第一章 改造少女
第一話 お届け物
仲良し三人
少女は所々に
「舞ちゃーん!」
ショートカットの少女を大声で呼びながら、後ろから、誰かが突っ込んできた。
ショートカットの少女はそれを見ないで避けて、突っ込んできた人物に、カウンター気味に手刀を落とした。
「ぐべっ!?」
手刀をマトモに食らい、顎から地面に激突した人物は、少女だった。茶色がかったセミロングの黒髪を持ち、瞳の色は深い茶色。背は舞より頭一つ低く、舞と同じ市ヶ目中学校の制服のシャツを着て、こちらはネクタイを締めてズボンを履いていた。
「い、痛た……」
「……おはよう。舌、噛まなかった?」
セミロングの少女に舞と呼ばれたショートカットの少女は、静かに言って、そっと右手を差し伸べた。
「
「……うん」
舞に心咲と呼ばれた少女が納得のいかない表情になりながら、その手を取って立ち上がった。
「おーい、二人共ー、だーいじょーぶかーい?」
心咲が突撃してきた方向から、もう一人、少女が駆け寄った。
少女は黒髪をベリーショートにしていて、背は舞より頭一つ高く、舞と心咲と同じ中学校の制服のシャツを着てリボンを付け、スカートを履いていた。
「あっ、むっちゃん、おはよー!」
「おはよう、
心咲は元気よく、舞は静かに挨拶をした。
「うい、おはよ。二人共朝から仲がよろしゅうございますねえ」
舞に椋と呼ばれた少女は、ニヤニヤと笑いながら言った。
「あったりまえよ! 私と舞ちゃんは体と心が繋がってるのよ!」
「心はともかく、体は繋がってない」
舞はピシャリと言い放った。
「うー、舞ちゃんのイジワルー」
「朝から人に向かってタックルしてくる人への態度はこんなものだと思うけど」
「そうじゃなくって、そうじゃなくって!」
「何?」
「いや、何ていうかさあ、舞ちゃん、小学校の頃とちょっと変わったよねって話だよ!」
「そ、そうかな?」
舞はそっと目を逸らした。
「そうだよー! だって、小学校の頃は私の愛を受け止めてたじゃなーい!」
「そ、そうな……かな?」
「あー、確かに、タックル避けられてなかったよね」
椋が頷きながら言って、
「それに、何というかさ、春休み明けた頃から目つきがちょっと鋭くなった気がするし。口調もちょっち変わった気もするし。春休み中に何かあったんですかね? ん? 男か? 男なのか?」
ニヤニヤしながら続けた。
「ええ――っ!? 舞ちゃん、私という彼女がいながら……!」
「い、いやいや、違うからね、椋? 彼氏なんていないし。あと、心咲も彼女じゃない」
舞は、『ないない』と手を振りながら言った。
「んー、ソッコーで否定するのが余計アヤシイんだけど?」
「そ、そそそんな事よりさ、そろそろテストじゃない? 二人は勉強どうなの?」
「うっ……」「そ、それは……」
心咲と椋はそれぞれ目を逸らした。
「……ちょっと、ヤバそうだね。だからさ、今日三人で勉強会しようよ。丁度全員同じ図書部なんだし、時間は合わせられるでしょ?」
舞の提案に、
「乗った!」
心咲は元気よく手を挙げながら言って、
「ありがたいねえ。ついでに何があったのかは聞かせてもらいますからねえ?」
椋も楽しそうに言った。
「お、お手柔らかに……」
舞は、ただただ苦笑する事しか出来なかった。
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