第8話
なけなしのお小遣いをひっくり返してやっと二十万の貯金。あとは働く場所を見つけるだけ。
姉さんに援助してもらったお金も足して、あたしは家を出る準備を始めた。親に行ったら反対される。そんなのはわかりきってた。だからこれは隠密の行動なのだ。
と思ってたら親から大事な話があると言われた。
「あんた、見合いしない?」
「えー。嫌です」
「もう受けたから、今度の日曜日に行きなさい」
それは急な話だった。あたしは蒼太君と付き合ってることを親に話してない。家はものすごく厳しいのだ。もしかすると嗅ぎつけられて、無理やり結婚まで話をつけられてしまうかもしれない。ありえる。
蒼太君に相談したら、
「俺に反対する権利ないし……」
で終わった。
「日曜に◎×ホテルのロビーに十時って約束させられたの」
「だからどうしたいの」
「ん……」
止めてほしいとは言えず……あたしは何でもないごめんなさいと言って電話を切った。最近あたしたちぎくしゃくしてる。うまくいってないのかな。蒼太君の気持ちが全然見えない。信じたいけど、なんだか、さびしい。
姉さんはそろそろ終わりだとからかうし、あたしは涙が止まらないし、どうしたらいいのかわからなかった。
本当にどうしたらいいんですか……
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