第3話 或る告白。
「最近お前が此処に来た理由が分かるような気がするのだ」
「どういう意味?」
「俺には足りないものがある」
「なにが?」
「はっきりとは分からないが……俺は俺だけを守って来た。毎日が何処か寂しく、何の為に生きているのかが分からなかった」
「そう」
「だがお前といる毎日が今は楽しく感じる。昔とは嘘のようにな」
「そうだったら良いけど」
神様は箸を止めてお気に入りのコップで水を飲む。今日は焼き魚だった。
此処のところ、毎日これだ。
けれど、人間は嬉しそうに頷いてみせる。神様はそれ以上何も言わず、ただ何かに気付いたような表情をしていた。
ある晩の事だ。うとうとと眠気に襲われていると、神様が人間の布団を剥いで言った。寒さに思わず目が覚める。
神様は、準備が出来た。そうぽつりと呟いた。
「ここに来た本当の理由だよ。君に世界を愛するという感情をあげよう。大事に、育ててね」
神様はそう言って微笑んだ。
……なんという独りよがりな事だろう。
未だ信じられず疑心暗鬼だったが、人間は呆れながら返事をした。これはきっと夢なのだろう。そう思ったからだ。
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