第11話

「佐竹くん、来てくれたんだ」

――力のない声だ。


「なんかいきなり体調が悪くなってね、心配掛けてごめんね」


「大丈夫だよ。それより起きてて大丈夫なの……?」


「ん、大丈夫……手、握ってくれない?」

白く、小さい手を握る。そこには確かに温かみがあった。


「こうやって手を繋ぐのいつぶりかなぁ……」


「……夏祭りの時以来かな」


「こうしてると生きてるって気がするよ」

彼女は笑う。



「肇くんありがと」


――この時が永遠であればいいのに。僕はそう願った。


でもそんなことはあり得ない。いつかは終わりが来るものだ。

そしてそれは彼女と僕でも例外ではなかった。



――手の力が、抜けている。


彼女はまるで寝ているみたいに穏やかだ。

そのうち目を覚まして「おはよう」と言ってくれそうだ。



なにより、いつもの笑顔だった……

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