AIと異なり人間らしい感情を備えた『NI(ナチュラル・インテリジェンス)』。
そんなNIの少女が奮闘し、時に涙する日常が描かれる短編作品。
同時に、感情とは何かを考えさせる物語でもあった。
NIの少女ヒナが右往左往する様は微笑ましい。
彼女は不躾な客に驚き、優しい上司に感謝し、沢山の感情と共に日々を過ごす。
ついつい、表情豊かな彼女を応援したくなる。
けれど後半、彼女の歪さが徐々に明らかになっていく。
そもそも、彼女の感情は何のために存在するのか。
サービス業に従事するため?
真心を感じさせるため?
だとしたら、この気持ちは何だろう。
ヒナは自身の抱いた「とある感情」に戸惑う。
人間ならば当たり前の、けれどアンドロイドが備えても意味のない感情。
彼女はその不条理さ、残酷さに涙し博士に問いかけるのだった。
その疑問に答えは出ないのかもしれない。
けれど、救いははっきり描かれていた。
ヒナの抱いた感情が何なのか、そこから生まれる解答は何なのか。
ぜひ自らの目で確かめてほしい。
アンドロイド、人と機械の交流、そういったテーマが好きな方なら必ず満足できるだろう。