第8話

「最近、吉田さんよく休んでるよね。佐竹くんは何か知らない?」


――木々が色づき始めた頃、異変は起こり始めていた。


「いや、僕も最近は吉田さんと会ってないんだ」

事実だ。正確にいえば”避けている”だが。


「ごめんね、変なこと聞いちゃって……」

いや、付き合ってた訳じゃないしどちらかというとフられたんだけど。


「いやいや、力になれなくてごめん」

と彼女と仲の良かった友達に答える……



最近、吉田香澄は学校に来ていない。

夏の終わりかけ、彼女は休みがちになった。それも不定期に。

でも休む日数は日に日に増えていき、ある日を境にぱったりと来なくなった。

当然、一番仲の良かった僕に近況を聞かれるわけだが……

一緒に帰るだけの仲だったので、そこまで彼女について詳しいわけではなかった。

夏のあの日から、できるだけ彼女に関わらないようにしていた僕もさすがに耐えきれなかった。



いつか交換していたLineにメッセージを送る。少し緊張するな。

「最近どうしてますか?学校に来ないので少し心配です」と。


しばらくすると携帯に電話がかかってきた。もちろん吉田さんからだった。

意を決して通話をタップする……


「もしもし、肇くんですか?」

彼女の声だった。


「いきなりLineしてごめん。最近学校に来ないから心配してたんだ」


「ちょっと事情があって……人には話さないでくれる?」

人に話せない事情……?


「――私、実は入院してるの」

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