第9話 趙雲と桜花
めまぐるしく時は過ぎる
呂布が死に張遼は曹操の家臣となり袁家が絶滅した後、孫策も若くして死に呉の政権が弟、孫権になった途端桜花は姿を消した。
劉備は曹操討伐に加わった為曹操から追われ荊州の劉表の元に身を寄せていた頃
孫権及び周瑜達はてっきり桜花が曹操の元へ帰ったのだと思っていた
周瑜
「なんだと、曹操が同盟を持ちかけて来た」
(へんだ・・・桜花は曹操の元へ帰ってないようだな。)
孫権
「そうなのだ、我々にはまだ援軍を出したり食糧の援助をしたりする力はない。
同盟を結ぶべきなのだろうか・・・」
周瑜
「いや、待て俺は曹操は好かん、もっと友誼を深められる奴らと同盟を結んだほうが良いぜ孫権」
孫権
「それと桜花の事はどうなっている。
姿を消したにしろ手紙の内容から曹操の元へ帰ってないようだが・・・」
周瑜
「俺も知らねえ・・・
孫策が死んだあの日に姿を消したからな」
孫権
「とても美しい女性だった。
兄が仙人を処刑さえしなければ桜花も此処に残っていたのかもしれぬな」
周瑜
「最後まで仙人の処刑を止めていたからな・・・
確かにあの時の孫策は俺から見ても変だった。」
その時から周瑜は桜花からある薬りを貰い病魔と闘っていた
孫権
「最近は顔色も良いな周瑜。
身体の具合もかなり良さそうだ。」
周瑜
「ああ、俺は小喬から愛されているからな」
(桜花は不思議な女と言えばそうなるな。
もしかして仙女だったのだろうか・・・)
その頃曹操の所にも呉から情報が入る
曹操
「なに!?
呉から姿を消しただと!!」
(もう逃げる場所などないはずだ。)
兵
「ハッ、呉には姿がないようです。」
曹操
「よい、又探せばよい。」
(クッ、いつまで逃げるのだ私の桜花よ・・・
矢張り結婚した時に身重にしておくべきであったのか・・・)
「夏侯惇居るか!」
夏侯惇
「ハッ!!
此処に」
曹操
「南征に備えて軍議を開く!
皆を集めよ!!」
夏侯惇
「ハッ!!」
(桜花・・・
曹操様がお怒りだぞ・・・)
劉備が官途の戦いの時に青年となった。
まるで覚醒したと言わんばかりに凛々しく心優しい青年に荊州の劉表の元で出会った諸葛亮が軍師として仲間になって新野で少しばかり長閑な暮らしをして居る時のこと
桜花
「そこの殿方少し話をして良いですか?」
諸葛亮
「なんだ。」
(外套をすっぽり被り顔が見えんな刺客か)
桜花
「此処に桜音と言う女性が居ないか知りたいのですが」
諸葛亮
「そなたは誰だ」
桜花
「その姉です。」
諸葛亮
「噂は聞いている、そなた曹操の妻だとな」
(あの絶世の美女達より美しいと聞く娘!?
曹操の妻でありながら強く賢く美しいと噂はたえない確か呉に居たはずだが)
桜花
「いつの話やら私は曹操の元から逃げ出たのです桜音に会わせて貰えませんか?」
諸葛亮
「付いて参れ」
桜花
「感謝しますよ諸葛亮孔明殿」
諸葛亮
「フッ、私を知っていたか。」
桜花
「貴方、曹操みたい。」
諸葛亮
「なっ!
私はそんな冷酷非道では無い!!」
桜花
「クスクス、褒めたつもりなんですけどね。
今や中原の王よ曹操は、貴方もそれ位の実力はあると見たんだけど些か心が狭いようね。」
諸葛亮
「曹操と比べるな、例えが悪い。」
桜音に会う
桜音
「姉さんが!?」
劉備の部屋で会うと桜花は外套を外した。
するとその時一緒に居た趙雲は完璧に桜花に惚れてしまうのであった。
諸葛亮
(これがまさしく天女のごとしだな。
だがハク殿よりは気品がないが曹操が追いかけるわけだ。)
「姉妹の感動の再会だが。
この時期に何故呉から出て来た?」
桜花
「孫策が亡くなって呉に興味がなくなったからに決まってるでしょう。」
諸葛亮
「成る程、では次に目を付けたのは劉備様か?」
桜花
「クスクス、妹の恋人を欲する程私は落ちぶれてないわ。
貴方に興味があってね臥龍殿」
諸葛亮
「フッ、私は知が専門で武は全くだぞ。
興味を持たれても困るがな曹操の元へ帰ったらどうだ。」
桜花
「嫌よ、あの人のところに帰ると武が出来なくて毎日退屈だもん!」
諸葛亮
「お前も変わり者だな。
余程曹操はお前を大切にしていたのだな。」
桜花
「さぁ〜どうだか。
ほったらかしが多かったからね。
他に女が居るのかと思うくらい会わない日も多かったし私は毎日側で愛してくれる人が良いわ〜」
諸葛亮
「フッ、長旅であったであろう。
風呂にでも入って休まれよ」
桜花
「嬉しい歓迎感謝しますわ諸葛亮殿」
桜花と桜音が出て行くと劉備がポツリと諸葛亮に言う
劉備
「桜花は諸葛亮を好いたようだね」
諸葛亮
「勝手に好きになるのは構いませんが私は思う者が居ます、劉備様こそどうなのです」
(桜花を押し付けられては困る。
だが趙雲も見惚れていたな)
劉備
「僕〜
桜音が一番だよ。
可愛いし、愛らしいし、僕の側でいつも笑ってくれる今が一番幸せだよ」
諸葛亮
「ご馳走様です。
では私も失礼します。」
(この時期に桜花が来たと言う事は曹操が南征に動き出すと言う事だな。
不味い・・・。
劉備軍をもっと一つにしなくては)
それから桜花が仲間となるが皆桜花を警戒するのであった
だが諸葛亮、趙雲、劉備、桜音は本当に信頼していた。
関羽
「桜花さんここはもういいわ私がやるわ」
関羽、張飛は桜花を信じきれてなかった
桜花
「そう、じゃ宜しくね関羽」
桜花が去った後、張飛が文句を言っていた
張飛
「よく働いてくれるのは良いが回りが警戒しては困るんだ・・・」
関羽
「そうだけど桜花さんは親切心からしている私も桜花さんをそろそろ信じて良いのではないかと思うわ張飛」
張飛
「俺はまだ駄目だ、曹操の妻なんだぞ!?」
すると背後から声がした
諸葛亮
「いつの話をしている張飛
桜花は曹操が嫌で逃げて来たんだ。
桜花の気持ちも考えろ。」
張飛
「だけだよ!?」
桜花
「信じられないならそれで良いんじゃない。
私は構わないわ話しもしなければ良い。」
すると大柄な張飛さえ桜花の冷ややかな目を見て後退りした
諸葛亮
「桜花、そう怒るな。
張飛も良く考えろ、此処での暮らしが大分楽になったのは皆桜花が考えた策を使って変えて行っているからだぞ。
それに新野の民は皆桜花に頼りきりだ」
桜花はそのまま去って行ったが諸葛亮は張飛と関羽に言う
諸葛亮
「お前達2人謝っていた方が良いぞ。
桜花はああ見えた繊細なんだ。
周りには呑気なふりしてしっかり一人一人を把握して居るぞ。
とても頭も良く新野の民の名前を覚えて居る」
関羽
「民の名前を皆!?」
諸葛亮
「ああ、一度会った者の名前は忘れないそうだ。
この前産まれた赤子の名前まで覚えていた。
その母親はかなり桜花を好いている、これには私も驚いたがな。
それだけ此処の皆のことを思って居ると言うことだ。
劉備様が恋人が居なければ勧めたものを流石に桜花の妹君と恋仲になって居たなんて私もこの前知ったからな。」
その後関羽と張飛は桜花と和解したのである
縁側に出て酒を呑んで居る桜花の隣りに静かに腰掛ける趙雲
趙雲
「涙が流れているぞ辛いのか・・・」
桜花
「そうね、まだまだ蟠りがある人も多いから辛いわ。」
趙雲は桜花の涙を拭いながら言う
趙雲
「曹操の元へ帰れば楽になると思うが」
桜花
「それは無理よ。
呉に居た頃までは度々手紙をもらっていたから少しは気にかけていたけどもう私の中には曹操は居ない事が分かったの」
趙雲
「では、新たに好きな者が出来たか」
桜花
「そうね。
その人に想いが伝われば良いのだけどね。
趙雲も呑んで。」
趙雲
「ああ、頂く。」
桜花
「いつも貴方には泣いているところばかり見られているわね、なんだか恥ずかしいわ」
趙雲
「お前は女だ。
弱くて当たり前だ。」
桜花
「貴方といると荒れていた心が自然と落ち着くわ」
趙雲
「嬉しい事を言ってくれるな。
口説いているのかそれもまた嬉しいがな俺は」
桜花
「クスクス、口説き落とせるなら既に口説いてるわよ」
趙雲
「桜花程の美しい女に口説かれるならいつでも落ちて良いぞ〜俺は大歓迎だ。」
桜花が少し驚いた顔をした。
趙雲
「どうしたのだ、変な事を言ったか」
桜花
「なんでもないわ。
駄目でしょう、貴方、今、縁談が進んでいるところじゃないの。」
趙雲
「そうだったな、その縁談は破談になった。」
桜花
「えっ、どうして。
乗る気だったじゃない。」
趙雲
「この前、ヘマをやらかしてな。
その娘に振られたんだ。」
(わざと振らせたのだがな。 )
桜花
「クスクス、貴方のことだから諸葛亮と相談してわざと振らせたのでしょう。
気に入らないところがあったの。」
趙雲
「バレバレというところか〜流石が頭が良いな桜花はその娘、浪費ぐせがあり私には向かない事が分かってな。
あれこれと嫌な事をしたんだ。」
(俺も桜花といると楽しい、口説き落とせるか今なら!?)
桜花
「貴方らしいわね。」
趙雲の表情が更に柔らかく愛しい者を見る目つきになった、そして桜花の手を引き寄せ抱き寄せるのだった
桜花
「あっ、趙雲!?」
趙雲
「此処からは真面目な話しなんだ」
桜花
「クスクス、焦らしても駄目よ趙雲」
趙雲
「フッ、話しをきいてくれ桜花。
俺を愛してくれぬか、俺はお前に会ったその日で虜になっている、いつもお前を見ていた。」
桜花
「でも、私のせいで貴方まで変な目で見られるのは嫌だわ」
趙雲
「その面は俺が皆に何も言わせない。
いつも側にいて愛してやる。」
趙雲は桜花が断る前にキスをした、すんなり桜花は趙雲に落ちたのである。
桜花も趙雲に身を委ね一緒に月を眺めていた。
劉備
「ごめんね〜
邪魔する気はないのだけど〜
おめでもうお二人さん」
劉備は廊下を渡り部屋に戻っていく、そうそこは劉備の部屋に繋がる廊下だった。
趙雲
「劉備殿に気を遣わせてしまっな」
桜花
「ええ、桜音も廊下を通れず困っているからもう離れるわ」
趙雲
「その心配はない。」
桜花を抱き上げ趙雲が部屋に歩き出した。
趙雲
「桜音様失礼しました。」
桜音
「いえ!?」
桜花
「ごめんね桜音。」
桜音は桜花の幸せそうな顔を見たのは初めてだった。
桜音
(姉さんやっと愛せる人を見つけたのね)
翌日桜花は趙雲に抱き締められ起きた
桜花
「趙雲、起きて朝よ」
趙雲
「昨日寝るのが遅かったのだ・・・
もう少し寝かせてくれ・・・」
桜花
「じゃ、離して私は起きるわ。」
趙雲
「駄目だ一緒に寝ろ。
お前は俺の後に寝ているのだ。
睡眠はちゃんととらないと身体を崩すぞ」
趙雲の腕に力が入る。
桜花
「分かったわ」
桜花が次に目覚めたら趙雲の姿がなかった
桜花
「起こしてくれて良いのに」
桜花が部屋を出るといきなり女官達に捕まる
女官
「桜花様、おめでとうございます。
さあ!準備がありますので此方へ」
桜花
「えっ、あっ、なに!?」
女官達に引きずられるように部屋に押し込まれ着替えさせられると桜花は驚く
桜花
(してやられた・・・
結婚すると言ってないのにこれ婚礼の衣装じゃない。)
新野で盛大に婚儀を行なうのだった。
趙雲
「さあ、我妻よ此処へ。」
桜花
「はめたわね。」
趙雲
「あははは、お前が俺の申し出を受けたからそうなったまでだぞ」
桜花
「そうね、負けたわ。
約束よ!!
隣に居て愛してね。」
趙雲
「ああ、お前だけを愛してやる!!」
これも曹操を混乱させる諸葛亮と趙雲の策だった。
諸葛亮
「我が君、少し出掛けて来たいのですが良いですか」
劉備
「あまり長くだと困るけど大丈夫かな」
諸葛亮
「夕方には戻ります」
諸葛亮は久しぶりに琥珀に会いに行くが会えないで帰って来たのだった
琥珀は居たがわざと会わなかったのである
愛しの君へ
長らく会えず寂しさが増すこの頃ハクは何をしておられるかな
私も君主を持ち軍師となったのだがまだ私を夫として迎えてもられないのだろうか
又日を改めて会いに来る
諸葛亮より
琥珀
「まだ私と貴方の運命が繋がってないのごめんなさい」
琥珀も又屋敷に帰るのだった
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