第6話

告白。


それは好きな人に想いを伝える行為。


頭ではそう理解していても、実際にしようとしてみるとこれが難しい。


かくいう自分も悩んでいた――



彼女は確かに僕に好意を持っているだろう。いつも一緒に帰っているし。


でも、それが恋愛感情に結びつくかと言われるとそうでもないだろう。

と、そんなことを考えていたらとうとう夏祭り当日になってしまった……


「今日の約束覚えてる?」

と彼女は聞く。


「ああ、一緒に夏祭りに行こうって話だね」

――告白する気なのだから忘れることなどできるはずがない。


そんなことを考えてる僕をよそに、


「じゃあ五時半にここの神社に集合ってことで!」

と笑顔で告げる彼女。


そんな彼女に僕は「了解~」と返すのが精いっぱいだった。



「ごめ~ん、待った?」

と彼女。


薄い水色が基調で白い花があしらわれている浴衣。白い肌によく合っている――



「見とれちゃった?」


「う、うん……似合ってるよ」

しどろもどろになる。これぞ浴衣マジック。


「そんな素直に反応されると照れちゃうよ……さ、はやく行こ?」


「う、うん」

と答えるが、頭の中はいっぱいいっぱいだった。


――綺麗なうなじだな。と少し変態っぽいことを考えていると、

「もうそろそろ花火始まるって!いこっ」

と彼女に手を引かれる。



そろそろか。



運よく川沿いの静かな場所を見つけ、そこに座る僕たち。


しばらくすると花火が始まった。


――意を決して話しかける。


「あのさ」


「何?花火きれいだね」


「そ、そうだね」

……タイミング悪っ


「あのさ、すこし話があるんだ」

今度はうまく切り出せた。


…………沈黙。


「吉田香澄さん、あなたのことが好きです」

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