第2話 面倒事はMMOの醍醐味!

「―――んんっ・・・・」

眩しい光が無くなると始まりの都の移動ゲートの前にいた。


「さすが、世界規模で遊ばれているゲームだけあるな・・・凄い人数だ。

家族で遊んでたり部活でしていたり・・・どこまで大きくなるつもりなんだ・・・

そうだ・・・アイテムBOXの確認しておかないと―――――」


俺がBOXを開けようとした瞬間、画面の中から妖精が飛び出してきた。


「ハローマスター私は女神とのコンタクトとマスターの身の回りのお世話をすることになったサポートキャラ、ルミ子です。

属性はB'NPC:戦闘・基本サポートタイプになります。」

簡単に言うと色々面倒な事とかを勝手にしてくれるサポーター・・・・で――――

クエストの受注、PVPや基本会話まで何でもこなせるレアなキャラでもあって、ゲーム内のオークションでも高値で取引され・・・人型のものだと相当な額で取引される貴重品とされていた。


「これも、女神の特典ってところか。」

「ハイ、そうですそうですそして・・・コレもお渡ししておきます。」

サポート妖精からアイテムカーソル内にアイテムが追加され、見て見ると―――――


「おい、これ・・・黒騎士の・・・・スクロールじゃないか!」

「そうです、これはいざという時の為の保険と言う事らしいです。

スクロールはマスターの体力が0になると強制使用される仕組みになっていて・・・

スクロールは消去不可、転売不可、トレード不可、他からの認知不可、となっております。

他の者からのアイテム選択にも反映されませんのでご安心を。

無敗のマスターならその心配はありませんが。」

長々しくスクロールの説明をしてくれているルミ子を俺は色々な方向から覗き見ながら感想を呟いた―――


ほうほう、俺も初めてサポート妖精を見たが・・・中々いいものだな・・・・

俺がじろじろと角度を変えて見る事に我慢できずにルミ子が牙を剥いた。


「私をジロジロ変な角度から覗くのをお止めください変態マスター・・・

ところで、これからどうするのですか?

BOXでアイテム整理ですか?

レベルに合わせた武具の調達ですか?

それとも、宿屋に移動しますか?

それとも――――――――」

さすが、サポート妖精・・・やろうと思った事を考えてくれるな・・・・

まるで俺の頭の中をトレースしているような感じ――――


「そうですよ、マスター」

「え?」

「マスターの頭の中の思考情報は私も読み取る事が出来ますのでサポートの幅が増えるのです。」

ふむふむ・・・どうりで言うより先に何がしたいかを言えたんだな。

まぁ、プライバシーも何もないがまぁ・・・ゲームだ仕方ない仕方ない。


「大丈夫ですマスター、マスターの変態な部分は覗きませんので思う存分変態プレイを想像してください。」

「この妖精は可愛い顔してすごい毒舌だな・・・・

まぁ・・・先にかばん整理してから武具の調達だな。」

俺はやることを決めルミ子を頭に乗せながら街を移動した。


にしても本当にプレイヤーが多いな~さすが拠点になることだけある。

歩いているとすれ違うキャラクターはプレイヤーが大半で、獣人や竜族・・・エルフに現実のような制服を着た学生のようなプレイヤーが歩いていた。


キャラクターの製作クリエイトスキルを上げると料理やコスチューム等が好きに作れる機能もこのゲームの自由度の高さを物語っていた。


「あんなコスチュームまであるのか・・・最近はコス(コスチューム)の質も格段に上がったな・・・・」

「マスター、変な妄想はお止めください。

私は色々な服が似合うのは認めますが、マスターの妄想に巻き込まないでください。」

俺はコスチュームを見ているうちに頭の上にいる、ルミ子とコスチュームを照らし合わせると・・・ルミ子は注意をすると、俺は少しだけ頭を読まれることに不便さを感じていると・・・・

――――どうこう考えているうちにアイテムBOXの置いてある共同施設に到着した。


「レベル的に考えると最初の武具屋で買い揃えてクエストか野良PVPでもするか。」

「マスターのレベルではこの公共施設辺りで受付している野良PVP等では現状マスターが勝てるプレイヤーが存在しないと思われます。」

「はっはっは、そうか。

負けたことがない俺からしたら燃えるシチュだ。

そりゃ、Lv1だったら・・・相手が5や2ケタのLv10以上だと脅威に感じるだろうが・・・・勝負の要はだ。」

「マスターは頭がおかしいのですか?

――――――!?

本当に負けるつもりがないのですか・・・・・マスターは変態で相当な変わり者ですね。

わかりました、好きに負けてボロ雑巾になってきてください。」

俺はルミ子に罵声を言われがら武具屋に向かった。


「おぉ~懐かしいな、俺もここから武器を買って冒険を始めたんだよな・・・・」

俺は店内にある武器を物色し始めると、店の奥から怒鳴る声が聞こえてきた。


「おいおい、俺とのPVPに何故入ってこないんだ?

16回も送ってるのによぉ?

なぁ?一回だけだって。

一回だけPVPやらせてくれよ?なぁ?」

大きな体の獣人プレイヤーがフードを被ったプレイヤーにしつこくからんでいた。


「私は無益な戦闘はしない。

そうね、あと1つ戦いたくない訳は貴方が私より強くないからかな?」

「なら、俺の強さを見せつけりゃ良いわけだな?」

「・・・・・・・・・」

「沈黙は肯定ととるぞ・・・覚えていろよ。

ってな訳だ、誰か俺と戦ってくれる奴はいないか?なぁ?」

獣人の男がそう言うと、俺を除くプレイヤーが後ずさり、俺に対して獣人の男がガンを飛ばしてきた。


「あぁ・・・面倒なことになったな、いきなり相手のレベル15か・・・・

―――――――だが、面白くもなってきたな・・・・

どれどれ・・・獣人、武器は大味なデカい奴だろうな・・・スピードはそこまで―――――」


「よぉ、坊主・・・・お前が俺から一歩も引かずにいた対戦者だ悪く思うなよ?

アイツとPVP前の前哨戦という奴だ。

ホラよ、申請を送ったぜ・・・せいぜい俺を楽しませてくれよ?」

俺宛にPVPの申請アラートが鳴り響き、俺はしぶしぶOKボタンを押した。


「マスターは現在、扱えるLvの武器を持っていませんが大丈夫なのですか?」

「そうだったな・・・・店長!少しの間コレ借りてもいいか?」

俺は壁に掛けられていた初心者用のソードを手に取り軽く素振りをして店長に尋ねると・・・・


「いいですけど・・・壊したら弁償ですよ?

こちらも商売なので。」

俺は二つ返事で了承しソードを持って表に出た。


「―――――――なぁ聞いたか?武器屋前でPVPが始まるらしいぞ!」

「――――マジか見に行くか!」

「―――――――俺も俺も!!」

だんだん店の周りが賑やかになり・・・・ギャラリーが数十人以上になりボルテージもどんどんと上がっていった。


「あの人・・・Lv1か、可哀相に―――――慰め程度に見ておかないといけないわね、私の巻き添えで戦うことになった訳だし。」


「―――――それじゃ・・・・・始めるか、坊主!」

「つべこべ言わず、かかってこい――――新参者ルーキー。」

俺は武器を構えて待機の状態に入った―――――――――

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