第11話
「佐竹くん、来てくれたんだ」
――力のない声だ。
「なんかいきなり体調が悪くなってね、心配掛けてごめんね」
「大丈夫だよ。それより起きてて大丈夫なの……?」
「ん、大丈夫……手、握ってくれない?」
白く、小さい手を握る。そこには確かに温かみがあった。
「こうやって手を繋ぐのいつぶりかなぁ……」
「……夏祭りの時以来かな」
「こうしてると生きてるって気がするよ」
彼女は笑う。
「肇くんありがと」
――この時が永遠であればいいのに。僕はそう願った。
でもそんなことはあり得ない。いつかは終わりが来るものだ。
そしてそれは彼女と僕でも例外ではなかった。
――手の力が、抜けている。
彼女はまるで寝ているみたいに穏やかだ。
そのうち目を覚まして「おはよう」と言ってくれそうだ。
なにより、いつもの笑顔だった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます