第6話
告白。
それは好きな人に想いを伝える行為。
頭ではそう理解していても、実際にしようとしてみるとこれが難しい。
かくいう自分も悩んでいた――
*
彼女は確かに僕に好意を持っているだろう。いつも一緒に帰っているし。
でも、それが恋愛感情に結びつくかと言われるとそうでもないだろう。
と、そんなことを考えていたらとうとう夏祭り当日になってしまった……
「今日の約束覚えてる?」
と彼女は聞く。
「ああ、一緒に夏祭りに行こうって話だね」
――告白する気なのだから忘れることなどできるはずがない。
そんなことを考えてる僕をよそに、
「じゃあ五時半にここの神社に集合ってことで!」
と笑顔で告げる彼女。
そんな彼女に僕は「了解~」と返すのが精いっぱいだった。
*
「ごめ~ん、待った?」
と彼女。
薄い水色が基調で白い花があしらわれている浴衣。白い肌によく合っている――
「見とれちゃった?」
「う、うん……似合ってるよ」
しどろもどろになる。これぞ浴衣マジック。
「そんな素直に反応されると照れちゃうよ……さ、はやく行こ?」
「う、うん」
と答えるが、頭の中はいっぱいいっぱいだった。
――綺麗なうなじだな。と少し変態っぽいことを考えていると、
「もうそろそろ花火始まるって!いこっ」
と彼女に手を引かれる。
そろそろか。
運よく川沿いの静かな場所を見つけ、そこに座る僕たち。
しばらくすると花火が始まった。
――意を決して話しかける。
「あのさ」
「何?花火きれいだね」
「そ、そうだね」
……タイミング悪っ
「あのさ、すこし話があるんだ」
今度はうまく切り出せた。
…………沈黙。
「吉田香澄さん、あなたのことが好きです」
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