はじまりの出会い①
「伊藤さんは死んじゃったの!?」
涙目で真央がテーブルに両手を叩きつけ、前のめりになってしまった。
三子に思わず問いただしてしまう。
話だけで伊藤さんに感情移入してしまっていた真央はパニックになってしまっていた。
「奥さんと娘さんは?ねえ?大丈夫なの?どうなったの?ねえ?ねえ?みっちゃん!」
首ねっこをつかんで、ガックンガックン振り回していた。
「・・・・・・あにょ、あにょお、だ、大丈夫でしら。たす、きゃってますので、や、止め────。」
目を回す三子に真央はようやくぶん回すのを止めた。
三子が落ち着くまでひたすら平謝りな真央だった。
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伊藤氏が命に別状はなかったと聞いて一安心した結果、
「むぐむぐむぐ」
「・・・・・・・・・・・・。」
真央は食らっていた。
『幸せのふわとろスフレパンケーキ』
Gテラスガーデンの定番スイーツで、真央が食べてみたいが値段にびびり、かつそもそも店の敷居の高さゆえに妄想でしか食べれないまま、終わっていたであろうはずの夢に見た逸品であった。
「ん────!んんんん〜〜〜〜っ!!」
ただ、とろけるのみ。
真央のテンションがギュンと上がった。
「むふ〜〜〜。」
殿様気分で鼻息を解き放つ。
「この一口一口のために生きてるねぇ。」
「・・・・・・満足していただけましたか?」
「・・・・・・余は、満足じゃ・・・・・・・・・・・・。」
ご満悦状態から、したたる脂汗。
────からの土下座。
地べたへのダイビング土下座である。
「大変申し訳ございませんでした。」
────彼女の懺悔はお上に受け入れられた。
むしろ続く真央の凹みぶりに三子が若干引いたぐらいだったので当然と言えば
当然の結果だったのである。
そうしてデザートも平らげて、三子からの提案で本日の予定を二人は確認することとなった。
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