第8話 1998年の出来事~パワハラ
時は変わり、1998年。37になっていた。33歳で、2回目の結婚。34歳で越谷に家を買い、長女が生まれた。私は浅草の本社ビルに通っていた。アサヒビール情報システム株式会社(ABIS)出向、第六システム部課長だった。
1月、妻が娘を私立幼稚園にお受験させたいと私に言った。妻との力関係から反対は出来なかった。ついては、都心に引っ越したいと。6月、経堂にマンションを借りて引っ越し。この時、私は二つの大きなプロジェクトを抱えていた。一つが大阪の物流子会社の配車システム。もう一つが、ワイン子会社の生産管理システムだ。
7月。外注先の会社を交えて、パーティーがあった。うちの池田社長は大乗りだった。時間が来て、私は部長と駅にむかった。部長が深刻な顔をして、話があるという。二人で静かな場所に行った。池田社長には当日まで言うなと言われているけれど、それも出来ない。君は明日、辞令が出る。大阪駐在だ。
はあ。俺は不思議と冷静さを失わなかった。池田社長には嫌われていた。役員会でも、誰も俺の異動に賛成しなかったらしい。それを池田社長が押し切った。
発令当日。俺は冷静ではあったが茫然としていた。妻に報告した。あの、驚いた顔は忘れられない。答は早かった。私たちは大阪には行きませんから。俺は妥協し、単身赴任が決まった。
陰湿な池田の陰謀で、俺の会社人生は終った。
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