第5話
「夏祭りに行こう」
ある日の帰り道、いつものように帰る中、唐突に提案した。
「夏祭り?」
「一緒に行ったら楽しいかなって」
苦しい言いわけだな、と自分でも思ったが――
「私は予定ないからいいよ、賛成」
と無邪気に笑う彼女。
僕が誘うのにもわけがあった……
*
「もうそろそろ関係に発展があってもいいんじゃない?」
ある日母親に言われた。
僕たちの関係はどうやら親にまで伝わっているらしかった。
「発展って言われても……今のままで……」と口ごもる僕。心地いいから仕方ない。
「甲斐性なしもいい加減にしなさいよ……」と母親
「だから来週の夏祭りに彼女を誘いなさい」
「はい?」
いきなりすぎて聞き返す。
「夏祭りで男見せてきなさい。何か進展なかったら家に入れませんからね」
……いくらなんでも強引すぎる。しかし自分も、この関係に満足しているわけではなかったので素直に従うことにした、というわけだ。
そして、なんとか約束を取り付けた僕はある算段をしていた……
――告白の、算段だ。
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