3.狼煙に

大きく空いたもじゃもじゃの

穴には、青い空がない


穴から伸びるいかづちの樹の

遥か根元で身を横たえる、

キミの炎にひとが集う

――そしてキミは息絶える


名のある語りが語る通り、

ひとびとは燃え跡から離れられない


「おお、喪じゃ、喪じゃ」とまつろうひとの

なずむ視野で消えるキミは、

浮かび上がってゆらゆら揺れる


人間の喪を燃えるのではなく、

動物の丸焼きの灰でもない

キミはキミたるキミの喪を、ただ

もじゃもじゃと萌え萌え萌える


天へと昇るかぐつちのキミの

影の御許みもとに人は横たわる

キミの行方はとりとめもなく

――そしてキミは祈られ始める、

はぐれたばかりのいにしえの場所で


大きく空いた真っ青な

穴には、雲の守りがある

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