第4話 決着と代価
――――――――――――PVPモード展開!!
――――3・・・・・2・・・・・1・・・・・レディーーファイッ!!!
―――開始の瞬間、ユリハはレイピアにスキルをかけたのかレイピアにベールを纏わせながら俺に見事な突きを叩き込み、俺を樽や木箱の積まれた山に弾き飛ばした。
「――――確かに攻撃はヒットした・・・でも何か変、ワザと撃たせた?――――なぜ?」
ユリハはレイピアを構え直して待機していると。
「――――やはりユリハは相当やり込んでるな、見事な突きだ・・・・あれなら中級クエストくらい余裕だろうな。
だが、俺も負けたら何でも言うことを聞くとか言ったし・・・勝つしかないな。」
俺は煙の上がった木箱の中から飛び出し、体をパンパンと叩きサッと武器を構えた。
「やっぱりアレはワザと受けたのね!」
「白百合の剣士様の突きがどんなものか興味がわきまして―――――」
「そう、ならもっと撃ってあげるわ!
――――やっと・・・やっとやっとやっと・・・・本気で戦える
満面な笑みを浮かべながらユリハはレイピアにバフスキルを3重に乗せ俺に向かってきた―――――
「悪いな・・・・その、なんだ・・・ソレは見切った。」
俺はユリハがレイピアで打ち抜く瞬間に回り込み、ユリハの背を軽くタッチすると――――――
「マスター、変態です・・・卑猥行動に集中せず戦闘に集中してください。
先程の変態行為で笑みではなく憤怒になっておりますのでお気をつけて――――」
俺は少し離れたところから顔を赤くしたユリハを見ると・・・
「あ・・・ユリハ・・・怒ってるな・・・強化バフ4重とか―――――――」
「くッ・・・絶対に許さないんだからァ!!!」
――――ユリハは涙目になりながら更にMPやクールタイムを考えずにガンガンとレイピアにスキルを使用し、すごい輝きをしていた。
「ガチで怒らせたか・・・でも、全力で来るならこちらも全力で向かわないと男が廃るってもんだよな!!」
俺は高く飛びあがり宙に浮遊しながらスキルを唱え始めた―――――――
「我が剣は世界の結び目を断たんとし、その剣は全てを飲み込む嵐とならん・・・」
「何、あのスキル?・・・・聞いたことないスキル詠唱―――――ッ!?
武器屋に並べてある武器がムクロ君の方に集まっ―――――」
ユリハは剣の向かい飛んでいく方を見ると怒りも吹き飛ぶ光景を目の当たりにした―――――
その光景とは、数百という数の剣が渦を巻き生き物のように俺の一定の周りを廻っていた。
「こんなの・・・・どう防ぐのよッ!?
極剣クラスのスキルじゃ――――――まさか・・・・
ユリハは俺の技に絶望と同時に正体が知りたいという好奇心とどうやってこのスキルを回避するか・・・バフのかかったレイピアを構え、いつでも防御できる姿勢になった。
「やっぱり・・・ユリハはいい感してるな、この技がどういったものかすぐに理解してる、こりゃまだまだ伸びるな―――――
だが、手加減なしで迷惑にならない程度に全力で・・・・撃つ!!!
「
俺がスキル名を叫ぶと数百の武器がユリハに向かって高速で振りかかった―――――
「くっ!!このっ!・・・・きゃっ!・・・・ぐッ・・・まだまだぁ!!!」
ユリハはギリギリの所で回避と移動するためのポジションをキープしながら剣の嵐を耐えていたが、攻撃が一発二発とヒット数を増やしていく度に、体力バーが削れ白い衣装が少しずつ削れ、抉れ、切り裂かれ落ちていく――――――
「――――さすがにやり過ぎたか・・・それにしても凄い煙だ・・・・前が全く見えねぇな・・・フンッ!!!」
「くッ!・・・・・・・まだよ・・・まだ、終わってないよ!」
俺は武器を振り煙を飛ばすと・・・中からユリハの衣装が破け、長いスカートだったのがミニスカートのような姿になりながら・・・ボロボロのレイピアを構え俺と対峙した―――――
「ユリハはホントにすごいな・・・俺の予想ではコレで決まったと思ったんだが。」
「まだまだ、詰めが甘い・・・のよ・・・クッ・・・(立っているのがやっと・・・体力バーも赤のミリしか残ってない・・・これからどうする―――――)」
俺は地に突き刺さった剣を引き抜きユリハと対峙するように剣を構え前に立つと・・・効果時間の限界でユリハの攻撃バフは消え、体力バーも赤点滅している状態で・・・・でもなお戦おうとするその意思の強さ・・・そして、あのまだ負けていないという・・・あの目の輝きを俺はすごく気に入った―――――
「ムクロ君・・・あなたの正体は――――」
「シッ!――――」
俺は自分のヒミツを話されまいと、剣でレイピアを叩き切り・・・その衝撃で体力バーが無くなり、ユリハが倒れる瞬間にスキルで移動し――――ユリハ抱きかかえるとPVP終了のアナウンスが入った。
「「「「うぉーーーーーーーーーーーーーーー」」」
「―――――――今までプレイしてきて、あんなすごい戦い見たことねぇ!!」
「―――――あの、ムクロってやつ何者だ?ユニークスキルの当りキャラか?」
「――――すごいわね~私も後30年若かったら求婚してる所よ・・・ホッホッホ。」
「―――――負けちまったが、さすが白百合の剣士だ!最後の最後まで凄い戦いだった!!」
「――――――あの剣が降り注ぐ中、耐えるなんてやっぱスゲェよ!!!」
色々な声援で耳が痛くなったが・・・・ソロでプレイしていた頃を考えると闘技場以来の声援だった・・・・・近くで聞くプレイヤーの歓声がこんなにも気持ちいいとは知らなかったな―――――
そう考えながらユリハを抱えながら武器屋の店主の元まで行き、清算は俺宛てに全額書いて送ってもらうことにして、戦闘不能になったユリハを宿屋まで移動させることにした―――――
――――――――――22時56分、宿屋・・・・
「―――――――んんッ・・・・ここは?・・・どこ?」
「目が覚めたか?ユリハ。
話すと長くなるから手短に話すとだな・・・ユリハがダウンしている間に事を済ませて、今いる宿屋でユリハが回復するのを待ってたんだ。」
「そう言えば、私・・負けたんだね・・・・ハァ~」
少ししょんぼりするユリハに俺は賭けの話をはじめた。
「と・・・いうわけで、俺の勝ちだからホラ。」
「何、これ・・・フレンド申請?」
「あぁ、これから一緒にプレイするっていう約束だろ?
まぁ・・・嫌だったら無理にとは言わないが―――――」
ユリハは負けたことを悩んでいた事が馬鹿馬鹿しくなったのか大笑いし――――
「そうだったわね、私の負けだから賭けの代価を支払わないとね。
はい、申請許可しておいたよ、これからよろしくね!ムクロ君♪」
ユリハはそう言うと俺に手を出し俺はそっとその手を握り返して互いに握手を交わした―――――
その手は小さく、武器を振り回すような手ではなくお姫様のような華奢な手をしていた。
「と、これからの事を考える前に・・・そろそろ寝ないとな。
もうすぐで23時だ、明日も学校か~ずっとゲームしてたいな。」
「――――くすくす・・・そうだね私も、学校あるから落ちるね。
それじゃまた明日、ムクロ君。」
そういうと、ユリハはログアウトをして消えていった―――――
「また、明日か・・・この世界で久々に聞いたな・・・その言葉――――」
俺はそう、ブツブツと呟きながらゲームからログアウトし寝床に着いた。
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