第4話見知らぬおっぱい
気がついたら、そこはまたもや見知らぬ天井だった。
無機質な白い天井、少し固いベッド、飾られた一輪の百合の花。
外の景色はいいわけでもなく、かといって悪いわけでもない。
時計の針だけが聞こえる部屋の中で、俺はため息をついた。
こんなところにいつまでも世話になるわけにもいかないから、早く出て行こう。そう思って、立ち上がろうとすると体が痛む。
情けない話だ。一国の勇者で魔王を倒して英雄になるはずだったにもかかわらず、負けて、見知らぬ地でチンピラどもに負かされるなんて笑い話にもならない。
どうすればいいのだろうか、俺はため息しか出ない。
すると、がらりと扉が開かれる。
扉の向こう側からは自分と同い年くらいの女性が現れた。
黒髪で、ショートヘア、潤った唇に二重の可愛らしい目。全体的に整った顔をしていた。
そして、何よりもおっぱいがでかい。
女性は、俺が目が覚めたことに気がついたのか、ホッとした表情を浮かべて、俺の元へとやって来る。
「あの、大丈夫ですか?」
「いえいえ、大したことないですよ。それより、あのチンピラどもは?」
「あなたを倒した後、どこかへ逃げて行きましたよ」
あー、やっぱり負けたのか、うんうん、そりゃ負けるよね。
だって、俺勇者だもん。
「まぁ、こんなところにいつまでもお世話になるわけにもいかないので、俺はもう行きます」
「ああ、それは無理です。少なくとも今日1日はここで休んでください」
俺は、その後彼女に言われるがまま、休むことにした。
無事に痛みが取れ、再び外の世界に出て来たが、変わらず行くあてがなかった。
とりあえず、宿のようなところに見つけなければ、野宿になってしまう。
俺は、宿のようなところを探すことにした。
ひたすら道をまっすぐに歩いて行くと、宿『お登勢』と書かれた宿があったので入ってみた。
「いらっしゃい」
中には、タバコを吸う、パンチパーマのおばちゃんが1人。
「ここに、一泊したいんだが」
「一万だよ。さっさと払いな」
「一万とは、ルズベス金貨何枚分だ?教えてくれ」
タバコを吸い終えると、おばちゃんは、冷たい目線でこちらを見つめる。
「出て行きな」
それから、日が暮れても宿は見つからず、俺は公園のベンチで休憩していた。
とんとん、と肩を叩かれる。
「あのー、大丈夫でした?というより、私のこと覚えてます?」
振り向くと、そこには昨日のおっぱい、ではなく、美少女がいた。
「もちろん、覚えてますとも。それより、宿が見つからなくて困ってるんです」
「そうだったんですか。じゃあ、私が一緒に探しましょうか?」
「ありがとうございます。じゃあ、あそこにそびえ立つ城に泊まれますか?」
「えっ、あのー、泊まれなくはないんですけど、あれは1人で止まるホテルではなくて…」
少し、恥ずかしそうにいう彼女の横を男女が通り過ぎ、城の中へと入って行く。
「なるほど、ここは男女で入る場所なんですね。なら、一緒に入りませんか?」
「いやー、それはちょっと…」
「お願いしますよ〜、ちょっとだけでもいいんで、先っちょだけでもいいんで、だから入りましょ。絶対変なことしませんから」
彼女は、ため息をつくと、なにか決意したかのように俺をみた。
「今日は、私の家に来てください。部屋、1つ余ってるのでそこで寝てください」
こうして、俺は彼女の家に泊まることになった。
「狭いアパートですけど、我慢してくださいね」
彼女の甘く優しい声に癒されつつも、俺は彼女の家にたどり着く。
中は、白を基調としたインテリアで、綺麗に片付けられた部屋だった。
「ところで、俺はどこで眠ればいいんですか?」
「あー、じゃあここで寝てください」
何もない、人1人が眠るのにぴったりくらいの狭い空間だった。
「じゃあ、ここで眠らせてもらいます」
「あ、そういえば、なんて呼べばいいんですか?名前とか」
「なんでもいいですよ、別になんだって」
「じゃあ、お兄さんってお呼びしますね」
なんだ、この子めちゃくちゃ可愛いな。
そう、思った。
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