第14話 生まれ変わり

翌日別れが辛くなると孫権は見送りに出なかったが周瑜は最後まで桜の横に居た


「周瑜有難う」


周瑜

「必ず助けるからな」


「うん、待ってる」


船に乗り行く桜だが敵陣に1人で来たものの怖いのが本音だった


(それも又運命ですとほざいたものの怖いわ〜

周瑜、私は生きて帰れるのかしら・・・)


船着場で最初に迎えてくれたのは張遼だった


張遼

「よくぞ、いらしゃいました。

曹操様がお待ちになられてますよ」


「有難うございます」


桜は丁寧に挨拶をして船から降り歩き出す

陣の入り口で夏侯惇が待っていた


夏侯惇

「此方です。」


桜は夏侯惇について行くと長板坡であった曹操が書簡を広げ見ていた


夏侯惇

「曹操様、桜様をお連れしました」


曹操はチラッと桜を見て言う


曹操

「すまない、もう少しかかるのでそこの椅子にでも腰掛けて待っていてくれ」


「はい。」

(わぁ〜超〜緊張する)


足がもつれつまずく桜


ガタン!!


膝をついたはずが椅子が倒れる音まで聞こえた


(あれっ、此処の椅子は倒れてないのに・・・)


曹操

「大丈夫か桜殿。

なれぬ服を着ている様だな。」


「すいません、少し裾が長い様で・・・」

(女性の扱いをよく知っているのね

流石、曹操と言うところかしら)


曹操が桜の手を取った時に少し驚いた顔をした


曹操

「立てるか」

(震えている、やはり怖いのか・・・)


「有難うございます曹操様」

(わぁ〜、震えているのバレバレだわ)


曹操

「張遼、桜殿を身軽な服に着替えさせてくれ」


張遼

「はい、桜さん此方です。」


「はい」


張遼と桜は他の部屋に行き着替えるのだった


張遼

「かなり高価な服を着て着ましたね。」


「そうですか、着せられるまま来たので・・・」


張遼

「あまり怖がらずにいて下さい。

曹操殿は貴女を客人として此方に呼んだのですよ」


「そうですか・・・」


張遼

「まだ、不安ですか。」


「はい・・・

正直怖いです。」


張遼は優しく笑い言う


張遼

「劉備殿や孫権殿達が言う程、曹操殿は冷酷非道で怖い人ではありませんよ。

情の厚い人です。」


「そうですね。」

(先も手を取り立たせてくれたし、冷酷非道の男ならしないわね。)


張遼

「では、戻りましょう。」


「はい」


桜が先に出ると張遼が言う


張遼

「桜さん、そちらではありませんよ」


「ご、ごめんなさい。」


張遼の背後について行く桜だった


戻ってみれば料理や酒が用意されていた。


曹操

「長板坡で誘った際、来てもらい嬉しいぞ」


「此方こそお招き頂き嬉しいですわ」


曹操

「堅い挨拶は抜きでいこうか桜」


「えっ、はい。」


曹操が優しく微笑んだものだから桜はホッとした、お互い酒の酌をしあいながら話す。


桜は曹操の紳士ぶりに驚いていた


曹操

「そうか、長らく放浪の旅をしていたのだな。」


「ええ、前の夫が生きている時はとても幸せでしたか亡くなってから山を下りてみると女1人で生きて行くのは大変でした。」


曹操

「そうか、苦労したのだな。」


「曹操殿の苦労に比べれば私のは楽な方ですよ」


曹操

「フッ、なかなか話しが上手いな桜

気に入ったぞ好きなだけ此処にいるといいぞ〜」


「えっ、私は帰れるのですか?」


曹操

「帰りたければ帰っても構わぬ。

それに無理にいることもない。

だが戦が始まる事だけは覚悟しておいて欲しい。」


「ズルいですわ曹操殿。

そう言われたら帰れません」


曹操

「ズルいか〜

そうだな、私はズルい男なのだ。」


「クスクス、本当に優しく家臣思いの人なのですね。」


曹操

「おやっ、今度は褒め落とすのか〜

参った、参った」


「曹操殿、そろそろ私は眠くなってきました休んでも構わないですか。

それともまだ曹操殿もお呑みになられますか」


曹操

「そうだな私もそろそろ寝る。

楽しかったぞ桜。

張遼、桜を部屋に案内してくれ」

(桜花とは違い控え目で優しい女だ。

だが何かもの足りない。

私の妻となるものではないのか

だが美しい・・・)


曹操が部屋に戻った後の事、不思議な体験をする曹操


曹操

「誰だ!!」


朱鷺

「フッ、やっと会えたな曹操」


曹操

「何者だ!?」


朱鷺

「桜はどうだ。」


曹操

「どうだと言われても良い女だ。」


朱鷺

「そうであろう我妻だからな」


曹操

「なに!

お前が仙人の朱鷺と言うのか」

(確か死んだときいている)


朱鷺

「そうだ、だが桜はお前の妻とならぬぞ〜」


曹操

「馬鹿なことを言うな。

孫権達は私に差し出したのだ、もう私の物だ」


朱鷺

「フッ、桜の運命はお前と繋がっておらぬとだけ言っておこう。

お前も勘ずいておるであろう何か違うとな」


曹操

「煩い!!

出てい行け!!」


朱鷺

「フッ、出て行かずとも消える」


朱鷺が消えた後に桜の部屋から音がする


曹操

(こんな時間に何処へ行くのだった)


曹操は小窓から桜を見ていた

中庭で煙草を吸い出す桜を見て曹操はホッとする


曹操

(逃げ道を探しているのかと思えば煙草か、

確かに酒が入ると煙草を吸いたくなる。)


曹操も桜の隣で静かに腰掛け煙草を吸い出した


曹操

「眠れぬか」


「ええ、お酒を久し振りに沢山呑んだのでなかなか眠れなくて」


すると曹操は桜を抱き寄せ自分の膝に座らせ抱きしめる


曹操

「此処は冷える。」


「私は貴方の温もりで暖かいです」


桜は曹操に寄りかかるのだった


曹操

「嬉しい事を言ってくれるな。

星が綺麗だぞ見てみろ」


「本当ね・・・」

(周瑜・・・

曹操に抱かれようとも心は貴方のものよ・・・)


暫くして曹操は桜を見てみると寝ていた


曹操

「寝たか。」

(本当に愛しい女だ)


曹操は桜を抱き上げ部屋に寝かせるのだった


その頃周瑜邸でも不思議な体験を周瑜がしていた


周瑜

「誰だ!!」


朱鷺

「我妻が選んだのはお前か〜」


周瑜

「なっ、我妻、お前が朱鷺と言うのか」


朱鷺

「そうだ」


周瑜

「死人がいつまで成仏せずにうろついている」


朱鷺

「痛い所つくなお前も。

諸葛亮との策を聞かせて貰ったぞ〜

苦肉の策とはな。」


周瑜

「それが桜を怪我させずに救い出せる策なんだ」


朱鷺

「桜と生涯寄り添い生きたか周瑜よ」


周瑜

「生きたいに決まっている。」


朱鷺

「なら、その地位、名、呉を捨てる覚悟はあるか」


周瑜

「なっ、いきなりなんだ!?」


朱鷺

「全てを捨ててでも桜と生涯寄り添い生きたいか」


周瑜

「ああ、桜を抱いた時にもう全てを捨ててでも俺は桜と生きたいと思った」


朱鷺

「では試してやる我が手を取ってみろ」


周瑜

「手を!?なんだか分からんが手を握ればいいんだな」

(幽霊なのに握れるのか・・・)


周瑜が朱鷺の手を握ると手の甲に痣が浮き出て来た


周瑜

「なっ、なんだこれは!?」


朱鷺

「やはりお前であったか・・・

探すのに苦労した。

我が生まれ変わりよ・・・」


周瑜

「なっ、おい、勝手に消えんなよ!」


朱鷺

「後は頼んだぞ周瑜、赤壁の戦いが終わり次第、桜と新野の山奥にいる琥珀を訪ねよ。

全て助けてくれる。」


朱鷺は一度笑い消えるのだった


周瑜

「俺が朱鷺の生まれ変わり?

分んねぇ・・・」

(考えても仕方ねぇか)

「諸葛亮居るんだろ」


諸葛亮

「ああ、話しは聞かせて貰ったぞ

琥珀殿に会いに行く時は私が案内する」


周瑜

「琥珀と言う者を知って居るのか」


諸葛亮

「私の心の友だ。

彼なら助けてくれるだろう」


周瑜

「助かる」


その頃新野の山奥の琥珀の所にも朱鷺は来ていた


琥珀

「久しいですね朱鷺兄さん。

死んだと言うのにまだこの世に未練があるのですか」


朱鷺

「お前も周瑜と同じ事を言うでない。

赤壁の戦いが終わると周瑜と言う男が桜を連れお前の所に来るだろう」


琥珀

「ふぅーん、桜姉さんがね〜

だけど周瑜は荊州を攻める際病死するのでははいですか?」


朱鷺

「そう嫌な顔をするな。

周瑜は私の生まれ変わりの男だ。

それに少し桜花や桜が時代を変えたせいで周瑜は私の生まれ変わりになり生き延びることになった。

世話をしてやって欲しい。」


琥珀

「朱鷺兄さんが身勝手すぎたからこうなったのですよ。

お陰様で私はかなり苦労をしました。

幼い瑠璃を連れどれだけ難儀をしたか。

あの2人も難儀をさせたら良いのです!」


朱鷺

「それは謝る。

だが、桜の事を思って私は出たのだ。

分かってくれ・・・」


琥珀

「はあ、都合の良いように使うのは上手いのですね。」


朱鷺

「すまない。

おやっ、琥珀の時も動き出しているのだな。」


琥珀

「はい、私は乱世から逃れられないようです。

瑠璃も・・・」


朱鷺

「致し方あるまい。

あの男の妻となる運命なのだな」


琥珀

「はい、瑠璃には幸せになって欲しいのですがまさかこれから敵になると思うと瑠璃が不憫で可哀想で・・・」


朱鷺

「琥珀よ、この兄を許してくれ。

瑠璃は瑠璃なりに幸せを掴んでる。

それで良いのではないか」


琥珀

「はい、ではお兄様の願いは聞き入れます。」


朱鷺

「有難う、もう会うことは無いが周瑜となった私を頼んだぞ」


琥珀は頷くのだった







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