第12話 同盟

案の定、曹操は勘ずき追って来たが命からがらギリギリのところで劉琦の援軍に救われ江夏に逃れた劉備に対し、諸葛亮は孫権に救援を求めることを進める。


諸葛亮

「劉備様、呉の孫権と同盟をされては」


劉備

「そうだね、今のままでは皆囚われてしまう。」


諸葛亮

「私が使者として同盟を纏めて来ます。」


桜花

「私も行くわ。」


諸葛亮

「ああ、頼りにしているぞ桜花。」


諸葛亮と桜花は足早に呉に出るのだった


その頃、採桑にいた孫権のもとには、同盟をして劉備を討とうという曹操からの文書が届いていた。


周瑜

「曹操はなんと書いてある。」


孫権

「同盟をして劉備を共に討とうと書いてあるがほぼ降伏しろと言っているものだ。

我をどこまで馬鹿にしている!?」


周瑜

「チッ、曹操のやりそうな事だ。

俺は曹操との同盟は反対だ。」


孫権

「ああ、私も今想う人が劉備軍に居るとこの前知ったからな。」


周瑜

「なに、いつの間に!!

どうするんだよ!」


孫権

「フッ、我も男だ、その者が私の結婚の申し出を受ければ劉備軍と同盟をして戦う!」


周瑜

「その女が受けなかったら・・・」


孫権

「劉備達から奪うまでだ。」


周瑜

「おいおい、そんな事したらお前も曹操とかわんねぇーぞ、口説き落とせ。」


孫権

「なに!?

そ、それもそうだな・・・

だが我も精一杯口説いている。」


周瑜

「落ちないのか?」


孫権

「ああ・・・

今だに顔も見せてくれぬ。」


周瑜

「待て待て待て〜!

お前、女の顔も知らんのに恋したのか!?」


孫権

「煩い!!

口がすぎるぞ周瑜。

好きになったのは仕方ない!」


周瑜

「・・・孫権。

顔が気に入らなければお前、女を捨てるのか」


孫権

「何を言う周瑜!

私は顔などで女を選り好みしない!

確かに多少美しければ嬉しいが私はそんな酷い男ではない。」


周瑜

「孫権の恋の行方は俺には関係ないが劉備達と同盟をするなら張昭達を説得しないといけないんじゃないか」


孫権

「それは私がおさえる。

もう心は決まっている。」


周瑜

「おい孫権噂をすればだぞ諸葛亮と桜花が来ている」


孫権

「では話し合おう。」


諸葛亮との話しが始まるが桜花の隣に外套を纏い顔を見せない者が1人いた


桜花

「いつの間に姉さん」


「えっ、前々からここには通っているのよ」


桜花

「ハッ、まさかでしょう・・・」


「フッ、そのまさかよ」


諸葛亮

「我々がここに来たのはもうご存知たと思いますが」


孫権

「うむ、同盟の話しであろう。」


諸葛亮

「物分かりが良く此方も話しがしやすいです。」


孫権

「あー、少し余談なのだがそなた、外套を纏っている者だ。」


諸葛亮

「これは失礼しました、桜という娘です。」

(いつの間に・・・)


孫権

「すまぬが此方に来てもらえぬか」


周瑜

「おい、孫権!?」


孫権

「大丈夫だ周瑜。」


桜が孫権のもとへ行くと孫権はいきなり抱き寄せる


孫権

「矢張り愛しの君なのだな」


「はい、孫権様。」


諸葛亮

「どうなっている桜花。

これでは話しがしにくい。」


桜花

「姉さんは同盟がしやすいように先に孫権を落としているのよ。」


諸葛亮

「なに!?

ならなぜ早く言わない。

それなら直ぐにでも劉備様をお連れしても構わなかったではないか」


桜花

「ちがうのよ、桜姉さんは孫権を焦らし虜にしている最中なのだから外套を纏い顔すら孫権は知らないはずよ」


孫権

「外套を脱いでくれなだろうか」


「外套を脱いだら劉備軍と同盟をしていただけるのでしょうか」


孫権

「そ、それは・・・

お前が我が妻となれば話しをのもう。」


「嬉しいですわ、喜んで貴女の妻となりましょう。」


諸葛亮

「さ、桜!!

お前本気か!!」


「ええ、孫権様が私を欲しているのですものそれに同盟もして頂けるのよ。」


周瑜

「先程から気になっていたのだが桜花と声がそっくりだな〜」


「ええ、だって私は桜花の双子の姉ですもの」


外套を下ろすと孫権も周瑜も他の家臣達も驚くのだった。


孫権

「おお、なんと私は幸運なのだ。

桜よ我を裏切るな。

必ず曹操を追い返しお前を幸せにしてみせるぞ!?」


「はい、孫権様。」


諸葛亮も桜花も周瑜も他の家臣達も孫権の言葉に驚く


諸葛亮

「で、では、同盟を結ばれたという事で良いのですね。」


孫権

「ああ、私は嘘は言わん」


張昭

「ですが孫権さま!?

あの曹操軍をどうやって倒すのです。」


孫権

「それは劉備達と話し合ってからだ。

それに私は初めから曹操と同盟をする気はなかった。

お前等は良いが私は荊州の劉琮みたいにはなりたくないからな。

張昭、まだ我に意があるなら此処から出て行け曹操にでも媚を売るんだな。」


張昭

「なにを言うのです。

私は孫権様について行きます。」


周瑜

(桜と言う女、怖い女だ・・・

桜花と違い男の落とし方と扱い方も知っている)

「では曹操達と戦う事となった!

諸葛亮殿、劉備殿と残りの者達を早めに此処に呼んでくれ。」


「孫権様、では私共は一度江夏に帰ります」


孫権

「何を言う、そなたは此処に残れ。」


「いえ、同盟をしたからと言って私だけを此処に残し腹返されても困りますのでね」


孫権

「我はそこまで非道ではない!!」


「クスクス、知っていますよ。

誠実で優しい男とね。

少しばかり私も江夏に用がありますうえ帰りますわ」


孫権

「そ、そうか。

なら早く済ませ来るのだぞ。」


「はい。」


桜は大胆に皆の前で孫権にキスをして離れるのだった


周瑜

(はあ、完璧に孫権は桜に落ちたな・・・

あんなことされたら俺だって嬉しくて浮き立つ。)

「孫権、これから戦の準備をするぞ」


孫権

「ああ、桜、待っているぞ。」


桜は微笑み諸葛亮と桜花を連れ出て行くのだった


諸葛亮

「見事なものだ。

私の策略より話しが纏まる。」


「これからが大変よ諸葛亮

周大都督を落とさないといけないわ。

それは貴方に任せる。」


諸葛亮

「それは承知している」


桜花

「周瑜はああ見えて頭も良く此処の軍事を任されている男だからね。

孫権は外交は周瑜に頼りきりよ」


すると周瑜が桜花に話しをして来た


周瑜

「桜花、少し話しがしたい。」


桜花

「ええ、今行く」


周瑜と桜花は2人で話す


周瑜

「信じて良いのだな。」


桜花

「当たり前よ、私は今や趙雲の妻よ。」


周瑜

「違う!!

桜の事だ、劉備軍を連れ此処に来たら孫権を振り回すだけ振り回して逃げるのではないだろうな。

ああ見えて孫権はとても繊細なところもある。」


桜花

「姉さんは酷い女じゃないわ」


「クスクス、信用出来ないのも分かりますが私は孫権様が好きですよ。

喜んで妻でも妾にでもなりましょう。」


周瑜

「あっ、妾なんて事はないと思うが・・・

それだけの決意があるのなら俺もお前等を全面的に信用して戦に望む。」


「有難き幸せですわ周大都督様」


周瑜

「周瑜で構わぬ。

ゴホゴホ!!」


周瑜が咳をすると桜が目をしかめる


「いつからその咳をするのですか」



周瑜

「大分前からだ。

桜花から貰った薬が切れたら直ぐに咳が出る」


「そうですか、最近周瑜の妻の小喬殿も同じ咳をしませんか」


周瑜

「よく分かるな度々する。」


桜は懐から袋を出す


周瑜

「なんだ」


「これを2人で食後にお飲みなさい。

身体が次第に楽になります。」


周瑜

「桜花の薬と違うのか」


「はい、桜花のものは他の者に貴方の病気を移さないようにするだけの薬でこれは治療薬です。

戦には万全な体調でいて下さいね周瑜」


周瑜

「私の病気をしっているのか・・・」


「此処らへんに住む者達が良くかかる病気ですからね。

諸葛亮、桜花、帰りますよ」


諸葛亮

「ああ」

(まるで医者だな)


周瑜

「俺の船で送る、孫権に言われた」


諸葛亮

「助かる」


桜花

「これなら江夏に早く帰れるわ」


周瑜

「当たり前だ〜俺の船は速いからな〜」


あっという間に江夏に着く


周瑜

「桜、貴女は俺と帰って頂きたい。」


「あらっ、孫権様は私を信用していらしゃれないのかしら」


周瑜

「違うよ、早く会いたいそうだ。

孫権の気持ちも分かってくれ桜」


「クスクス、これは困りましたわ。

まあ、嬉しい話ですけど。

では周瑜の船で劉備様など主将などを乗せても構わないですか」


周瑜

「沢山は乗せられないが良いぞ。」


「では、支度して来ますね」


桜は去って行く


周瑜

「諸葛亮あの桜は何者なのだ恐ろしく薬が効いているのか飲んだその日から身体が嘘のように元気だ。

若くなったかのように錯覚まで起こす」


諸葛亮

「それは良い事だが私も分からん。

妹の桜花にでも話しを聞いた方が良いかもな」


諸葛亮は劉備達に話しをして周瑜の船に乗るのだった。


周瑜は桜花と話していた


周瑜

「お前の姉は何者なんだ」


桜花

「あの幻の仙人朱鷺を知っている。」


周瑜

「ああ、有名だが死んだだろう。」


桜花

「その朱鷺の妻だった。」


周瑜

「じゃ、仙女なのか。」


桜花

「ええ、仙女でもうこれ以上年もとらないし綺麗なままで死んで行くのよ。

少し可哀想だけどね」


周瑜

「朱鷺との子は居るのか」


桜花

「朱鷺は姉さんを妻に迎えたけど指一つ触れなかったそうよ、力だけ与えてね。」


周瑜

「お前等姉妹いったい何歳なんだ!?」


桜花

「酷い事言うわね、これでも20歳になったばかりよ!

失礼よ周瑜」


周瑜

「そんなに怒るな、そこが桜とお前の違いだな。

少しばかりお前は短気だ。」


桜花

「そうよ、姉さんはとても心穏やかな人だけど戦場に出れば鬼よ。

命乞いする者達なんかも容赦無く殺すわ」


周瑜

「敵は敵だからなでも少し怖いと言えば怖い女だな、孫権におさまるのか!?」


桜花

「さあ〜それは孫権様次第よ。

孫権の心配するより早く病気治しなさい。

姉さんが薬を渡したという事は貴方、死にそうだからよ」


周瑜

「なにー!!

俺死ぬか!!」


桜花

「ったく、本当に大都督なの貴方。

姉さんの薬飲んだら直ぐに治るわよ」


周瑜

「そんならおどかすな桜花、孫策が生きていた頃は一番楽しかっが孫権は孫権ならではの味があり楽しいぜ、桜花も戦が終わったら此処に身を埋めないか。」


諸葛亮

「それは出来ぬな願いだな、

趙雲が手放さない。

約束をして居るのでな。」


周瑜

「いつの間に」


桜花

「この人の事だから最初から話しを聞いていたわよ」


諸葛亮は不敵な笑みを浮かべる


諸葛亮

「フッ、当たり前だ。」


劉琦が現れた


劉琦

「貴方達とは蟠りもあったがこれからは共に戦う戦友として居たい。」


周瑜

「あれは劉表と孫堅が起こした戦だ。

今は協力出来るなら仲間としてむかえる。

頼りにしているぜ」


周瑜は劉琦の肩をポンと叩いて去って行くのだった。


劉琦

「流石、周大都督だ器が大きくいい男だ」


諸葛亮

「蟠りもとれ良かったですね。」


劉琦

「ああ、私も戦力となるよう頑張る。」


その頃、桜は驚いた事に死んだはずの朱鷺の幻を見る


「朱鷺!?」


朱鷺

「久しいな。

私はもう死んでいるからそういつまでも想いを引きずるな桜」


「でも、どうしてここに」


桜が触れようとしたがすり抜けるのだった


朱鷺

「お前は孫権とは結ばれないとだけ言っておく。」


「そんな!?」


朱鷺

「自ずと運命は回り始めているぞお前はお前の思うがまま動け愛しい桜よ幸せを願っているぞ」


「朱鷺待って私は誰と結ばれるの!」


朱鷺

「それはお前が後々分かる事だ・・・」


消えて行く。


「朱鷺!!!!」


暫く混乱する桜。


(いけないわ、心鎮めなくては。)


部屋の外から周瑜が声を掛けてきた


周瑜

「桜もう準備は出来たか」


「後少し・・・」

(駄目、涙が止まらない。)


周瑜は桜の様子が変なのに気付く


周瑜

「すまない入るぞ!!」


桜が泣いているので孫権の妻になるのが嫌なのかと思う周瑜


周瑜

「桜・・・

矢張り孫権が嫌なのか!?」


「違うのよ、懐かしい人に会ったの、だから誤解しないで。」

(もう駄目!?

ごめんなさい周瑜)


桜はいつの間にか周瑜に抱き付いていた


周瑜

「おっ、こ、困るのだがな・・・」

(すげぇ〜良い香りがする!?

孫権がみそめなかったら俺が妾として欲しいくらいだ)


周瑜は優しく桜を抱き締めていた、そんな所に趙雲が入って来た


趙雲

「桜準備は!?

すまぬ、邪魔をした。

失礼する!!」

(なんだ!!

周瑜も口説いているのか桜は!!

どうなっている!!)


「趙雲大丈夫よ。

ごめんなさい。

少し懐かしい人が現れたの周瑜には悪いと思ったのだけど抱き締めて欲しくて」


趙雲

「おっ、そうだったのか・・・

で、いつまで抱き締めているんだ周瑜。

そろそろ離せ。

なんだか桜花を抱き締められているようで嫉妬してしまう」


周瑜

「ひゃー、俺に当たるなよー。

俺だって被害者だ。

だが、いい思いをさせて貰ったよ桜」


周瑜は離れて行った


趙雲

「軍師殿から聞いた朱鷺の幻を見たのか桜」


「ええ・・・

ごめんなさい。

本当に愛した人だから今だに未練が残ってそれを察した朱鷺はこうやって現れたのだと思う。

混乱しちゃって先に部屋に入って来たのが周瑜だったから良かったわ。

桜花に誤解されたくないからね」


趙雲

「そうだな、俺も桜花とのいざこざはごめんだ。」


「では行きましょうか」


趙雲

「でも、良いタイミングとでも言える。

周瑜は桜を好きなようだぞ。

俺が来なければキスでもしていると思うが」


「えっ!?」


趙雲

「桜、自覚してくれ、お前は私の妻と双子で美しく綺麗なのだ。

男は喉から手が出るほど欲しがるぞ。

覚悟しておいてくれ。」


趙雲は先に部屋から出て行くのだった


「喉から手が出るね〜

桜花いるのでしょう。」


桜花

「ええ、兄さんが現れたのね。」


「うん、これで最後と言っていたわ。

もう、会いたくても会えない・・・

私も新しい人生を生きねばならない。」


桜花

「少しずつ時代が変わっているわ姉さん。」


「それも運命よ桜花。

覚悟して。」


桜花

「はい。」


劉備軍は孫権のもとへ行くのだった。

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