第29話 都をぶらり・・・
―――――――――19時59分・・・・始まりの都
俺は3人が大人しくなるまで都の喫茶店で時間をつぶすことにした―――――
「マスター、いつものよろしく。」
「いらっしゃい・・・・お、久しぶりのお客さんだな・・・・OK!いつものだな!」
合言葉のようにいつものを頼むと、マスターは色々と機材をガチャガチャと出しながらコーヒーを淹れ始めた――――
――――――コポポポポポ・・・・・
この喫茶店は俺がグロリアを始めて間もない頃からよくエリエントと来ていた店で、その時からマスターは俺たちと仲が良かった――――
「で、どうした・・・浮かない顔をしてよ・・・お前らしくもない。」
「あぁ・・・そうだよなぁ~まぁ最近・・・現実でも
「お前の周りが賑やかねぇ~珍しい事もあるもんだな・・・っと・・はいよ、お待ちど。」
マスターからいつもの特製カフェオレを受け取り、ゆっくりと口に含み―――――
「その、賑やかなのは・・・・女か?」
「・・・・・・・・・・・・・」
俺は無言でカフェオレを飲みながらチラっとマスターを睨むと・・・・
「おいおいおい、マジか・・・・モンスターだけしか相手がいなかったのに出世したな!」
「モンスターだけとか余計なお世話だ・・・・・」
俺がカフェオレを飲み干しカップを置き席を立とうとすると喫茶店に見覚えのある客が来店して来た――――――
「お久しぶり、マスター。
それに、ムクロも。」
「え・・・エリエント!?
お前、最近メールとか連絡なかったけど・・・体は大丈夫なのか?」
「こりゃ、珍しい事もあるもんだ・・・エリエントじゃねぇか、また昔のメンツが揃ったな!」
俺の質問にエリエントは病院からの診断で問題はなく、その証明書のコピーを俺に飛ばしてきた。
――――良かった、これで一歩大きく前進したな・・・・・・
「いやぁ~そりゃあ良かった!今日は俺のおごりだ!どんどん飲んでくれ!
エリエントは何にする?」
「ありがとうマスター・・・私は、ミルクティーでお願いします。
その、ムクロ・・・・相席いいですか?」
「あぁ、断る理由もない・・・それに良かったな。
これでまた一緒にプレイできるな・・・あの頃のように――――」
エリエントを俺の隣の席に座らせ、俺はマスターに特製カフェオレを注文した。
「はいよ、お待ちど~カップルさん!ハッハッハ!」
「な、ななな・・・何を言ってるのですかマスターは!――――もぅ・・・」
「マスター、あまりエリエントをいじるなよ・・・・」
俺はマスターを睨み、特製カフェオレをズズーっと飲んだ。
「ムクロ・・・その・・・これを飲み終わったらこの辺りをぶらぶらしませんか?」
「おぅ・・・いいぜ・・・どうせ俺も暇してたところだ。」
「おうおう、お二人さんお熱いねぇ~」
エリエントはマスターに杖を向けて睨みつけると、マスターが冷や汗をかきながら謝罪し、エリエントは杖をしまい残ったミルクティーを飲み干し俺の手を握り喫茶店を後にした―――――
――――エリエント・・・性格が少し変わったな・・・でもエリエントが元気そうでよかった。
「ムクロ、この辺りは昔よく2人で買い物したわね。」
「あぁ、そうだな・・・武器屋に行ったり食事したり色々したよな。」
2人で歩きながら昔の事を思い出していると―――――
「な・・・ななな・・・ムクロっち!?いなくなったと思って探してみたらなんでエリとデートしてるの!?」
「いや、誤解だ誤解!偶然、喫茶店で出会ってだな――――」
「そうですよ、私とムクロはそういう関係ではないですよ・・・でもムクロが良ければ・・・私はいつでも・・・その・・受け入れますよ・・・」
俺はこの状況は今後マズイ方向に流れるのではないかと察し、部屋を出ていった事から全てをクーリアに伝えると―――――
「ふ~ん・・・でも、まぁ・・・そこまでムクロっちが言うなら私も混ざっても問題ないよね?」
「あぁ、もちろんだ。
エリエントもクーリアと一緒でも大丈夫だ・・・・ろ?」
「えぇ・・・少し残念ですが、構いませんよ。
人数は多い方が楽しいですから。」
俺たち3人はショップエリアをうろうろしながら特にやる事もなく、プライベートルームに戻ると――――
「遅いよ、ムクロ君!
あ、エリさん!体の調子はいいんですか?」
「体の事についてはムクロに話してあるので問題ないです。
あぁ・・・懐かしい・・・よくムクロとここで作戦会議をしたわね―――
本当にあの頃と変わらない・・・」
ひとまず俺たちはルームに入り一息つくことにした―――――
「で、ムクロ・・・この中で誰が本命なの?」
「「「ぶはっ!?」」」
「あ~エリエント、その話題はダメだ・・・別の話題を・・クエストの話でも――――」
俺がクエストの話をしようとした瞬間にエリエントがニヤリと笑い・・・
「この状況で察するに皆さん、ムクロの事が相当お気に入りのようですね。
私もムクロは好きです。
誰よりも頼れる相棒でしたから――――
でも、皆さんはこのリアクションからすると現実でも交流を持たれている方たちですね。
ミストさんはこの前の話を聞いたところではムクロのお姉さんと言ってましたし。
私の言ったこと全てに回答は求めませんが、少しでも皆さんと仲良くなりたいので・・・
その・・・・現実の事とか聞かせてくれたら嬉しいです。」
そう言うと、ユリハ達も冷静になり話せる範囲でエリエントに現実での繋がりを話すと―――
「状況は把握しました。
皆さんの現実での名前、通う高校に学年・・・そして皆さんの住む町――――
結論から言うと、私もムクロや皆さんと同じ町にいること・・・同じ高校に入る事。
つまり・・・私たちは、現実でも友達になれそうですね。」
そう言うと皆もエリエントの事について聞き返し、エリエントの住んでる場所等の交換が行われた。
「まさか、本当にこの近くに住んでたなんて驚いちゃったよ。
でも、これから同じ高校ならよろしくね!」
「俺はミカゲと現実で出会っていたし、多分エリエントとも現実で出会えると思っていたけど・・・まさか高校まで同じとは思わなかったよ――――」
「そうだね、これからさらに賑やかになるね!」
「あぁ・・・本当に世間は狭いな―――」
エリエントと明日、高校の昼休みに屋上で会う事になり、エリエントはログアウトしてルームから退出し――――
「今日は何かクエスト行くのか?
予定がなければ、ミスト・クーリア・ユリハたちに個人的に戦闘スタイルの改善をしようかと思うんだが・・・・」
「私たちの戦闘スタイルの改善?
なんだろ・・・でも、ムクロっちが本気なら私もとことん強くはなりたいと思うよ!」
「うむ、私もまだまだ浅いプレイングだ・・・プレイ歴の長いムクロがこう言うのにも理由があるのだろう、私は稽古をつけてくれるのならどんな事でもやり遂げて見せよう。」
「私も、もっともっと強くなりたい!
だから、ムクロ君!私にも稽古をつけて欲しい!」
俺は3人の戦闘スタイルの改善プランを考えており、すぐに改善を行うフィールドに移動した。
―――――――――――20時32分・・・・平原フィールド:34層・・・永遠の花畑
「まずはここでは俺が指定した武器を装備して戦闘してもらう。」
そう言って俺は各自に俺が武器屋で買ってきたこのフィールドでちょうどいい武器を渡すと――――
「ムクロっち・・・私の武器・・・木の杖なんだけど・・・・
いじめ?これはイジメと言うやつ!?」
「いや、違う。
クーリアは魔法力が高いから武器も更に下位のモノにしただけだ。
ユリハはレイピアから鉄のソードに変更でミストは銅の双剣だ。」
「私、頑張る!少しでも強くなるためにも頑張るよ!」
「うむ、私も双剣は初めてだが・・・なんだ?この湧きあがる闘争心は!
ムクロよ早く稽古を頼む。」
俺は各自が装備した武器の説明と戦いのコツを教えると、俺は遠くから3人の戦闘パターンの観察を始めた―――――――
―――――――20時35分・・・・平原フィールド:34層・・・永遠の花畑
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