第62話 鎌使いのウェルディム

――――――――20時12分・・・・


ライザー達は街に押し寄せるモブの群れと熾烈な攻防を繰り広げている中、クーリアが落ち着きを取り戻しミストとクーリアも戦場に戻る中、2人はムクロとユリハのことが気になっていた――――――


――――――ユリハ&ムクロ最前線・・・


「おぉう・・・あっちじゃあ激しい魔法の爆発・・・さらにあっちはサクラの圧力を感じるな・・・俺もワクワクが止まらねェってもんだ・・・こちらも早くやりあおうか!白い嬢ちゃん!!!」

「・・・・・・・・」

「すごい覇気・・・でも私も負けられない・・・だから、私も全力で行きます!!ハァッ!!!」

鎌を構え受け身の態勢でユリハの攻撃を待っているウェルディムにクイックシフトを使用しながら渾身の突きを見舞ったのだが―――――


「入った!!!―――――ッ!?」

「急激な加速・・・それに急所を的確に狙うその技量・・・どれも気に入ったぞ!!だが・・・詰めが甘い、なァッ!!!」

ウェルディムはユリハの突き攻撃を鎌の刃で防ぎながら鎌の柄の部分でカウンターを喰らい弾き飛ばされた。


「ユリハッ!!!」

「だ、大丈夫・・・少し痛かったけど・・・まだやれるよ!!」

「そうこなくては・・・では今度は俺から行かせてもらうぞ!!

―――――鎌術・・・連鎌斬切クレイジーリッパー!!!」

ウェルディムはスキルを使用し、ユリハに向かって鎌の連撃を見舞った。


「くッ・・・ハァッ!!くッ・・・・ふんッ!!!」

「いいぞいいぞ!!そうだ・・・もっと反撃して見せろ!!」

ユリハはウェルディムのスキルを剣で弾きながら数発カウンターを入れることに成功した。


「ぐ・・・ぐくぅ・・・ふははは・・・これはいい・・・スキルを受けながらスキを狙いつつ反撃を入れてくるとは・・・白い嬢ちゃんも相当やり込んでいるな!!」

「ウェルディムさんこそ・・・すごい連撃で私も燃えてきちゃいました!」

ユリハとウェルディムは互いに少し距離を取り、武器を構え先に動き出したのはユリハだった―――――


「私のとっておきの・・・スキル・・・

――――――4連星突きフォー・スターレイン!!!」

「ぐぐぉ!!!!・・・・同時に4つの突き攻撃とは・・・

ははは!!!見切る前に突き刺さっているとは・・・・見事なスキルだ!!」

ユリハの放つ4連星突きをウェルディムは回避をすることができず、4つの突きを体に受け・・・体から煙が吹き上がっていた―――――


「やっと攻撃が当たった・・・でもこれなら何とか―――――」

「白の嬢ちゃんの攻撃は見事だったが・・・次は俺のスキルを見せる番だ――――

―――――我が身に舞い降りろ・・・命を刈り取る死神デス・ザ・リッパー起動ッ!!」

ウェルディムはスキルを使用すると、黒い魔法陣が空に現れ・・・ウェルディムに死神が舞い降り・・・ウェルディムと一体化し、巨大な鎌を両手に握りしめていた。


――――――GAGAGAGAGAGAGAGAGAGA・・・・


「巨大な鎌を持った死神・・・・」

「この状態の俺を見て恐怖しなかったのはお前とあのロネッサくらいだな・・・・さすが、肝が据わったプレイヤーは違うな・・・では第2ラウンドと行こうか!!」

ユリハは巨大な鎌を持った死神とウェルディムを見ながら剣を構えると、ウェルディムが先に攻撃を仕掛けてきた――――――


「おらァ!!!!ちゃんと防がねぇと即死だぞ!!!」

「くっ!・・・ウェルディムさんの鎌を抑えるのが精いっぱい・・・

まずいッ!死神の鎌が――――――」


―――――GAGAGAGAGA!!!


「これで終わりか・・・・いや・・まだか――――」

「―――――うぅ・・・はッ!?・・・む、ムクロ君!!

どうしてここに―――――」

「大丈夫か?これだと2vs1だと思ってな、俺も参戦させてもらおうかなって。

これじゃ・・・フェアじゃなかったか?ウェルディム―――――」

「いやいや・・・死神の鎌を片手で受けきるとは・・・その覚悟とこの死神の攻撃を受け止めた褒美だ、2vs2でもっと激しい戦いをしようじゃねぇか!!!」

ウェルディムの目が猛々しく燃えるように赤く光り、ムクロの参戦を認めるとウェルディムは死神とさらに追撃を開始した―――――


―――――――GAGAGAGAGAGAGA!!!!


「オラオラオラァ!!!!」

「ユリハ・・・俺たちも反撃開始だ!」

「うん、任せて!!ハァッ!!!」

俺は死神の鎌の一撃一撃を片手で返しながら、ユリハはウェルディムの連撃に対応しながら数発のカウンターを入れると―――――


「がはッ・・・はっはっは・・・まさか死神を相手に片手で対応できるとかムクロはどれだけ強いんだ・・・・でも、これくらい強くねぇと俺も戦争に参加した意味がないからな・・・・白い嬢ちゃんにも攻撃が見切られた挙句にカウンターまで入れられてる始末だしな――――

俺自身も少し闇に捧げないとやれそうにもないな――――」

ウェルディムがそう言うと、ユリハは何か嫌なものを察したのか少し距離を取りウェルディムを観察することにした。


「死神もこの程度か・・・・こっちの世界のロードリッパー程度か・・・」

上級層にある闇のダンジョンに行った時に戦った、目の前にいる死神と同じようなフォルムをした死霊系と戦ったことがあり、弱点や攻撃の範囲がほぼほぼ同じで後れを取ることはなかったのだが―――――


――――――GOGAGAGAGAGAGA!!!


「ムクロ君ッ!!ウェルディムさんが何か仕掛けてくるかもしれないから・・・気を付けて!!!」

「白の嬢ちゃんは本当に勘のいいプレイヤーだな・・・だが、俺も全力でやらないと勝てそうにもないんでね・・・全力でやらせてもらうとしよう――――

―――――――死霊スキル・・・半人半死ハーフ・リーパー!!」

ウェルディムがスキルを使用するとウェルディムの体が幽霊のように霧状になり、まるで死神になったかのような姿であった――――


「これが俺のこの世界でいうユニークスキルというべき技・・・

ハーフ・リーパーはその名の通り自信の体を半分死神化する・・・

さぁ・・紹介は済んだ、ファイナルバトルと行こうか!!」

そう言うとウェルディムは手をユリハの方に向けると、ユリハは何かに首をつかれたかのように宙に浮き始めた――――


「ユリハ!!!!!―――――ぐッ!!この死神・・・動きが変わった・・・

俺をユリハのところに近づけさせないようにする気か――――」

「ぐ・・・・く・・・・息が・・・・くぁ―――――

このままじゃ・・・・体力バーが・・・何とか・・・脱出しないと・・・

これしかない・・・お願い――――――

――――――聖属性付与ホーリー・エンチャント!!!」

「この光は!!まさか・・・属性付与まで使えるのか・・・この白い嬢ちゃんは・・・・」


「最後の最後でユリハは・・・なら俺も死神に専念しないとな・・・

今度は俺がお前をユリハの所に向かわせないようにさせてもらうぞ!」


―――――GAGAGAGAGAGAGAGA!!!!!


「はッ!!!!!――――かはッ・・・けほけほ・・・

助かった・・・少しでも迷ってたらやられてた―――――」

「本当によくやる・・・まだまだあきらめてないその眼・・・

ムクロも死神をこちらに帰ってこられないように足止めしてる・・・

不利なのは俺の方になったわけか・・・だがな!ここまで来た以上――――

尻尾巻いて逃げるわけにもいかねぇからな!!!

さぁ・・・白い嬢ちゃん・・・行くぜ!」

ウェルディムは鎌を振り回し自信を鼓舞すると、ユリハに向かって瞬時に消え失せ・・・次の瞬間にはユリハの真後ろから出現し、鎌を振りかぶっていた。


「ッ!?・・・・早いとかそういうのじゃない・・・背後を取るスキル・・・

でも・・・・まだまだッ!!!!!」

ユリハは後ろから鎌の一撃が来ると感じた瞬間にクイックシフトを使用し、ユリハはウェルディムの背後を取る形で移動した―――――


「ハァハァ・・・・これで私の勝ちです!!!ハァッ!!!!」

ユリハは背後を取り、最後の渾身の一撃を叩き込むとそこにはムクロと戦っていた死神が目の前に瞬間移動し、ウェルディムを庇う形で消滅していた―――――


――――――GAGA・・・・・GA・・・・・


「それでこそ俺の死神だ・・・これで俺の勝ちだ!!!ハァッ!!!」

「くッ・・・クイックシフトがでない・・・スキルの使用限界!?

こんなところで・・・体がもぅ・・・動かない―――――くッ・・・・」

「―――――ユリハ・・・・最後の最後まで勝利を掴むまではその眼を閉じるな・・・ガハッ・・・最後の一撃を叩き込んでやれ―――――」

ウェルディムの最後の一撃はムクロの体によって防がれユリハまで届くことはなくムクロがその場に崩れた―――――


「くっ・・・・うああああぁッ!!!!!!」

「ぐあッ!!!――――ははは・・・本当に、本当にいい戦いだった・・・

こんなにも熱く燃えた戦いで追われるのであれば本望だ・・・」

大きな音を立ててウェルディムの体は倒れ落ち、体力バーが消滅し体が消えかかっていた。


そして、攻撃を庇ったムクロはギリギリ体力バーが残り・・・危ない状況であったが何とか一命を取り留めた――――――


「ムクロ君!!!いつも私に無茶はするなとかいうけど・・・今回はムクロ君が無茶して・・・もし消えちゃったらどうするのよ!!」

「ごめんごめん・・・でもあのままじゃユリハがやられていたと思ったから・・・

そう思ったら、体が先に動いてた―――――」

「ありがとう・・・でも、今後はもっと慎重にしないとね――――」

「そうだな、とりあえず・・・膝枕はもぉ大丈夫なんだけど――――」

「駄目!!まだ安静にしておかなくちゃ・・・回復ポーションは使ったけど・・・後もう少しだけ――――」

ユリハは俺を膝枕しながら看病してくれていたのだが、その話に聞き耳を立てていたプレイヤーがいた――――――


「ハッハッハ・・・白い嬢ちゃんとムクロはそういう関係だったのか・・・

だったら、この戦い・・・辛い戦いになるかもしれないが気張れよ。

お前たちの戦いがどのような結果になるかわからないが俺はそろそろ退場するとしよう・・・では、さらばだ・・・白い嬢ちゃんにムクロ―――――」

最後の最後までユリハの名前をウェルディムは呼ぶことなく、光の柱となってウェルディムは消滅し・・・俺はユリハとライザー達のいる街側まで移動を開始した―――――


―――――――――20時23分・・・帰還中

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