天使の涙番外編

藍上央理

第1話

@ts_p 「天使の涙番外編:はじめてですか?」#tknk

「はじめてですか?」先生はそう僕に言った。貴方が好きですという言葉に先生が応じてくれて、僕という形を貴方の望むままに染め上げてくれる約束を交わした。診察台に横たわり、貴方が僕を拘束する。足と手を共に縛り上げて、僕の恥部を凝視しながら訊ねてくれた。未知の期待に胸高鳴らせ、僕は待つ。


@ts_p 「天使の涙番外編:痛むんです」#tknk

「痛むんです」患者はそう胸を押さえて私に言う。被虐的なウサギの目。私の心がずくずくと疼くのを感じる。診察終了後の診療室に患者を呼び、裸のまま診察台に横たわらせる。ひくつくすぼまりにデンタルミラーを差し入れる。私の好む形に仕上げるよう患者の恥部に治療を施す。初な部分に刺激を与えて。


@ts_p 「天使の涙番外編:椅子を倒します」#tknk

「椅子を倒します」僕の恥部をもっとよく見たいと貴方は言った。すぼまりが冷たい器具を咥えたままの状態で、先生は診察台を動かす。「あ……ふぅん……」ちょっとした動きに僕のあそこが熱く反応する。「ン……」声をこらえても、何度も発してしまう。その度に先生は小気味よさそうに診察台を操った。


@ts_p 「天使の涙番外編:動かないで下さい」#tknk

「動かないで下さい」私は快感に身をよじり始めた患者に告げる。腰も拘束したほうがいいのだろう。道具を取りにいく間、大事な患者を退屈させてはならないと、乳棒をすぼまりに挿入する。患者の快感が乳棒のうねり具合で伝わってくる。強く深く回転を加えて練り上げ、私は患者を置いて部屋を出た。


@ts_p 「天使の涙番外編:お待たせしました」#tknk

「お待たせしました」そう言って先生はやっと戻ってくると、僕の腰を診察台に固定した。腰をよじって逃げることも叶わない。先生がビニール製の手袋をはめて、僕のすぼまりに指を差し込む。快感が背筋を走る。「大丈夫ですか?」と問いながら、先生は容赦なくすぼまりに指を何本も入れていった。


@ts_p 「天使の涙番外編:保険適用外です」#tknk

「保険適用外です」患者がもっとと要求する。私は焦らすように言った。「先生がほしい」患者の要求はエスカレートしていく。私は仕方なしにベルトを緩めて、すでに固く隆起したそれを患者の緩んで熱く火照ったそこに当てる。「んあ……ッ」挿入の時の患者の声に私は興奮する。深く深く、沈んでいく。


@ts_p 「天使の涙番外編:この箇所ですね」#tknk

「この箇所ですね」先生の腰がうねるたびに、僕の内臓がかき回され、気が遠くなるような快感のツボに当たる。そのたびに先生は嬉しそうに僕に言う。僕は先生の言葉に答えるけれど、まともな声にならない。僕の中が先生の形に変えられていくのを実感する。何もかも、僕の体の細部まで変えてしまって。


@ts_p 「天使の涙番外編:親不知どうしますか?」#tknk

「親不知どうしますか?」深々と穿ったまま、先生は僕の瞳を見つめた。診療の終わった僕がここにまた来る理由はない。「きます、ぬいて、僕、先生……好きっ」頭に浮かぶままに先生に答える。突き上げられる快感に、僕の大きくなったあそこも我慢できないほどに膨れ上がり、先生と僕の腹に精を放った。


@ts_p 「天使の涙番外編:次の予約ですが」#tknk

「次の予約ですが」私は患者の耳にささやいた。そのまま耳たぶをはむ。舌先で耳朶をねぶり、柔らかなそれに歯をあてる。患者は反応がいい。何度も私の名を呼んで、唇を交わしたがる。腹に当たる患者の隆起がありありと感じられる。私の呼気にびくびくと脈打ち答える。甘い吐息が漏れ聞こえる。


@ts_p 「天使の涙番外編:お大事に」#tknk

「お大事に」縄をほどき解放すると、患者は頬を染め、私を見上げた。「これきりですか」と、か細い声で囁く。「予約日にまたおいで」水曜日の午後は患者のために開けている。何度も何度も愛し合うために。これほどに私の形に馴染んだ患者はほかにいない。火遊びのつもりで手放すには惜しい恋人。

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天使の涙番外編 藍上央理 @aiueourioxo

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