あしおと、爪痕、ENTER KEY③
「タピオカINコーラに抹茶パフェってさあ。もう、すべてが神だよねえ。 」
隣の
(いっつも美味しそうに食べてて和むなあ、頬袋膨らませたリスみたい。)
真央は実際に口に出したら瑠璃に小突かれそうなイメージを浮かべてほっこりしてみる。
真央は肉を
ふとテーブルを挟んだ対面に座る都咲三子が目に入った。ツーテールの髪をぴこぴこ左右に揺らして、園児たちを見守る保母さんみたいなニッコニコな笑顔だった。
「ふたりとも喜んでくれたみたいで私も嬉しいよ~~。」
真央は三子と、続いて瑠璃とも顔を見合わせた。真央は照れ臭くなって、
「がっついちゃってごめんね、みっちゃん。『Gテラスガーデン』でお昼食べれるの久々で、ついはしゃぃじゃって・・・。」
「ごちそうさま、三子。アタシも同じく。やっぱフードコートも良いけど、コッチはまた格別でつい。」
前橋学院大学の学食は、二つのエリアで構成されている。一つはフードコート。麺類や定食、ファーストフードの店舗が軒を連ねていて安価で量を重視したレパートリーを楽しめる。
そしてもう一つがエリアというより一店舗が出店されていると言うのが正しい。それが『Gテラスガーデン』である。学生だけでなく一般客にも親しまれ、メニューもリーズナブルな品から学生には贅沢な金額の品まで、幅広い和洋折衷な品ぞろえのレストランとして近隣では好評なのだ。
今、三人は吹き抜けの高い天井、店頭や店内に季節の花が飾られ、花に添えられる形でハーバリウムが置かれているテーブル席を囲んでいた。
食と会話が弾んだ。
「・・・・・・さて、それじゃあそろそろ聞くとしますか。」
紙ナフキンで口元を拭った瑠璃の言葉で場の空気が変わる。
「――三子の悩みってヤツを!こんだけ良い想いしたんだから、私たちがあっという間に解決してみせるわよ!ねえ、真央。」
「へっ!?あ、う、うん。なんとかしちゃう!だから任せて、みっちゃん」
久しぶりの贅沢な上に、美味しいご飯に夢中で三子にお呼ばれしたことまで忘れかけていた。
真央は少しだけどぎまぎしながら、柔らかな肉と一緒に慌てた気持ちも飲み込んで、どうにか答える。
「ありがとう、じゃ聞いてもらえますか」
続いて口を開いた三子の相談は、楽しい食事タイムに我を忘れていた自分を恥じさせるには十分な内容なのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます