第二部

JRPGの自由度についてと定義問題

JRPGは、自由度が低いと揶揄されることがあります

この手の議論は、言葉の定義が曖昧なので、以前から整理したいと考えていました


文化的違い、システム的特徴、媒体を一括りにしてRPGを論じることに違和感があります

RPGの定義だけでなく、自由度の定義も整理すべきです

主人公の選択、キャラメイク、マルチサイト、フリーシナリオ、オープンワールド、ルート分岐、マルチエンディング、シナリオの自由度を表す要素だけでもこれだけ挙げることができます

そこに、システムの自由度も加えると議論になりません


RPGは、専用機より前から存在しているので、ゲームのジャンルとして広範囲すぎます

ゲームのジャンルは、アクションゲームやシューティングゲームのように、システム的特徴を表すべきでしょう

RPGは、システム的特徴というより文化や現象に近い


定義が曖昧という前提で、自由度の議論に戻ります

なぜ、JRPGは自由度が低いと揶揄されるのでしょう?

全盛期の週刊少年ジャンプが、DQやFFを大々的に取り上げたことにより、国民的にRPGが普及したため、マンガとゲームの境界が曖昧となり、ゲームを物語として消費する文化が日本に根付いた――つまり、JRPGはシナリオ体験RPGなのです


シナリオ体験RPGに対し、TRPGから地続きに進化したRPGが日本からも幾つか生まれ、インターネットの普及によってマルチプレイヤーが主流となり、今やシナリオ体験RPGではなく、TRPGへ先祖返りしています

日本で独自進化したシナリオ体験RPGと、TRPGから地続きに進化したマルチプレイヤーRPGは、定義が曖昧なまま同じRPGとして扱われていますが、文化的に別ジャンルなのです


次章では、シナリオ体験RPGとマルチプレイヤーRPGを対比しながら、第一部で述べた、3Dのジレンマを乗り越えた第3のRPGを構想することにしましょう

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