第10話 虚無
『0』と『無』は同じではないと思う。
『0』とは…そこに無いだけ。
存在はしているけれど、ソコに無いだけ…。
例えば、この部屋には誰もいない…これは『無』ではなく『0』だ。
『無』とは…存在が無いこと。
つまり『0』にすら到達できない。
僕は存在しています。
でも…誰も僕のことを数えないから…僕は『0』です。
だから…明日、死んだら…。
僕は『無』になれるのです。
僕の存在は消え…誰の記憶からも消えた時…僕は『無』になれるのです。
「もうメールしないで…ツライだけだから…」
今日、僕は彼女の前から消えようとメールを送った。
彼女の中で、僕は『0』になって…やがて『無』になる…。
いつか…『無』になる。
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