第13話 周瑜の嫉妬

劉備達が港に着くと手厚い歓迎をする孫権


孫権

「よくぞ来た劉備殿」


劉備

「此方こそ同盟を結んでもらい感謝しています。」


孫権

「さあ、長旅で疲れているであろう中へ」


孫権は盛大な宴を開いた


周瑜

「・・・やり過ぎだ孫権!

戦前だぞ何を考えているんだ!」


孫権

「良いではないか、戦が始まればもう酒など呑めぬからな。」


周瑜

「それもそうだが・・・」


周瑜は少し怒ったようで宴の場から出て行くのだった


暫く廊下を歩いていると角の方で煙草を吹かす桜が居た。


周瑜

「煙草をするのだな桜」


「ええ、今晩は周瑜

私は寿命が決まっていてね。

どんなことしたって寿命まで死なないのよ。

だからこれもやめられないの」


周瑜はいきなり近くの部屋に桜を引き込む


「周瑜!?」


周瑜

「すまない、分かちゃいるんだけどあんたの匂い好きなんだ少し落ち着くまで大人しくしてくれ」

(俺は、俺は桜に惚れてしまっている。

参った・・・

いずれ孫権の妻になるのにどうすれば良い)


「甘えん坊なんですね周瑜も。」

(なんだか朱鷺に抱き締めて貰っている感覚がする、変だわ私も周瑜を欲しいと思っているのかしら・・・)


周瑜

「男はみんなそうだ、人それぞれ甘え方も違うがな。」


周瑜は桜にキスをしてしまったのである

それには桜も驚く


「あー、周瑜

それ以上は駄目ですよ。」


周瑜

「分かってる、だがもう一度だけ許してくれ」


周瑜は長いキスを桜として部屋から出て行くのだった


「不味いわ周瑜が私に心変わりし始めている」

(でも周瑜に触れられるとなんだか朱鷺を思い出す私は周瑜と結ばれるの・・・)


桜も宴の場に戻るのだった


孫権

「桜、此方へ」


「はい、孫権様」


孫権

「皆も知っていると思うが私はここにいる桜と結婚する。」


劉備

「おめでとうございます孫権様

話しは諸葛亮から聞いています。」


孫権はとても気分が良さそうだが周瑜が口を挟んで来た


周瑜

「だが、曹操との戦前だ、婚儀は戦に勝ってから挙げてもらう。」


周瑜を率いる家臣達も皆、頷くのであった。


諸葛亮

「そうですね、戦前ですので婚儀はこの戦の勝利と共に挙げられると孫権様の株も上がります事でしょう」

(周瑜なにを考えているんだ。

ハッ、もしや嫉妬しているのか・・・

思った以上に周瑜が桜に落ちるのが早い。

何故だ!?

用心深いと有名な周瑜がすんなり桜に落ちるのは矢張り桜が仙女だからか)


孫権

「そうであったな。

では桜それまでは待っていてくれ。」


「はい、孫権様。」


周瑜は更に不機嫌な様で出て行くのだった


諸葛亮

「かなり機嫌が悪いな周瑜」


周瑜

「考えてみろ戦前だ。

なんだあの宴は丸で婚儀の様だ。

これから前線で戦う俺らの士気が下がる。

その際で民も苦しむ。」


諸葛亮

「周瑜、桜に惚れたな。」


周瑜

「クッ、そうだ、悪いか!

孫権のものとは知っているが矢張り駄目だ。

孫権か桜に触れるだび虫唾が走る。」

(ハッ、俺は何を言っている)


諸葛亮

「それで婚儀も戦の後と主張したのだな」


周瑜

「そうだよ、ムカつくじゃん。

のうのうと結婚されても俺達は戦で命をはるんだ。」


諸葛亮

「フッ、そうだな。

それなら孫権から桜を奪えば良かろう周瑜」


周瑜

「なっ!?

そ、それは出来ん!!

今、身内でイザコザしていては勝てる戦も勝てん。」

(出来るものならしている!!

それが出来ないからムカつくんだ。)


諸葛亮

「私は孫権には桜は合わないと思っているぞお前ならば桜を扱えるのではないか

それに桜花が此処に居た頃はお前が良くしてくれたと言って居たからな。」


周瑜

「出来るものならしているよ・・・

それが出来ないからこうやってムカついてんだ。」


諸葛亮

「そうだな、誰も君主の妻には手を出さんからな」


周瑜

「ああ」


諸葛亮

「少し長話をしてしまったな。」

(矢張り周瑜も桜が欲しいのか・・・)


その後曹操が攻めて来たのである。


初戦は大勝利だったが程なく膠着状態になるのだった


孫権

「周瑜戦況はどうなっておる」


周瑜

「見ての通りさ、お互い膠着状況だ。」


その頃、曹操は間者からの情報を待っていた


曹操

「フッ、面白い。

膠着状況で孫権も劉備軍も困っているか〜

そろそろ良いだろう。

この文を孫権に渡せ。」


曹操は要求を書いた書簡を使者に届けさせるのだった


それを読んだ孫権は激怒した


孫権

「おのれ!!

曹操め何処まで馬鹿にしておる!!」


周瑜

「曹操は何を要求したんだ孫権」


孫権

「クッ、我妻をよこせと書いてある!!」


周瑜

「なに!?

桜をか・・・」


孫権

「そうだ、桜花だと思っていたが曹操と桜は何処かで会ったことがあるようだ。」


「それは長板坡の戦で一度お会いしましたよ。」


周瑜

「なに!?

お前、戦に出ていたのか。」


「ええ、曹操はかなり紳士の様でしたし

一度酒を呑みながら話したいとお誘い頂きましたから」


孫権

「クッ、それは桜を欲しいと言っているんだ絶対に渡さん!!」


「でも、お困りなのでしょう。

私が御時間を稼いで来ますわ孫権様」


周瑜

「いや、行かねぇ方が良い!!

お前、曹操に抱かれるぞ!!」


諸葛亮

「いえ、桜には時間を稼いで頂かないと此方も大変なことになりますよ孫権様」


周瑜

「まだ何か書いてあるのか孫権!?」


孫権

「桜をよこさなければ明日、総攻撃を仕掛けると書いてある・・・」


周瑜

「なんだと!?

明日、総攻撃をすると・・・」


孫権

「クッ、桜すまない・・・

私は君主なのだ民の命も預かっておる。」


「孫権様そう心を痛めないで、貴方のためなら私は曹操に身を捧げても後悔しません。」


孫権は桜を抱き締めて言う


孫権

「許せ!!

明日、桜を綺麗にして船に乗せてくれ!!」


孫権は離れて行った


周瑜

「孫権!!

それでいいのか!

お前、桜が曹操に抱かれるのだぞ!」


「周瑜、おやめなさい!!

孫権様は民の為に、私を曹操のもとへ行かせるのです。

それ以上の策はありません。」


周瑜

「だが、お前は良いのか!!

クッ、なんでお前なんだよ・・・」


「それも又運命です。」


桜は部屋に戻ると諸葛亮が周瑜に言う


諸葛亮

「心残りない様に別れを言って来てはどうだ」


周瑜

「諸葛亮!?

だが・・・

孫権も来るはずだ・・・」


諸葛亮

「いや、孫権様は罪意識で桜に会おうとしないだろう。

今日は誰も桜の部屋に近づけないから心置きなく別れをしてくれ周瑜」


周瑜

「諸葛亮・・・恩にきる!!」


周瑜は走り去るのだった。


周瑜は桜の部屋の前で深呼吸して入る


周瑜

「桜、入るぞ」


すると桜は何故か泣いていた。


「あっ、周瑜・・・」

(来てしまったのね周瑜・・・)


周瑜

「やはり怖いのだな。

嫌なら俺と一緒に逃げるか地の果てまでお前を守り逃がしてやるぞ」


「それは出来ません。

皆を捨て私だけ生き延びるなんて・・・」


すると周瑜は言う


周瑜

「すまない、俺の想いを伝えに来た。

俺は妻が居たが少しイザコザがあって分かれてしまった。

俺はお前が欲しい、好きなんだ。」

(こんな時に考えがまとまらない。)


周瑜は桜を寝台に押し倒してしまった


「いけません!?

孫権様が来たら貴方は殺されてしまいます」

(このまま抱かれるなら私も周瑜に抱かれたい・・・)

周瑜

「構わねぇ、お前が抱けるなら俺は全て捨てる。」


「あっ、でも、私は・・・」


周瑜

「俺より孫権が好きか」


「いえ、まだ分からないのです。

でも貴方が欲しいと私もたまに思ってしまう・・・

私は頭が変になってしまったのでしょうか・・・」


周瑜は優しく笑い言う


周瑜

「お前も俺が好きと言うことだ。

有難う桜・・・

お前の匂いが全てが好きだ。」


「私も貴方にこうされたいと何度思ったか・・・」


周瑜と桜は一線を越えて体を重ねたのである


周瑜

「お前を行かせたくねぇ・・・」


「初めての人が貴方で良かった。

有難う周瑜。」


周瑜

「必ず助けるからな。

お前が曹操に抱かれようとも俺の女だ。」


「うん、心は貴方のものよ周瑜」

(朱鷺分かったわ、私は周瑜と結ばれるのね。

この人になら一生ついて行ける)


夜明けギリギリまで抱き合い周瑜は誰にも見られない様に桜の部屋から出て行くのだった


諸葛亮

「周瑜」


周瑜

「ひぃ!!

脅かすな諸葛亮。

お化けかと思ったじゃねぇか」


諸葛亮

「もういいのか・・・」


周瑜

「ああ、心残りなきこれで俺も戦える」


諸葛亮

「そうか、これから少しお前と策を練りたい、良いか」


周瑜

「ああ、桜を助け出せるなら俺はなんでもする」


周瑜はまるで劉備軍に寝返ったかの様に諸葛亮と仲が良くなるのだった


曹操

「孫権軍と劉備軍はどう動いた」


夏侯惇

「桜様を綺麗にし船に乗せ此処に向かわせているそうです」


曹操

「フッ、そうか〜

やっと会えるのだな。」


曹操は喜ぶのであった。

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