連続殺人
中古車販売店の駐車場から遺体が発見された、その三日後。
スローレイダー隊は、
スローレイダー隊が到着すると、程なくして会議が始まった。三日前から起こっている、遺体が地面に埋められた状態で発見される連続猟奇殺人事件についてだった。
「またかよ、くそったれ……」
その視線の先には、土の中から掘り起こされた、鎖で身動きが取れないように拘束された顔面が潰れた全裸の女性の遺体の写真があった。
「これで、三件目ですか……」
石堀が忌々しげに呟いた。
「趣味悪過ぎぃ……」
翔子が小声で、実に嫌そうに言った。
「…………」
西条は、黙って説明を聞いていた。その眉間には、深い皺が刻まれていた。
「これまでと、同じ手口、か……」
エドが呟いた。その視線は三人目の遺体の写真に写った遺体の背中を見ていた。その背中には、かじり、千切られたような痕があった。
「――ここまでで、何か質問がある方はいらっしゃいますか?」
そうこうしている内に説明が終わり、それまで説明していた男性刑事が言った。
それから少しして、
「あ、あの……」
ミチルが恐る恐る、控え目に手を挙げながら言った。
ミチルに会議室にいる全員の視線が集まり、ミチルは立ち上がった。
「何か、気になる事でも?」
男性刑事による説明を時々質問を交えながら聞いていた本部長が、ミチルに言った。
「あの、三人の被害者なんですけど……何か変な感じがするんです」
「というと?」
「あの……どの被害者も、裸にされて、鎖で身動きを取れなくしているじゃないですか。それなのに、千切られたような痕があるのは足と腕と背中……つまりバラバラの場所で……」
「どういう事かね?」
「あの、これ、ひょっとして、殺した犯人と千切られたような痕をつけた犯人、それぞれ別々なんじゃないかな、って思ったんです。例えば……」
ミチルは一呼吸置いてから、その続きを言った。
「人間の殺人犯と、遺体を少しだけ食べたビースト、とか」
その言葉に、捜査本部は少しだけざわついた。
「…………にわかに信じがたいが…………あくまで推論として考えを受け取っておこう」
本部長は思案顔になって言い、
「とにかく、ホシはかなり危険な人物である事は確かだ。さらに、現場の近くではビーストらしき目撃情報も寄せられている。皆、心して捜査に取り組んでくれ!」
よく通る声で締めくくった。
捜査本部にいた全員が返事をして、立ち上がり、捜査に向かう中、
「…………まさかね…………」
ミチルは、何かを思い出したかのような表情になって呟いた。
「……それで、俺達はどうするんですか?」
翔子が運転するジープで『魔法機構日本支部』に戻る途中に、後ろの席の右端に座っている西条が唐突に言った。
「……とりあえず、もらった資料とこれまでの情報から、誰もしくはどんなビーストがこんな事をしたのかを考えようと思います」
助手席のエドがそう言った時だった。
「あ、あの……」
ミチルが小声で言った。
「どうしたの?」
「あの、ちょっといいですか? 私、気になる事があるんです」
ミチルはそう言って、その先の言葉を、まるで何かを恐れるかのように言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます