第28話 三つ巴・・・

――――――――19時34分・・・台所


――――――もぐもぐもぐ・・・・


「おいしい、美味しいわよ!悠ちゃんの作ってくれたオムライス世界で一番おいしいよ!」

「アハハ・・・・ありがとう――――」

姉さんは俺の作ったオムライスと自分の作った晩御飯をぱくぱくと交互に食べていた―――


―――姉さんは大げさだな、俺の作った料理より姉さんの作ったオムライスの方が美味しいと、考えながら俺は晩御飯を食べていると・・・・・


「悠ちゃん、学校楽しい?」

「藪から棒だな、ん~そうだなぁ・・・中学より楽しい・・・かな―――」

俺は急に真面目な顔をして話す姉さんに冗談を言うのを止め、今が楽しいと言う事を打ち明けた。


「そう、良かったわね。

私はね・・・・本当は少し心配だったの・・・・由里さんや耀子さんが悠ちゃんをいじめたり何か悪い事をしていないか・・・・って。」

「ははは姉さんは心配性だな、由里や耀子はいい人だよ。

少し変わった所はあるけど、人を騙せるような性格じゃないから。」

「そ、そうね・・・急に変な話をしてごめんなさい。

それにしてもこのオムライス本当に美味しい・・・ありがとね悠ちゃん。」

姉さんは俺に笑顔を見せながらオムライスを頬張りながら食べていた――――


―――――数分後・・・・


「姉さん御馳走様、俺は先に部屋に戻って明日の用意とクエの予定を見るよ。」

「わかった、お皿はそのままでいいよ。

片付けておくから、何かあったらグループチャットに飛ばしてね。」

俺は姉さんに感謝しながら自室に戻り――――――


―――――明日の用意は完了っと・・・・宿題も簡単でよかった・・・

俺はそこまで勉強は得意ではなかったが、テストの点数は平均80台を取れるスキルは持っているからひとまずは安心であった。


――――よし、ブロッサムで皆とグループチャットで話し合いながらクエストを決めるとするか・・・・・・

―――――――ピピピィピピピ――――


俺のブロッサムに耀子からのメールが届いた――――


その中身は―――――


「悠一へ明日あすの放課後・・・一緒に本屋に・・・その・・・

明日発売するグロリア特集のゲーム雑誌買いに・・・どうかな?

返事は即でよろしくね♪」

俺は明日も誰かと一緒に行動するのか・・・・・

今日は由里と色々あって少し疲れて明日は早く帰って寝たかったんだが――――

耀子の珍しい誘いだ・・・断るわけにもいかないよな。

俺は明日の放課後は暇で大丈夫と送ると耀子が直ぐにメールを返してきた――――


「OK!それじゃ明日の放課後は私とデートだからね!?

ドタキャンとかしたら許さないからね!

それじゃ、またグロリアで。(この事はヒミツで♪)」

――――と、すごい浮かれた様子の耀子のメールを読みながら俺は少しニヤリと笑みを浮かべていた。


――――そして、俺はグループチャットに本題を書き始めた。


「今日は何かいいクエストあるか?」

「悠一君、今日はオムライス上手にできてよかったね。

また今度に何か作ろうね!」

「ムググググ・・・・そこッ!イチャイチャしないの!」

「そうだぞ・・・私も今回の件で少しだが・・・本当に少しだが・・・羨ましく思う・・・」

俺はクエストの事を話そうとしたのだが―――――


「俺は別にイチャイチャなんてしてないんだが・・・それと、クエストは何かいいのあるか?」

「べ、別にィ・・・そ・・・それに!

イチャイチャなんてしてないよ!?」

「なんか今日あったのぉ?少し由里のリアクションが可愛いんだけどなぁ~」

「うむ、あまり深く詮索はしたくないのだが、今日悠一とあったのか少しお聞きしたいのだが・・・いいかな?」

今回は話にならないな・・・・俺が蚊帳の外になっている・・・・・

今回は本当に料理の・・・料理のこと・・・しか・・・・アレ?

なんだ、何か大変な事が無かったか?――――

俺が今日、脳内の奥に封印していた出来事を走馬灯のように思い出す時には既に遅く――――


「その・・・私、悠一君に・・・Yesとは言ってもらえてないけど・・・告白したの!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

俺は何か不吉なモノが来る事を想定しドアに強くもたれかけると次の瞬間にドアを軽くノックしつつ姉さんの声が響いた―――――


「悠ちゃんッ!?どう言う事!この話の件は出てこなかったのはどう言う事なの!?

うぇ~~~ん。」

「大丈夫だから姉さん、俺はどこにも行かないよ。」

俺が恐る恐るドアを開けると姉さんがぺたんと座り込んで泣きじゃくっていた姉さんを部屋に入れ、グループチャットを再開すると―――――


「なななな・・・・由里め・・・・ま・・・まま・・まだ、Yesが出てないってことはまだ本命の子がいるって事だだだだよね!?

つつつつ・・・つまりまだギリギリセーーーフってここ事だよね!?

ね?悠一!?」

「え・・・あ・・・その・・・うん・・・まぁ・・・俺の中で、まだ答えを出せてない感じだな。

簡単にYesと答える事は違うと思うから。」

「悠一君、私はずっと待ってるから。

悠一君の返事をずっとずっと待ってるから。」

「この件は悠一と由里の問題であって私や耀子の出る幕はないな・・・・

悠一、この答えは慎重に決め・・・・大切にするのだぞ。」

俺は後ろにいる姉さんにうんと言いながらチャットにわかったと書き、今回のクエストは俺が指定したクエになった――――――


そうだ・・・今日、俺は・・・由里に告白されたんだったな―――――

夕日に照らされながらの告白・・・・由里の眼は本気の目だった・・・・

俺は告白なんてされたのは初めてで、こう言うイベントは俺には絶対に来ないと思っていたが――――

いざ、告白されると・・・俺でいいのか?とか本当に俺は由里の事が好きなのか?と、色々な感情と混ざり合い俺の本心はどうなのかが全く分からなくなっていた・・・・


どうこう考えていると姉さんが立ちあがり自分の部屋からグロリアにログインすると言い、部屋から出ていった――――


俺は由里に対しての答えや今後の姉さんと耀子の戦闘スタイルの改編を考えながらグロリアにログインしプライベートルームに向かった――――


「ムクロっち遅いよ~」

「クーリア少し落ち着いて・・・何か用事があったんだよね。

なら・・・仕方ないよ。

あと・・・クーリア・・・・どさくさに紛れてムクロ君に抱きついてるのよ!?」

「あはは・・・・ごめん。

その、クーリア少し苦しいから離れてくれないか?」

俺は送れた事を謝り、クーリアから離れようとしたのだが―――――


「ヤダヤダ!もぅ少しだけ・・・このままで・・・・」

「はぁ~仕方ないな。

ユリハ、クーリアもこう言ってるし・・・ってのわぁ!?」

俺がユリハにもう少しこのままでと言おうとする前に後ろからミストが現れ俺に抱きつき、その2人を見てユリハも俺の腕にしがみついてきた―――――


「ぐぬぬぬ・・・・・・やっぱりこうなったか・・・・」

「それはこっちのセリフだ、私がいない間に何をしているかと思えば・・・・私も混ぜろ!?」

「2人とも少し落ち着いて・・・・私も離れるから皆も一斉に離れよ?ね?」

――――ユリハが掛け声を出して3人は一斉に俺から距離を取り息を荒くしていた。


「今日のところはこの辺で勘弁しておいてあげるよ。」

「私のムクロには変な事はさせぬぞ!」

「2人とも落ち着いて・・・・・」

俺はこの状況で話すと余計にややこしくなると思い一旦ルームを出て町をぶらぶら歩いて3人が落ち着くのを待つことにした――――――――――


―――――――――19時59分・・・・始まりの都

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