俺達・・・このイベントでやられたプレイヤー全員はデータ全損を免除されたんだ、その代わりゲームバランス等の調整でアバターレベルを生死を問わず全プレイヤーはLv1からリスタートと言う形でだ。」

話を理解すると、必死に話していた耀子が馬鹿らしくなったのか急に大きな声を出して笑いそして、また泣き始めた・・・・・


「よかったぁぁぁぁぁうわぁぁぁ~~~ん」

「私は知っていたが・・・その、なんだ・・・熱く語る耀子さんに真実を語る事が出来なかったんだ・・・・だが、これでメンテナンス終了後また皆でクエストに行けるな。」

「そうだね・・・・私達の新たな冒険の始まりだね!

ね、悠一君!!」

「そうだな・・・・また、皆でクエストとかイベントで盛り上がらないとな。

――――と・・・時間も遅いし・・・明日の件はまた朝にでもするとして今日は解散!!」

時間もそろそろ日付が変わろうとしており、久々に集中してゲームをしたせいか・・・すごく疲れており、俺が解散と言うと各自通話を切って落ちていった・・・・


――――――――8時32分・・・・・

朝目覚めるとやはりと言うべきか、姉さんが俺の背でスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた・・・・俺はそろりと洗面台に向かい部屋に戻ると姉さんがベッドに座って背を伸ばしていた。


「おはよう・・・悠ちゃん・・・今日は由里や耀子たちとお祝いするのよね。

その・・・私も参加しちゃっていいのかな――――」

「当たり前だろ・・・姉さんがいなかったらそれこそ不自然だ・・・・

それに、俺は皆と祝いたい・・・一緒に戦った仲間として。」

「そう・・・悠ちゃんがそう言うなら私も参加しないとね。

その前に、朝ごはん作るね。」

姉さんはそう言うとニコニコしながら朝ごはんを作りに台所に向かうとブロッサムにメールが届く音が聞こえてきた。


――――――ピロピロピロピピピ~~~


メールの差出人は由里で、今日の打ち上げの件についての内容が書かれていた。

その内容に目を通すと、打ち上げ時の飲み食いをどうするか、開催する場所はどうするか、と・・・たくさんの文字で書かれていた。


――――あはは・・・・朝から由里は元気だな・・・・


俺はメールを読み終えると笑みを浮かべながらわかる範囲で返信を送り台所に向かうと、ちょうど朝食の支度の終えた姉さんとはち合わせ・・・姉さんと話しながら朝食を食べ始めた―――――


「でさぁ・・・今日の打ち上げはここでしたらダメかな?」

「悠ちゃんの頼みじゃ断れないわね――――この家でやろっか。」

姉さんは少し気になる点があるのか少し考え・・・悩んだ挙句、俺の頼みを了承してくれた。

食事を食べ終えると自分の部屋に戻り、由里に今日の打ち上げの開催場所を自分の家でもいいかとメールで送ると、ものの数秒で電話がかかってきた―――――


「メール読んだけど・・・・本当の本当に悠一君のお家で打ち上げしても良いの?」

「あぁ・・・俺と姉さんしかいないから部屋の広さは大丈夫だと思うけど・・・どこか場所決まってたか?」

「ううん・・・決まってないよ・・・その、悠一君のお家に行くのが初めてだから、その・・・・緊張するというか・・・それじゃ・・・悠一君のお家で開催場所は決まりで、皆と合流してから買い出しして・・・いつもの別れ道付近で待ち合わせでいいかな?

時間は10時くらいでどうかな?」

「わかった・・・10時だな、それじゃまた後で――――」

由里達との待ち合わせを10時に決めると俺は服を着替えると、姉さんに休みモードを解除するように台所に向かったのだが・・・・


「ふんふふふ~~ん・・・・あら悠ちゃん・・・ちゃんと着替えてきたのね。」

「姉さん・・・その恰好―――――」

台所に向かうと、姉さんは休みモードのダラダラした格好ではなく・・・いつもの清楚な格好をした姉さんが料理を作っていた――――


「私だって由里や耀子たちが来るのならちゃんとした格好くらいするわよ。

これでも乙女のはしくれ・・・する時はするのよ。

で・・・この卵焼き味見して貰ってもいい?

ホラ、あーーーん」

「いや、1人で食べ――――――」

「アーーーーーン!!!!」

「あーーーん・・・・うん、美味しい・・・・」

俺は姉さんに無理矢理卵焼きの味見をさせられ、姉さんは俺の食べる顔をニコニコしながら見ていた―――――


「姉さん、これは皆の前でしたらダメだからな・・・恥ずかしいから。」

「はいはい・・・それじゃ私はもう少し色々料理してるから・・・そろそろ時間じゃない?

迎えに行ってあげなさい、女の子を待たせる男の子はモテないぞ~」

俺は姉さんに言われブロッサムで時間を確認すると9時を回り、待ち合わせに移動していたら良い時間になりそうだと思い俺は姉さんに行ってくると言い待ち合わせ場所に向かった。


―――――――――――9時34分・・・・


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