機体設定2

・機体名:エフェメロプテラ 第二形態

・分類 :古式?

・概略

 カルロス・アルニカが作成した魔導機士。最新の古式にして最古の機体でもある。

 死霊術を応用した各種機構が仕込まれており、既存の魔導機士とは一線を画した構成となっている。半ば死体の継ぎ接ぎの様な物であり、死霊術によって使役することも可能となっている。但し、修理等で魔獣死骸から抽出した以外の部品の割合いが増えると使役の難易度は上がっていく。

 

 対魔導機士の為のカルロス・アルニカ専用魔導機士。カルロス・アルニカの理想としていた魔獣被害を減らす為の量産可能かつ万人が操縦できる魔導機士という理想とは真逆の存在となっている。

 

 その最大の特徴は左右それぞれの腕に宿った大罪と神権。本来相反する筈の特性が一機の機体に纏めて乗せられている。それ故に、平時はどちらかの腕には魔力を通さずに外部兵装兼駆動系として地竜の革を使用している。元々頑強な地竜の革と、それを触媒として使用できる土系の創法はエフェメロプテラの防御力向上に大きく貢献している。

 

 左腕の骨格には水竜の骨を加工した物が利用されており、それを使用した水系の創法も得意とする。全体としての傾向は近接格闘に特化しており、遠距離中距離戦闘はあくまで補佐的な物に留まっている。

 また戦闘の度にマイナーチェンジを繰り返しており、必要に応じて機能が追加されている。

 

 背中と腰に設置されたワイヤーテイルはカルロス・アルニカが紅の鷹団に潜伏していた際に作成した機体、クレイフィッシュのワイヤーアームを参考に作成した物。途中キメラの尾など流用可能な素材を模索していたが、最終的にここは通常の機械部品で作成した。これによってエフェメロプテラは三次元の空中機動を可能にし、高い近接能力を支えている。魔導機士をけん引するだけの出力もあり、その目視の難しさからカルロス・アルニカは足元から引き倒すなどの使い方もしていた。

 

 左顔面は遠隔操作時に破損した箇所を補修する際に魔獣の持つ魔眼――天然の魔法道具を使用可能にするべく改修された箇所である。強引に魔力を通して生前の性質を励起させているため、一度使用すると魔眼は崩壊する。使い捨てではあるが、魔獣の持つ魔眼と言うのは突然変異の物も含めると原理も不明で強力な物も多く切り札として活用している。一番ストックが多いのがバジリスクの石化の魔眼。

 

 装甲表面にはジャイアントカメレオンと言う魔獣の表皮を加工して貼り付けており、周辺色に同化するという特性を得ている。隠密能力の高さは当時のカルロス・アルニカのゲリラ的な戦い方と合致していた。

 

 アルバトロスが開発したエルヴァートの光学偽装能力に対抗する為、急遽嗅覚ユニットを追加した。調整が不十分だったため、都市部の悪臭に苦しめられた。

 

 こうした諸々の機能はカルロス・アルニカが作り出した物だが、左腕の鉤爪――模倣の大罪と、右腕と神剣は彼が一切関与していない箇所である。

 

 左腕には模倣の大罪が宿っている。本来大罪機と呼ばれるはずなのだが、その影響範囲が左腕の一部に留まっている。その為エフェメロプテラと呼称しているのである。

 大罪機としての機法は絶対魔法障壁。五法に属する魔法と、機法の全てを解析し抵抗(レジスト)するという対魔法の切札。ただし物理攻撃には一切の効果が無いため注意が必要。エフェメロプテラが近接戦闘に偏った構成なのは、大概の遠距離攻撃はこれで無力化できるというのが大きい。

 大罪法(グラニティ)は『|大罪・模倣(グラン・テルミナス)』。対龍魔法(ドラグニティ)であろうとその構造を理解し、相手の魔法を無効化。そこに使われるはずだった魔力を奪い、自分の魔力に上乗せして相手の対龍魔法(ドラグニティ)を模倣した一撃を放つという物。究極のカウンター。ただし模倣した対龍魔法はその場限りの物である。エフェメロプテラに解析した魔法の情報を記録する余裕が無いのであった。

 

 右腕は人龍大戦以前に破壊された神権機、ヴィラルド・■■■■■の物。唯我の大罪機によって切り落とされた物がそのまま移植されている。更に断ち切られた神剣もセット。既にそこからは神権の守護者としての力は失われているが、現代文明では再現不可能な古代魔法文明の遺産としての力は残っている。カルロス・アルニカが入手時には使用が不可能な程に破壊されていたが、クレアの手によって最低限の機能を取り戻した。

 抜刀時には機体表面を魔力で覆い、防御力の向上と魔力自体をアクチュエーターとする事で機体出力の強化が行われている。また刀身から魔力を放出することで遠距離攻撃も可能となっている。剣とは一体何なのか。考えさせられる存在である。

 

 大罪と神権と言う相反する性質を持つ為、右腕と左腕の併用は不可能。右腕を使用する際は機体と操縦者は反動に耐える必要がある。

 

 また余りに多くの機能を詰め込んだため、消費魔力が大きくなっている。その対策としてカルロス・アルニカはクレアの残した資料を元にエーテライト融解促進の魔法道具を開発。魔力を消費しながら融解速度を速めるという荒業で解決している。ただし燃費は最悪。アイゼントルーパー等の中型魔導炉と比較すると消費は六倍。出力は瞬間的には二倍。更に機法、大罪法(グラニティ)等を使用すれば更に消費は早まる。

 

 総合的に見ると荒削り且つ後付の改修が多く無駄の多い設計。改善の余地が数多く存在する。

 

・機体名:エルヴァート

・分類 :新式

・概略

 アイゼントルーパーをベースにアルバトロスが開発した新鋭の量産機。対魔獣、対人用にデチューンされていた同機とは違い、対魔導機士戦闘を主眼に置いた設計が成されている。

 その基本戦術は複数による待ち伏せからの一撃必殺。その戦術を実現するためにエルヴァートには二つの特徴的な装備が存在している。

 

 一つが待ち伏せを実践するための光学偽装の魔法道具。自機の周囲に幾つかのパターンから選択されたオブジェクトの幻影を纏うというもの。岩や木に偽装することで相手からの察知を困難にしている。

 もう一つが魔導機士用に開発されたクロスボウ。巻き取り機が独立した魔法道具となっており、固く張られた弦を引くのに一役買っている。そこから放たれるボルトは魔導機士の装甲を貫通する程。更にボルト自体に爆発の魔法道具が仕込まれている物も存在しており、着弾箇所から爆発させることも出来る。

 

 何れ来る魔導機士同士の戦いの為にアルバトロスが導き出した答えがそもそも戦闘を行わずに初手で仕留めるという物。無論、近接戦闘機能でもアイゼントルーパーを凌駕しており、単純な格闘戦になったとしても優勢を維持できるだろう。

 

 親衛隊を始めとする精鋭部隊を中心に配備を進めており、そうして浮いたアイゼントルーパーを傭兵に貸与するという事を行っている。

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