なぜ彼女は生涯をまっとうするのか。読了してそんなことを考えました。恋しい人が死んだなら後を追いそうなものだけれど、彼女は抜け殻のようになっても生き抜いた。もう少しだけ待っていてと呼びかけながら。もしかしたなら、彼女自身の意思表明であり証明であり復讐だったのかもしれない。生きていてもなお死んだあの人だけを愛するという。湖の畔で寄り添う二人が思い浮かぶ雰囲気ある物語でした。
そこに『言葉』はあまり関係がなくて、ただ『君』という存在があれば、それでよかった。そんな密かな恋で、愛だった。