第3話
といっても彼女にはあまり時間がないらしく、今年から通う高校の下見程度しかできなかった。
もっとも、その高校は僕が去年から通っている高校だったが……
「じゃあ、またね。同じクラスになれると良いね」
と、僕たちは駅前で別れた。
綺麗な女の子だったな……と思いながら、僕も夕暮れの街を後にした。
*
「東京から来ました、吉田香澄です。よろしくお願いします!」
新学期初日、あの子は僕のクラスに編入となった。運命といえば安っぽく感じるが、そう表現しても差し支えない出来事だった。
終礼後、彼女はもう数人の女子と仲良く話していた。
それを横目に帰ろうとすると、
「佐竹くんちょっと待って、一緒に帰ろう」と話しかけられてしまった。
……しまった、と思うがもう遅い。
次の日には、彼女と僕が付き合っているという噂が流れた――
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