第4話 或る気持ち。




次の日部屋から神様がいなくなった。




すると途端に世界が変わって見えた。今まで窮屈に思えた視界は広がり全てが美しく思える。



些細な事を幸せだと感じ、何よりも愛しいと思う。猫は可愛らしいし、花は美しい。退屈だった電車通学も教師の授業も、それはもう何もかもが楽しかった。




今までの俺に何が足りなかったのか。




人間は真っ青に広がる空を見上げ思う。


だが、人間は再び憂鬱さを知り部屋に入った。窓を開け揺られるカーテンを見つめる。人間は誰もいない窓際に寄り添い空を見上げた。明るい月がぼんやりと自分を見つめている。



……お前に会いたい。声が聞きたい。



そうして、人間は初めて涙という物を流した。心底から湧き上がるそれをどう表せば良いのか。それが分からない。


名も知らぬ神様に、もう一度会いたい。



「……ならばこのような感情、」




知らなければ良かった。











人間は神様に恋をした。





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