送り主

 午後七時を回り、心咲と椋が帰った後。


「………」


 舞は、宅配物のダンボール箱を開けてエボルペンダントを取り出し、開けた部分を下にして何度か振った。

 すると、箱から四つ折りにされた紙切れが出てきた。


「何これ?」


 舞は呟いて、紙切れを広げた。

 紙切れは手紙だったらしく、文章が簡潔に、こう綴られていた。


『エヌへ

 かなり遅れてしまったが、君への誕生日プレゼントだ。君の身をザ・ワンから守るために、人格を自分自身から守るために役立てて欲しい。

                       結城ゆうき 志郎しろう


「……シロウさん……」


 舞は何かを懐かしむかのように呟くと、そっとズボンのポケットにしまって、


 「……これ、なくさないように気を付けないと……」


 エボルペンダントを首にかけると、手紙を押し入れの金庫にしまった。

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