第6話 癒し

蛍の活躍もあり呂布を兗州がら追い出した後直ぐに曹操の部屋に呼ばれる蛍


曹操

「帰ったか、どうであった妹との再会は」


「ハッ!!

とても楽しい日になりました。」

(なっ、なんで冷たい目なの・・・

流石に私も怖い。)


曹操

「そうか、ではなぜ徐州では敵の援軍の中にお前はいた、私を裏切ったのか」


「いえ、裏切ってはいません。

劉備軍の中に妹が居ましたので守りたく居ました。」


曹操

「確かにお前に斬られたと言う兵は1人もいなかったが〜私は許していないぞ!」


バン!!


曹操はまだ怒っており机を叩くのであった


「なんなりと処罰を受けます。」

(流石に曹操様相手では私も勝てない。

斬られるのかしら・・・)


曹操

「処罰と言ったな〜

平兵士なら斬り殺しているところだが

そうだな〜

ここで服を全部脱ぎ私に抱かれろ。

それで許してやる。」

(どうせ歯向かうであろう。

クッ、どうしても父を殺した陶謙が許せぬ!)


「心中お悔やみ申し上げます曹操様。

夏侯惇、部屋から出て行ってくれるぬか。

流石に私は抱かれるところまでお前に見られたくないのでな。」


夏侯惇

「蛍!?」

(本気かこいつ!?)


服を脱ぎ始める蛍に曹操は驚く。


曹操

「蛍待て!

流石に私も言いすぎた・・・

もう良い!!

2人とも部屋から出て行ってくれ・・・」

(なんて奴だ本当に服を脱ぎ出した。

クッ、もう絶えられぬ。)


「はい、有難うございます。

では失礼します。」

(矢張り心を痛めていらっしられるのね

可哀想に・・・)


夏侯惇

「俺も失礼します。」


部屋から出て少し曹操の部屋から離れた後、蛍が夏侯惇に話す


「夏侯惇、今宵縁側で酒を飲まぬか。」


夏侯惇

「蛍、お前なになんがえている。

曹操様が心を痛めて居る時に!?」


「だからだ、縁側で私とお前が酒を呑んでいれば自ずと曹操様もいらっしゃられる。」


夏侯惇

「酒で気を紛らわせると言うことだな。」


「そうだ。

私も今日は美しく着飾って綺麗にしてくる。

夜、酒の用意は頼んだわ」


夏侯惇

「おい、ったく!?

結局俺が酒の準備かよ〜」


その後蛍は女官に言い綺麗な服と髪飾りと化粧する道具を貰い部屋に戻るのだった


夜、夏侯惇が蛍の部屋の前で声を掛ける


夏侯惇

「蛍、準備は出来たのか。」


「後少し、先に縁側で待っていてくれる」


夏侯惇

「いや、ここで待って居る」


夏侯惇が蛍の部屋の前で待って居ると曹操がそこを通りかかった


曹操

「なにをしている夏侯惇」

(蛍の部屋の前だな・・・)


夏侯惇

「蛍を待っているのです。」

(ハッ、薄っすら目が赤くなってらしゃられる泣いていたのか曹操様は?)


曹操

「何処へ行くのだ私も行こう」


蛍が部屋から出てきた


「曹操様もいらしたのですね。」

(目が赤い矢張り辛いのね。

それに冷たい目・・・どうしたら癒せる。)


2人とも蛍に見惚れるのだった


曹操

「夏侯惇、私を差し置いて、もしかして逢瀬でもするつもりだったのか〜」

(こんな時に此奴らはなにを考えている)


夏侯惇

「いえ、蛍が曹操様と縁側で酒を呑もうと言うものですから先に蛍を縁側にお連れしてから曹操様をお呼びに行こうと思ってました。」


曹操

「フッ、本当か蛍」

(なんと美しい・・・)


「夏侯惇は嘘は言いません。」

(夏侯惇を立てなくては可哀想よね)


曹操

「では、縁側で酒を呑もうとするか」


曹操は蛍の手を取り歩き出した

曹操のエスコートは完璧なもので蛍は驚く


(なんと歩きやすい。

流石ね、だから貴族の娘達が曹操様に惚れるわけだ。)

「曹操様、有難うございます。

とても歩きやすいです。」


曹操

「そうか、抱き上げて連れて行きたいところだが〜、夏侯惇に悪いからな。」


夏侯惇

「えっ、俺は別に参加しなくても良いのです。」


曹操

「フッ、そう言いながら来ているではなか〜」


夏侯惇

「一応、護衛と言うことです。」


曹操

「勝手にしろ」


曹操は縁側で偃月を見ながら酒盛りをするのだった


暫く呑んでいると曹操は蛍の手首から見え隠れするバングルに目がいき言う


曹操

「気になったのだがお前はそのバングルどこで買った?」


「これは貰い物ですよ曹操様。」


曹操

「ほぉ〜

誰からだ、かなり大切にしているな」

(私のバングルと同じだ・・・

まさか・・・)


「くれた本人は生きているか分からないのですが私が幼い時に戦に巻き込まれそこで貴族の男の子と一緒に逃げたことがありましてね」


曹操はピタッと動きが止まる


曹操

「そこでお前はその貴族の男の子を倒れて来た火のついた木から庇ったのではない?

それで左腕を火傷した。」

(まさかあの戦の時の娘だと言うのか!?)


「ええ、流石曹操様。

先を読まれるがお得意で。」


曹操

「そしてその貴族の男の子はこう言った。

必ずお前を探し妻とする。

だからその日まで待っていてくれとなそこで翡翠のバングルを渡した。」

(矢張り惹かれるのはそのせいだったのだな運命の出会いということか〜私も幸せ者だな。)


蛍は驚く。


「まるでそこに居た男の子のようですね。」


曹操

「フッそうだな。

で、お前はその貴族の男の子が迎えに来るまで待っているつもりか?」


「それは分かりません。

出来たらそうしたいのですが・・・

名前も聞くことなく別れたし、曹操様と夏侯惇から逃げられそうにもありません。」


曹操

「そうだったな、戦の中であったから私も混乱していて名前を告げるのを忘れていた。

それをお前にやったのは私だからな。

それに私はお前を妻にすると決めた。

逃げられると思うな。」


「えっ!?」


曹操は左の手首を見せる


曹操

「運命と言うものは時に怖いものだな蛍。」


「は、はい・・・。」

(マジですか〜

あの貴族の男の子が曹操様だったなんて!?)


曹操

「そろそろ本当の名前を教えてくれぬか名前も偽っているのだろう蛍よ」


「はい・・・・・・・。

桜花と申します。」


曹操

「今からその名で呼ばせて貰うぞ桜花よ。

私は疲れた、先に休む。

お前等もあまり呑みすぎるな。」


桜花

「はい。」


夏侯惇

「分かりました。」


暫く呑んでいると夏侯惇が言う


夏侯惇

「後でで良いから曹操様のご様子を見て来てくれないか」


桜花

「ええ、分かりました。」


夏侯惇

「感謝する桜花・・・」

(矢張り曹操には勝てぬ。

本当に運命とは恐ろしい・・・)

「それとお前が曹操様の妻となれば今までの暮らしがいっぺんに変わるぞ覚悟しておけ。」


桜花

「なれたらですけどね。」


夏侯惇

「俺と曹操様から逃げられると思うな。」


桜花

「覚悟はしているけど矢張り私1人だけ愛してくれる人が良いわ。

貴族は子孫繁栄の為に何人も妻を持つのでしょう。」


桜花は静かに立ち上がり部屋に帰って行った


夏侯惇

(曹操様はもうお前を愛しているのかもしれぬぞ桜花・・・

外見では冷たく冷酷に見えるが心優しい方だ、それでもお前は曹操様から逃げようとしているのか・・・)

「フッ、1人考えても分からんな」


夏侯惇も部屋に帰って行くのだった


桜花は動きやすい服に着替えて髪を元に戻し身軽になると部屋から出て行く


桜花

(曹操様の部屋を覗いて寝てらっしゃったらそのまま部屋から出るとするか〜)


その頃曹操は自分の書斎に腰掛け疲れを取るため伏せていたが1人になると父の事を思い出し涙が自然と流れていた


コツン、コツン


曹操

(誰か部屋に入って来たな・・・

夏侯惇か、いや足音が軽い。)


桜花

「曹操様、そのまま書斎で眠られると御身体に悪いですよ。」


桜花が何かを上から曹操に掛けようとしたが曹操は桜花を抱き締めていた。


曹操

「こんな夜遅くによく来れたものだ。

こうなると知らなかった訳ではないのであろう。」


桜花は曹操の涙を拭いながら言う


桜花

「そうですね。

お酒が入っていたので頭が回りませんでした。」


曹操

「フッ、よく言うものだ。

だが感謝するぞ桜花、人肌恋しいころであった。」


曹操は桜花と寝台に倒れ込む


曹操

「大人しくしていてくれ・・・何もせぬ。

共に寝ることを今日だけは許してくれ・・・」


桜花

「はい」


曹操

「私が寝たからと部屋を出て行かないでくれ、翌朝お前と迎えたい。」


桜花

「はい」


曹操は桜花を抱き締め寝るのだった


諸葛亮

「今宵も良い月ですな琥珀殿」


琥珀

「ああ、諸葛亮殿はこんな良い屋敷を持たれて居るのになぜ君主を持たぬ」


諸葛亮

「私が思う君主が現れぬのですよ琥珀殿

それとも私が君主となる主人を作れば良いのか〜悩む所です。

まあ、その話は置いておいて呑まれよ」


琥珀

「ああ、頂く。」


諸葛亮

「近いうちに琥珀殿の屋敷に出向きたいのだが良いかな」


琥珀

「招きたいのは山々なのだが近いうちに旅に出るのだ」


諸葛亮

「どちらへ!?」


琥珀

「私も遊んでられなくてな、少し政治を見てみたくなったのだ。

多分北平辺りに行くと思う。」


諸葛亮

「北平から中原は公孫瓚、袁紹、曹操、呂布、劉備、陶謙等がいます。

それに戦が頻繁に起きていると聴きますがそれでも行かれるのか」


琥珀

「ああ、少し旧友にも会いたくてな。

心配感謝する諸葛亮殿」


諸葛亮

「だが、どれだけ旅をするのだ。

又いつ会えるか・・・・・・・・・」


琥珀

「嬉しい言葉だな諸葛亮殿。

フッ、私に会えなくて寂しいと聴こえるが」


諸葛亮

「その通りです。

寂しく感じます、琥珀殿と居るとなんだか落ち着くと言うか癒させる。

些か私も考えましたが貴方とはいつまでも友で居たいと思いました。

私もそろそろ旅に出ますがまだ早いのです。」


琥珀

「お互いどちらかが女であれば夫婦となっていたのだろうな。」


諸葛亮

「フッ、そうですな。」


琥珀

「この目で見極めて戻った時に会おうぞ、必ず会える諸葛亮殿」


諸葛亮

「そうですな、あまり危ない道は歩かれるな琥珀殿。」


琥珀

「そうする」


琥珀はその日、諸葛亮と呑み明かしその足で旅に出るのだった。

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