第22話 残響

『音』が耳に張り付く、とでもいうのだろうか。

空耳で振り返ることが多い…誰にも呼ばれることなどないのに…。


願望なのだろうか?


転職前は、毎分、電話が鳴り響き、メールが滝のように入ってくる。

内線、外線、来客対応が終わればパソコンに付箋がくまなく張られている。


それが、僕の日常だった…。

つまずいて…職を追われ…今は…大勢の中の一人。


こんなものなのか?


過去に縛られた僕の耳に、誰かが囁く…僕の名…白昼夢のような過去の残響は、僕の未練が魅せる幻影。


僕の耳に残るのは、慌ただしかった、在りし日の残響。


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